Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

重症化因子を探せ

 私は当初より、今回の新型コロナウイルスは根絶できないと考え、ここでも書いてきた。天然痘やポリオなど、根絶されあるいはそれに近づいている(世界ポリオ根絶計画の現状と病原体サーベイランス)ウイルスもあるが、インフルエンザの様に常に変化し続けて社会から消えないウイルスもいる。今回のウイルスがどちらに近いかを想像し、中国での感染の広がり方と致死率の低さ、そして潜伏期間の長さから類推すれば、SARSと違い余程の偶然でもなければ難しいのは想像できた。ちなみにアジアでは発生しなくなっているが、MERSは今でも中東地域に根付いており終息していない(http://www.nobuokakai.ecnet.jp/nakagawa218.pdf)。かつて世界をパニックに陥れた豚インフルエンザも、今では毎年流行する一感染症になった。今回の新型コロナは、インフルエンザと比べるとはるかに高い致死率(おそらく10倍以上)だが、それが根絶できるという保証はどこにもない。さらに言えば、集団免疫理論についても可能かどうかを疑う声も出て(新型コロナ、回復者に免疫あるか不明 WHOが警告 (写真=ロイター) :日本経済新聞)おり、インフルエンザと同様に困難な可能性が見えてくる。最初からある声だが、ここにきてウイルスとの共存の声もよく聞こえてくるようになった(【識者の眼】「新型コロナウイルスとの戦いと共存への中長期的見通し」和田耕治|Web医事新報|日本医事新報社)。

 

 しかし、希望がないわけでもない。私が着目しているのは軽症者や無自覚感染者の多さである。日本ではPCR検査が絞られているため正確な感染者数はわからないが、おそらく既に感染は公表されている実数の数倍以上には及ぶであろう。だが、その割に重症者が少ないというのが気になっている。もちろん、この時期なので漏れている数字があるのは仕方がないが、多くのそれが隠されているとかいった陰謀論には根拠がない。公表されている死者の数倍~数十倍がコロナで死んでいると本当に信じるのだろうか。感染者数の増加に伴い、徐々に重症者数や死亡者数も増えているが、指数関数的なそれにはなっていないのが現状である。

 典型的な症状以外にも、心臓疾患を引き起こしたりという具合に、肺炎以外の症状にも関与しているという可能性もあるが、数が少なければ誤差のうちに入る。少なくとも現時点で明らかなのは、高齢者の死亡率が圧倒的に高く、何らかの疾患を持っているとさらにリスクが上昇すること。若くても死亡する可能性がゼロではないが、確率的にはかなり低いということ(新型コロナ、なぜ子供は重症化しにくいのか? | ナショナルジオグラフィック日本版サイト)。

 高齢者でも、重症化しない人もいる。また欧米の状況(致死率等)を見ると、ウイルスの種類が異なるという説も考えられるが、日本人(東洋人)になんらかの耐性があると考えることも十分できる。それがBCGによるものかどうかは不明だが、私は何らかの因子が重症化を防ぐことに作用しているのではないかと思う(年齢、基礎疾患、肥満、性別、喫煙・・・新型コロナが重症化するリスクは?(忽那賢志) - 個人 - Yahoo!ニュース)。

 

 軽症とは言っても、私たちが考える以上に苦しい状態になることはすでに報道されている。ただ、それで終わるのであればインフルエンザの苦しみと大きくは変わらない。それも何らかの治療薬により軽減できれば、嫌ではあるが毎年流行する一感染症に収まることになる。最も重要なのは、重症化させないこと。重症化後の回復率は、現在見ている限り思っていたほど高くない。そして、数多くの人工呼吸器を必要とし、医療崩壊を引き起こす。

 おそらく、何かの因子(http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200331_1.pdf)がこの感染症における重症化を生じさせている。容易に見つけ出せるものではないが、それを知ることができれば社会が抱える問題を大きく解決する。現状、自粛しなければならない一番の理由は、この感染症がどのように感染を広げているのかが完全にはわからないこと、さらには感染した場合の命に係わるリスクがはっきりと評価できないことがある。

 経済でも人が死ぬのは誰もが知っていること。両者のリスクが比較できない状況にあることが、私たちの判断の難しさを押し上げている。経済の方が問題だと、一般的な生活を取り戻すことを主張する人もいるが、私たちは未知のものを恐れる本能がある。本当の危険度は未だ正確にはわかっていないが、恐ろしいと考える本能に背いてまで活動できるはずもない。

 私たちは新たな恐怖に対しては慎重にあるべきだし、また何がクリティカルなのかという根源を追いかけなければならない。当初から言われているように、おそらく8割の人は死を恐れる心配はないし、残り2割についても医療受け入れ態勢が万全であれば半数以上は生還できる。避けられない危険だからこそ、私たちは自棄になったり極論に走るのではなく、ギリギリまで問題の核心を追い詰めていく努力をすべきである。そしてそれが明らかになるまでは、経済をぎりぎりまで犠牲にしても辛抱することが求められるだろう。そのギリギリへの考え方の違いはあろうが、向く方向か明らかである。

Let's go to PROVINES(地方に行こう)

(4/22 10:00追記 この内容は、今すぐに地方に行くことを推奨するものではありません。むしろ、今はうかつに地方に行かないようにお願いします。)

 

 既に何度か触れているが世界的な食糧危機問題が報道され始めた。ただ、現時点で日本がすぐに食糧危機に至ることはない(日本農業新聞 - [新型コロナ] 「米の在庫十分」業界は冷静な対応呼び掛け 東京都の外出自粛要請で)。また、日本でも地方では食料自給率は十分満足しており、仮に食糧問題が発生するとしても主に都市においてとなるだろう。ただ、全体として食料品の価格が上昇するのは避けられない(主要食品価格が急上昇、新型コロナ感染拡大でサプライチェーン混乱 - Bloomberg)。世界的にはお金のある国が食糧を確保していき、貧乏な国が国民を食べさせることができなくなる。すなわち、日本に食糧を買うお金がある限りにおいて不足が問題になることはい。だが、一部の食料品(特に輸入に頼る一部の産品)の枯渇や高騰は避けられない。今年の秋以降から来年あたりが最も影響を受けると考える。もちろん、中国を含め多くの国は同じ状況にある。

 日本は食糧自給率が低い。ただ、これは農業の経済競争力が低い(人件費が高い、生産効率が低いなど)ために生じている側面が強い。面白い話では、外食産業に供給されていたお米がスーパーにシフトした途端に売買単価がアップしたとの話もある。外食産業の価格交渉が相当シビアだった証拠だが、コロナ騒動の結果ではあるものの単価が上がれば農業参入者は必然的に増加する。加えて、食糧危機を感じ取れば防衛的にそれを選択する人も増加するだろう。実際、恒常的に農産物価格が高くなれば、日本に山ほど存在する耕作放棄地が一気にクローズアップされることになる。既に42万haの耕作放棄地がある(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/2030tf/281114/shiryou1_2.pdf)とされるが、これは田畑全体の約10%に及ぶ。ちなみに、耕作放棄地の場合には再生可能な場所が限定される(全体の半分以下か?)が、農業には後継者不足に悩む場所が多いため、参入者の増加はそちらでも意味があるのではないだろうか。

 

 これまでもUターン、Jターン、Iターンと地方移住を進める声は少なくなかったが、実際には地方都市の流出人口は流入人口よりも多い。若者が大都市に行き、結果として人口が減る。若者が都市に行く一番の理由は就職口だが、その手前にある関門として大学進学がある。大学進学で都会に出て、そのままそこで(あるいは大企業に)就職する。結果として地方には戻らない。これが定番パターンと言えよう。加えて地方大学を出ても、東京などの企業に就職したい人は山ほどいる。

 だが、今回のコロナ騒動で大学も企業のリモートワークに取り組まなければならなくなった。対面の方がいろいろと良い点があるのはその通りだが、リモートのデメリットが大都市での生活費に値するかという比較はこれまで明確にはされてこなかった。しかし、今回図らずしもそれが明らかになる。ちなみに言えば、大学教員ももっと減らせること(あるいは質の低さ)が遠隔授業により露呈するかもしれない。

 今後は、地方に住みながら年に数度の手続きのための登校のみで卒業できるということが明確になるのだ。既に放送大学という事例はあるが、わざわざキャンパスに行かなくても単位を取り、卒業資格を得ることができる。そういう仕組みが広がっていく。もちろん、同級生たちとの出会いという楽しみがあるので、すべてが切り替わる訳ではない。それでも、リモートで予想以上に学習や仕事ができることがわかれば、企業内の悪弊であった無駄が省かれるとすれば、その価値や意味を多くの人が知ることになる。

 

 こうしたリモート授業の流れは、数年前より徐々に進められていた。日本では少ないが、欧米ではネットを利用した授業が多数用意され、それによる単位取得が可能になっている(日本でもいくつかの大学が試行的に実施している)。その狙いは、低迷する世界の中で途上国を中心とした教育需要が伸びていることがあった。オンライン授業だけではなく、分校を東南アジア(特にタイやマレーシアが多い:マレーシア大学・短大・大学院留学ガイド | マレーシア格安留学情報)に設ける大学もかなり多い(筑波大、22年マレーシアに分校=日本初の海外本格進出-独自の教育文化発信へ:時事ドットコム)。

 海外分校の話はさすがに余談だが、ネットを正しく活用すれば相当広範囲の教育を提供できるのは間違いない。もちろん、対面でしか伝えられないもの(実技関係、実習関係、制作関係等)があるため全てをオンラインで賄える訳ではないが、教員側の意識が変われば教育の可能性は十分に広がり得る。このあたりが進まない理由は、医者のオンライン診療が進まないのと同じような理由であろう。

 一部(とは言え大部分)のITスキルを伴わない教員が反対すること、そのための投資に踏み切るための財政的な能力に欠けることなどが主ではないか。さらに言えば、法律により様々な規制がかけられていることも見逃せない。規制についてはかなり緩和されてはいるが、資格学校のように好きな時間に授業の動画を見て勉強することは、単位認定上認められていない(うろ覚えだが、授業開催時に出席していること等を確認しなければならなかった気がする)。

 

 だが、おそらく今回のコロナはそれを変えるだろう。進んでいるのかどうかわからなかった働き方改革も、これを機に良い方向かどうかは不明だが大きく踏み出す。さあ、そうなった時に都会に住むメリットはどれだけあるのだろうか。

 地方都市の不動産価格は大都市と比較して相当安い。一戸建ての住宅を借りても、東京のワンルームよりも安かったりするのはざらである。当然駐車場も安く、食品や雑貨も値段は大して変わらない。生活するには、圧倒的に地方の方が都合が良い。これまでネックだったのは、あくまで職場がなかった(さらに言えば給料の良い職場がない)ことなのだ。

 私も一応、東京ほどではないが大都市と呼ばれるところで生まれ育ち、そして今は地方都市に住んでいる。若い時ほど刺激を求めることが少なくなっているため、生活していく上では地方都市の方がずいぶん快適だと感じている。さあ、本格的な遠隔業務が進められる時代、食糧事情に危機感を抱かなければならない時代が来た。更には、これまでのように一か所に集まって仕事をするというのが難しくなる。一気にすべてが変わるとは思わないし、既にコロナ以前より兆候はあったと思うが、地方に住むということは今まで以上に価値が上がるのではないだろうか。

貿易戦争から防疫戦争へ

 アメリカからのコロナウイルス感染症に関する中国への口撃が強まってきた(トランプ米大統領 中国を批判、故意なら「報いを受けさせるべき」 TBS NEWS)。また、今回の感染症が研究所でデザインされたという話もいまだに出てくる。しかも、ノーベル賞受賞者からも(Chinese Coronavirus Is a Man Made Virus According to Luc Montagnier the Man Who Discovered HIV - Gilmore Health)。初期に、コロナウイルスにはHIVの因子が組み込まれているとインドの研究者が発表したが、その後論文は撤回された。上記の記事はそれを後押しする内容となっている。

 もちろん、中国の研究所がウイルス兵器を作成していたという内容ではない。研究のためにコロナウイルスを利用していたというものである。それがどのような状況でかはわからないが、外部に漏れだして今回の事態を引き起こしたというものである。

 これに対し、中国は当初こそアメリカ謀略説を出すなど威勢がよかったが、ここにきて防戦一方の感じがある(武漢のウイルス研究所員が否定=新型コロナ発生源疑惑)。なかったことを証明するのは不可能(悪魔の照明)なので、中国としても対応に苦慮しているところだろう。正面から他者に責任を押し付けるのは諦めたようにも見える。

 

 正直、私には真相はわからない(【解説】 新型ウイルスの「研究所流出」説、証拠はあるのか?(BBC News) - Yahoo!ニュース)。仮に、中国の研究所からの漏洩が事実だったとしても、明確な証拠を見つけ出すことは困難だろう。そもそも中国政府が自分たちの責任を認めることはあり得ない(中国外務省、「エイズ責任追及したか」 新型コロナ拡散、米に反論:時事ドットコム)し、研究員も個人として中国政府に対してそれを認めない。どちらも自分の首を絞めることになるのだから。もっとも、本当に自然発生だったとしてもアメリカは、様々な方法をもって中国の責任とするように動く。

 理由は簡単だ。この信じられないほどの被害に対し、誰が原因かを決めなければ世論が収まらないからである。その状況は、中国を除くほとんどの国がそうである。外部に敵を作らなければ、政権が持たないのだ。つまり、中国に責任を押し付けるための絶好の機会ということである。もちろん、中国も自分たちが不味い状況に追い込まれつつあることは承知している。ただ、今回の場合には有効な手段がない。ハニートラップもマネートラップもすぐには効果が出ないし、正論では押し返せない。本当は静かに潜むのが最適だが、それができないのが中国という国でもある。

 

 ましてや、ほんの数か月前までアメリカと中国は全面的な貿易戦争(米中貿易戦争 - Wikipedia)を行っていた。アメリカは以前にも増して中国の排除に露骨に動き出しており(日本人も心せよ…本気の「中国企業締め出し」をアメリカが開始した(長谷川 幸洋) | 現代ビジネス | 講談社(1/3))、そのための立法も既にかなりの部分まで進めている。今は、アメリカだけではなく世界中に広げるための行動に入っている。貿易戦争時点では、中国をいきなり潰してしまえば自国経済にも影響が大きいため、剛柔織り交ぜながらじわじわと圧力をかけていたところである。しかし、コロナにより状況は変わった。既にアメリカ経済は大きなダメージを受けており、政府やFRBのドーピングにより現在はつないでいるがいつまで続けられるかはわからない。

 どうせ経済の悪化が避けられないのであれば、この際に中国を一気に叩き潰そうと考えてもおかしくはない(新型コロナが引き金となった米中メディア“締め出し”小競り合いの危うさ | Asagei Biz-アサ芸ビズ)。経済的ダメージが大きいほどに、局地的な紛争はコロナ戦争後の復興にちょうど良いと考えることすらあろう。

 

 コロナ後に、世界が分断される可能性(コロナ後の世界、資本主義国が中国包囲する"竹のカーテン"発動か | マネーポストWEB)は既に何度か書いているようにかなり高まっている。もちろんそれは、これまで推し進められてきたものが加速するだけのことではあるが、ぬるま湯につかってきた日本からすれば大きな動揺を受けるものとなるだろう。

 大きな武力戦争には発展しないと現時点では見るが、代理戦争的な局地紛争は十分考えられる。きっかけは地域における食糧事情の悪化による内紛でも、それを支援する形で勢力合戦が繰り広げられる。中国が弱いのは、金融がアメリカに抑えられていることと、食糧についても中国が豊富に賄えないこと(アフリカ豚熱もある)。

 日米貿易戦争以上のアメリカの本気が見えてくるのは遠くないのではないだろうか。そして、欧州は勝ち馬に乗ってくる。中国も、習近平体制が続く限りは容易には膝を屈することができない。この武力を用いない戦争は、もっと目に見える形になっていくと予想する。

エンタメ再考

 今回のコロナウイルス被害に対し、アーティストたちが政府に補償を求めている(ライブハウス 国に損失補償など求め30万人余の署名提出へ | 注目の発言集 | NHK政治マガジン)。世界的にもいろいろな政府による支援が行われている(遅れ際立つ日本。世界各国の文化支援策まとめ|美術手帖)。日本でも財政的に余裕のある東京都は踏み出したようだ(東京都、アーティスト支援策に5億円。ウェブ上に作品掲載・発信|美術手帖)。

 ただ、ネットでの評判は様々である。そもそも、本当に国や自治体が保護すべきアーティストとは誰なのかという素朴な疑問に基づいた意見を中に見かける。大多数は、その他の産業に対する支援と同様の支援を受ければよいというもの。実際、現時点では対応が追い付いていないが(飲食店のアルバイト労組 給与減少分の補償を会社に申し入れ | NHKニュース)、遅ればせながらもアルバイトなどの休業補償も出るよう(パートも「休業手当」はもらえる?休業補償と休業手当の違い/いくら支払われるのかを解説します | しゅふJOBナビ)な方向に動いているように見える。

 

 さて、コロナウイルスによりストップした産業を守るべく、政府は一つ一つ膨大な作業をしながら産業維持に向かっている。言われるまでもなく、国民が望む速度ではないのはそのとおり。だが、ルールを守りながら行うと時間はかかる。一部ではルールを一時棚上げにして行っている施策もあるが、それが増えれば終息後には間違いなく野党とマスコミの餌食にされる。そもそも、行政に暴走を防ぐための制限を幾重にもかけてきたのは過去の国民である(先陣を切っていたのはマスコミ)。もちろん、守られやすい産業と守られにくい分野があるのは間違いないが、最低限のパッチワークは不十分ながらも広く行われている。金額やレベルには議論もあろうし、それによる死活問題を短期的には無視できないのも事実。ただ、長期的視野でみると少し違った風景が見える。

 コロナ後の社会がどのようになるのかである。現時点では社会のショックを和らげるため現状維持に力を投入しているが、今後もコロナが生き延びれば、仮に感染爆発が収まってもかつての社会は容易には戻らない。すなわち集会をなるべく回避し、大声を出すような人が密集する場所を使用しない。そういった状況も十分に起こり得る。テレビでもひな壇芸人はまばらに配置され(あるいはネット接続)、観客を入れることもできない。

 要するに、社会の常識が変わるのだ。人々同士の接触や距離が今までとは変わってしまう。その変化に対応する業態をどのように作り上げていくか。まだ、コロナ後がどのようになるかは不明確ではあるが、そろそろ考えなければまずい時期に来ている。現時点での社会からの要求は維持しかないが、今後の社会が変わることも徐々にではあるが見定めることが必要になるだろう。

 

 例えば外食産業やホテルにおいて、大規模な宴会は数年は難しいと考えなければならない。多くの会議や打合せはネットに移行するだろう。人と人の触れ合いは重要だが、感染症の危険性に比較すれば我慢を強いられる。うつされても仕方がないと思えるだけの、距離の近い人間としか接触できない。そんな社会が来る可能性も否定できないのである。

 既に記事等が出ているが、会いに行けるアイドルブームはおそらく縮小する(新型コロナで苦境の「地下アイドル」 新たなスタイル模索も | NHKニュース)か、少なくとも形を変えなければ維持できない。コンサートで収入を得てきた歌手たち、CDや配信では大きく設けられないとすれば、グッズ販売にシフトせざるを得ない。漫才や寄席もどれだけ回復できるだろうか。youtuberは当たり前すぎて、大半は稼げないネットの小説投稿と変わらない感じになっていく。映画館が閉鎖して行くとき、映画産業は縮小の道をたどるか配信へと舵を切らざるを得ない。劇場やテレビはなおさらであろう。有料配信への道筋を早期に構築した人が当面生き残っていく。

 スポーツは徐々に復活していくと思うが、それでもかつてのような栄華は取り戻せないと考える。今まで通り観客を入れることができなくなり、それを受けて徐々にギャラは下がっていく。だろうもっともコンテンツとしては価値があるので、密集状態以外をうまく作れれば開催は可能だが、接触プレーの多いものはいろいろと考えなければならない点が多い。

 

 これらの状況は、画期的な治療薬の登場により状況が変化する可能性は高い。ワクチンば生み出されれば、もっと自由を取り戻せるだろう。だが、それも絶対ではなく、万能でもない。少なくとも、数年(下手すれば10年単位)の間は人々の社会行動がこれまでとは変容する。

 エンタメは、そもそも人々の心を癒すための娯楽である。小さな余暇を楽しむための存在。すなわち、社会の変容により娯楽の形態は変わり、それでも生き残り続ける。だが、一部の芸術性を認められた「保護」すべきもののみは救われても、それ以外は必ずしも救われるとは限らない。この「保護」は伝統工芸などの保護をイメージするとよい。本当に優れた残すべき一部以外は、わざわざ国は支援したりしない。

 エンタメの世界は、自らが率先して離隔した社会における生き残り策を考えなければならない。仮に政府補助を受けたとしても、社会が変容してしまえば今のままの方法では将来がなくなるのである。

 

 もし、消えていく分野に政府が補助金を投入していれば、その行為は大きな社会問題にならないだろうか。当面の維持策は構わないと私も思うが、それは他の国民と同様のものではだめなのだろか。なぜ、エンタメ業界のみ特別な補償が必要になるのか。そのためには、国民が納得できる説明と線引きが必要になる。保護と援助は異なる。また、これまで税をきちんと収めてきたのかどうかも大きな課題であろう。少なくとも、それが証明できる人たちにはルートが確保されている。

 従来、エンタメ業界は一般の社会に馴染めない人たちが中心になって広がった側面を持つ。もちろん、今では健全に経営している主張するところも多いだろう。テレビ局などはその典型ともいえる。だが、不明瞭なお金のやり取りが今の土建業界以上に残っているところでもある。

 その世界に飛び込み十分な援助が貰えないと主張する人も、日本の社会福祉制度をきちんと調べれば様々なセーフティーネットがあることを調べることは可能である。アメリカなどと比べれば本当に恵まれている。時間は必要だし、資料も作らないといけないし、多くの人の助けを得なければならないし、復帰には困難があるかもしれないが、それでも道は用意されている。

 

 今のままのエンタメ業界の形、自分たちの活動を維持しろという主張には大きな困難があるが、この先の社会の変容応じて変わる努力をすればきっと道はあるのではないだろうか。ただ、元の規模や収入を保証できるものではないが。

予想外に高い株価

 先日来、私が想定していた以上に株価が上昇している(ダウ平均株価)。22,000あたりが当面の上限かと予想していたが、24,000まで上昇した。最高の株価から35%ほど下落していたものが、20%程度の下落にまで戻した状況である。一つには、世界各国の経済支援(金融・財政政策)が私が思っていた以上に充実していたことがあるが、それ以上に大きかったのが下落速度の速さであるだろう。株価が既に底を打ったなんて言えるはずもないが、一気に落ちすぎた株価はそれと同じだけの勢いで戻すということなのだろう。

 1年以上前に私が想定していたのは、コロナウイルスの問題など思いもかけなかった時期だが、株価が過熱しすぎているので今後2年ほどかけて(期間としては今年末あたり)最高値の半分あたりまで下落するのではないかというものであった。実際には、私が考えるようには下落せず、コロナ蔓延によりようやく株価が下を意識した。この下落は、一点にはこれまでのトランプ劇場による株価のかさ上げの下落、次にコロナショックによる下落、そして最後の止めが企業業績の悪化と失業率の上昇による下落である。

 現時点で、最初に下げたのは二番目のコロナショックによるもののみ。その部分がリバウンドしている現状ではないだろうか。ただ、この相場は心理的な浮き沈みの大きなものであり、素人には推奨しにくい。急激な上下動をうまく乗り切る能力がないと相場の肥やしにされてしまう。実際、世界中の都市がロックダウンしており、そこからどのように抜けだせるのかは見通せない。アメリカの失業者がすでに2,200万人に及ぶという状況(米・失業保険申請、4週で2200万件超 TBS NEWS)を聞けば、この先株価が上昇するとはだれも思えない。だが、それでも当面売りたい人が売り終われば、そして政府の支援があるということで現状の様に戻していく。

 

 とは言え、元の株価に戻るということはない。私はこれ以上大きく株価は上昇しないと見ているが、来月あたりまでは落ちそうで落ちない状況があるかもしれない(もちろん、何かあればいつでも急落できる)。次に現れるのは、アメリカの場合にはトランプ相場分の剥落と、企業倒産ラッシュ(あるいは下方修正予測ラッシュ)による下落だろうが、それは混乱しすぎて状況がわからない欧州の姿が明らかになてくること、あるいは中国ショック(コラム:中国は統計操作をやめたのか、GDPに見る本気度 - ロイター)により導かれるかもしれない。

 これまで、誰もが口先では中国の統計は信用ならないとしてきたが、それでもその嘘に乗ることで世界のこれからを想定してきた。しかし、今回一部とはいえある程度真実に近いであろう数字を持ち出してきたことは、中国共産党政府の将来見通しが低いことを示しているという意味において非常に重要である。彼らでも、ここで嘘の統計を出せば将来的に覆い尽くせないと考えたのだから。それだけ厳しい(だからこそ上昇すれば国内向けに宣伝できる)と弱音を吐いたのである。その余波を受けて、サウジやロシアの協調減産をあざ笑うようにWTI原油価格は$20を大きく下回った(原油先物は下落、中国GDPを嫌気 在庫の積み上がりも重し - ロイター)。

 私も何度も触れてきたが、中国の景気の実情は決して良くはない。ただ、強権国家故にそれを実質的に隠してしまえる力があるだけなのだ。だが、それを一度とは言え威信を捨てて吐露したのである。事の重大性は馬鹿にすべきではないと思う。以前にも書いたと思うが、気にしているのは不動産の動向である。そして崩壊は中国近辺の気にから始まるようにも思う。

 

 私の当たらないシナリオで言えば、株価(アメリカ基準)は今後しばらくは小さな範囲で安定すると考えている。だが、一か月(あるいは数か月)を過ぎたあたりより徐々に再下落を始めるのではないだろうか。ちなみに、徐々に円高にもなっていくとみている。既に金鉱株や銀鉱株は上昇しているが、お金が無限に思えるようにばらまかれる事態では、資源(特に貴金属)に資金が向かう機会があるのではないかと思う。既に金の価格は最高値付近だが、もっと上昇していく時期があるのではないだろうか(ただ、落ち込む時期はあると思うので、慌ててもよくはない)。

 底値は、当初最高値の半分あたりと予想していたが、コロナ禍の酷さを見る限り更に下をのぞき込みに行ってもおかしくないと考えている。時期や株価はまだわからない。ただ、再度の本格的な上昇までは数年オーダーで必要ではないかと思う。バブル崩壊後の日本を考えればわかるが、1990年頃にはじけてから7年近く株価は下落し続けた。トランプ劇場により意識に刷り込まれた部分が剥げるまで、7年とは言わないが数年は必要ではないかと思う。それは、企業業績悪化が継続することで徐々に上げ進行していくだろう。世界はそれだけのダメージを現在受けつつあると見ている。

新興国のコロナから広がる食糧危機

 中国で発生し、世界に広がった新型コロナウイルスは、最初に交流の深かったアジアから始まり、続いて欧州、そしてアメリカへと感染の中心地を移動させてきた。この感染拡大の流れは、中国では既に厳しい監視によりかなり封じ込められており、欧米もまたピークに達したとは完全とは言えないもののそろそろ増加の頂点が見えてきた感がある。少なくとも都市封鎖(および外出規制)をすることで、一定程度感染の広がりを抑えることは可能だということの証左であろう。今後は、これまで行った各種の規制をいつどのように緩和していくのかという難しい問題はあるが、抑え込みをしても無駄であるという最悪の状況には至らなかった。

 ただ、新興国の感染の広がりが本格化するのはこれからだと考えている。既にフィリピンやインドネシアでは多数の死者が報告されているが、エクアドルで現時点で報告されている死者数が350人強なのに、別途自宅で死亡している人が800人近く見つかているという話(動画:エクアドル当局、家々から800体近い遺体収容 新型コロナ流行地で 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News)もある。すなわち、感染者数や死者数も正確には把握できないということ。加えて新興国の場合、元々医療・公衆衛生状況が貧弱なため患者を救うということが容易ではないが、それ以上に国民が政府の指示に従わないことが大きな問題として立ちふさがるだろう。人々が勝手に振る舞う状態。特に貧困層では情報も伝わらず、正しい認識すら構成されない。軍隊による強権的な統制も行われるだろうが、今回は感染症と言うこともあって、軍隊が感染者の中に突入するわけにはいかない。要するに、先進国以上に感染の蔓延を防ぐ手立てがない。

 更に、宗教問題も大きく流れを左右する。土着宗教の信仰などにより、感染者対策施設が壊されるという状況も起きている(新型コロナ検査施設「欲しくない」 近隣住民が破壊、コートジボワール 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News)。また、生活習慣の違いや社会インフラの在り様により社会距離を確保しにくいという問題もある。もちろん国によって状況がかなり異なるとは思うが、新興国の今後の感染状況は酷い状況に至ってしまった欧米すら凌駕するであろう。そして、この問題は新興国のみには留まらず、難民等を通じて再び感染が逆輸入されるという恐怖が先進国を襲う。

 

 感染症は、自国のみが克服できても鎖国を続けない限り、正常な状態を維持できないという難しさがある。世界経済が大きく発展できたのはグローバリズムのおかげであるが、それが感染症の広がりに大きく手を貸していく。先進国は、自分たちの状況に一息ついた後には、自国の復興も必要事項ではあるが、新興国・途上国に対する支援をしなければいけない状況に追い込まれる。おそらく、その全てが解消されるには数年は必要であろう。そして、1年を超える混乱は食糧危機に結びつく。途上国などではそれにより多くの命が失われる。ただ、今後食糧生産が停滞するのは間違いなく、先進国も新興国や途上国に十分なそれを回すことは難しくなる。

 特に、中国はアメリカと同様に農業国でもありながら、食糧を多く輸入している国家でもある。少し前に蝗害に苦しむパキスタンに専門家を派遣していたが、これは中国への被害拡大と言うよりは、パキスタンから輸入する米の維持ではないかと思う(パキスタンは中国に米を輸出数する第三位の国家:https://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_syokuryo/attach/pdf/h27-12.pdf)。コメについてはほぼ自給できている計算(約98%)だが、実際にはかなりの量を輸入している。それ以外にも、パキスタンが中国を支持してくれる数少ない国家であるというのも大きな理由であろう。だが、パキスタンが食糧危機になった場合に支援できるほどの余裕は中国にはない。既に、ベトナムなどはコメの輸出に制限をかけ始めている(ベトナムのコメ輸出規制、飲食業界に不安も - NNA ASIA・香港・農林・水産)。

 

 コロナ問題は、新興国・途上国に広がることで世界的な食糧危機に結びつき、その先にあるのは政権不安の発生になる。アラブの春アラブの春 - Wikipedia)が、ロシアやウクライナの穀倉地帯における小麦不作により引き起こされたことは知られていると思うが、今回の食料不足は世界同時に発生する。政権が脅かされるのは、政治理念ではなく飯が食えるのかと言うポイントが決定的だ。先進国ではそれが失業や給与低下と言う形で見えるが、途上国では食糧がダイレクトに響く(4/15追記:外出制限続く南アフリカ 酒の販売禁止で略奪相次ぐ | NHKニュース)。

 世情不安は、地域紛争にも容易に飛び火する。現在はコロナウイルス問題がターゲットなので、すぐに世情不安が広がる訳ではないが、これが半年後や1年後には大きな問題としてクローズアップされることになるだろう。その時、先進国がどれだけ新興国や途上国を助けられるか。日本にも大きな義務と責任があると考えるべきだろう。場合によっては世界中で紛争が多発するということになりかねない。それは日本の利益を損ねる結果にもなるのだから。

 

 まだ、コロナ問題の結末が見通せる状況ではないが、その先のことを考えなくてもよいわけではない。おそらく、世界的な不景気と失業問題が大きく広がる。欧州は復興に手一杯で何もイニシアティブをとれなくなる。さて、日本はその時にどれだけの余力を残していられるだろうか。

人物ウォッチ

 私は政治や経済の専門家ではないので、正直ここで書いていることは様々な人の意見を参考にしながら考えた単なる勘、予想屋に過ぎない。結果的に間違った予想も数多くして来たし、専門外のことについて好き放題書いている。すなわち、現在絶賛叩かれ中の玉川徹氏(玉川徹 - Wikipedia)と立場や考え方は異なるが、行動様式には違いがないと認識している。強いて言えば向こうは仕事で行っていること、かつ影響力が圧倒的に異なるという決定的な違いは存在するが。

 正直、彼の重箱の隅をつつくような小さな正論は、ボヤキ漫才のように暖かく愛でるべきものなのだ。彼に向かって真面目に腹を立てても、腹を立てた側の方が精神的に損をする。なにせ、ワイドショーとはある意味でプロレスと同じである。如何にして番組をショーアップするかが最大目的で、彼のようなヒールの存在はそこでは非常に高い価値を持つ。その役割を演じている人物に対し、その役割を辞めろと説いても変わるはずもない。

 経験のない悲惨な状態が広がっているからこそ、誰かの責任を追及したくなる気持ちはわからなくもないが、一番の効果はその番組を見ないことにある。度の過ぎた興行には興味を失うのが当たり前のこと。クレームによる降板もあり得ない話ではないだろうが、それ以上に視聴率が落ちれば彼は消えていく。クレームでそれを成そうとする行為は、ある意味において八つ当たりだと私は思う。私も彼の言説を支持はしないが、それでもスケープゴートにされようとしているのだろうと認識する。

 

 まあ、こんなことをいろいろと書きながらも、社会で起きている現象は自分自身では知らないこと分からないことばかりなのは承知している。だからこそ、各種メディアや信頼できると私が感じる人の意見を自分なりに消化して、ここで自己整理のために文章を書いているのが実際のところ。メディアも法人であるとすれば、それを含めて「人」をウォッチし、言葉が信じられるかをできる限り懐疑的に見ているつもりである。とは言え、自分の思想や人物の好みに影響される側面は否定できないので、自分を中立的であると考えてはいない。ただ、こうしたウォッチを通してメディアやSNSを通じて見えてくる人物像と言うのはなかなかに面白い。基本的に人の全てを0か1で切って捨てるkとなど馬鹿げており、ある点は優れているが、違う点では上手くないと感じることはよくある。

 例えば、歯に衣着せぬ言動で有名な橋下徹氏(橋下徹 - Wikipedia)について言えば、彼の思考速度と行動力には感服している。ほぼゼロに近いところから、新たな政治勢力を根付かせてきた(松井大阪市長松井一郎 - Wikipedia)の力も大きいが)ことは、正直なところ凄いと思っている。だが、一方で人を見る目はあまりないという認識も同時にもっている。自分が全てをできてしまうが故に、良い部下を育てられるのが苦手と言う感じだろうか。大阪市長時代などに呼んだ参与等のブレインには、当時から私からすれば信じられない人物もいた。逆に言えば、ブームに乗るのが上手いということもできる。また、勢いのみで押し切るディベート術もメディア向けだとは思うが、多くの人をまとめるトップには向いていないようにも思う。

 

 ところで、世の中には自分に関与する人を敵と味方に分ける人が少なくない。その傾向は、コロナという心理的に負担を感じる状況が目の前にきたからこそ、相当に増しているのではないかと見ている。ちなみに、てkと味方のどちらにもに入らない人は、雑魚か手の届かない人(立場が上と認識)になるのだろう。ラベリングが頻繁にみられるとことは、一方で是々非々の思考を見つけられる人は少ないという感覚でもある。理性で考えれば、是々非々で対応することが必要なのはわかっていても、感情がそれを許さないという感じだろうか。もちろん、職場で絶対的な敵対行動を取るほど馬鹿ではないが、人によってはその箍すら外れている人もいる。

 一度敵のレッテルを貼ってしまうと、その認識は容易には覆らない。私たちは理性的でいようと考えても感情に支配されてしまう弱い存在だ。感情を利用するのは悪くないと考えているが、感情に利用されてしまうのはよろしくない、ただ、往々にして私たちは感情に利用された結果を自己正当化している。

 

 シニカルな考え方だが、私はいろいろな人の行動や考え方を外から眺めて、想像を巡らせるのが好きである。なぜその様な考えに至り、あるいは行動を取るのか。その背景を推測することが非常に面白い。もちろん正解はわからない。その人が持つ背景を十分にわからなければ、想像が間違っていることもある。だが、ある程度以上の情報が集まると概ね大きくは外さないような判断ができていると認識している。

 また、人物ウォッチをすることにより得られる最大のメリットは、客観視をできるようになることだとも思う。一歩引いて相手を見たり考えたりするのが習慣になっていくといた具合である。もちろん、全くの客観的な立場になると組織として意見が通らないため、ある程度感情を利用してそれなりの雰囲気で発言もするが、感情や感覚により構成される徒党には参加したくないという気持ちは強い。

 常に仲間と一緒にいないと寂しいと考える人にはお勧めしない行動形式だ。広く浅くいろいろな人と付き合い、接触していく。もちろん感情的になるときもある。嫌いな人もいる。だが、その雰囲気を出さずに(あるいはわざと示して)行動できるほどには大人であるつもりだ。是々非々と言えるほど厳格にできているとは思わないが、一定のバランス感覚は取れているだろう。

 反面教師ではないが、嫌な人にもそれなりの良さがあることは認めている。それを認める(認められる)ことが、私が取ろうとしているポジションのスタートラインだと考えている。今振り返ると、意図せずにではあるが子供のころから同じような行動を取っていたかもしれない。まったく、人と言うものは本当に面白い。

 

 私がこのような行動を取る最大の理由は、精神的なメリットのためである。大いに喜び大いに悲しむような感情の振幅が大きい人がいて、一方でそれを抑え込むように生きる人もいる。喜びはプラスの感情、悲しみや怒りはマイナスの感情として、人生において同程度それが訪れるとすればプラスマイナスゼロになる。大きな振幅(起伏)に耐えられないと考える人は、振幅自体を抑え込もうと考える。だが、私はプラスは最大限にマイナスは最小限にしたいと思うのだ。

 マイナスの感情(多くの場合はストレス)も、反発心により更なる成功のばねにすることもできるが、若いころなら耐えられても常には厳しい。だから、選択的にマイナスの感情をばねにしたり、客観視により打ち消したりするという方法を取っている。もちろんプラスのそれは最大限感情的に楽しむというものだ。

 それは自分の感情をコントロールすることで可能なると考えている。論理的に描くのはなかなか難しいが、それを自分なりに如何に実現するかが私の人生における目的に一つでもある。完ぺきではないが、ギリギリ及第点程度にはできるようになったかもしれない。そのためのトレーニングが人物ウォッチであったと考えることもできる。まあ、こういう考え方もあると感じてもらえれば嬉しい。

日銀とFRBの評価損はどうなるか?

 武漢肺炎による世界経済のダメージは、当初予想していたとおりに大きく広がり始めた。アメリカでは既に1,700万人の新規失業者が発生し(IMF、「世界恐慌以来」の経済危機を警告 米失業者1700万人に 写真4枚 国際ニュース:AFPBB NewsReuters on Twitter: "More than six million Americans sought unemployment benefits last week, for the second week in a row, amid stay-at-home measures that have abruptly ground the U.S. to a halt https://t.co/BUjJ4plPm8 Here's the spike, illustrated by @ReutersGraphics… https://t.co/3j0Ac4ydeE")、リーマンショックの5倍も大きな経済的被害が出るとノーベル賞受賞者が語る(Paul Krugman on Twitter: "This would be 5 times the slump relative to potential output in the Great Recession — happening in just a few weeks.… ")ように酷い様相を呈している。大恐慌に匹敵する、あるいは超えるという声もちらほら出始めた(新型コロナ危機、1930年代の世界恐慌以来の大不況に=IMF - ロイター)。もちろんそんな状態を放置できるはずもなく、アメリカ政府はGDPの10%に相当する2兆ドルにも上るコロナ対策を決定し、さらに追加政策を準備している。並行して、FRBもかつてないレベルの金融緩和(米FRBと英中銀、新型コロナ対策強化 一段と未踏の領域に - ロイター)を実施し、更には債権の劣化が進むことを見越し(堕天使(Fallen Angel)に怯える米社債市場 | 2020年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI))ジャンク債の買い上げまで行うことを決定した(米ジャンク債、1998年以来最大の値上がり-FRBが買い手に - Bloomberg)。もう、後のことを考えない未知のレベルの対応である。

 その結果、これだけの世界的な機能停止にもかかわらず、株価は大して下落していない。私が想像していた以上の急ピッチでFRBが大胆に動いたこともあるが、投資家のマインドがコロナ以前と大きくは変わっていないことの証でもあるだろう。だが、それは間もなく収束に向かうという甘い期待に立脚している(コラム:「大恐慌以来の景気後退」でも株高、半年後にリスク浮上も - ロイター)。FRBがどれだけ資産買い入れをしても、社会のすべてを救うことはできない。今回のコロナ禍が収まり、社会が平常を取り戻さなければダメなのだ。中国でも再度の都市封鎖が始まりだしたという情報が出てきた(Jennifer Zeng 曾錚 on Twitter: "Nearly 80 communities in #Wuhan locked again after the city reopened on Apr 8. Some doctors warned that the situation is still bad, and people should try not to go out.More : https://t.co/fSwmxEsPYp#CCPVirus #COVID2019 #Coronavirus #CoronavirusOutbreak #CoronavirusPandemic… https://t.co/5YCVusGAb1"

)。都市封鎖により抑え込みは可能だが、それだけでは収束できない。この災厄は治療薬なしには簡単には収まらないのだから。すなわち、数か月で経済が元に戻ることなど考えにくい。

 

 日本の場合も、日銀が上場投資信託ETFを買い上げており(日銀は9日にETFを1214億円買い入れ-通常分は1日・2日と同額 - Bloomberg)、東証1部時価総額である約500兆円のうち、すでに40兆円分程度は日銀が購入している感じになる(日銀保有のETF、19年9月末時点で31兆6112億円 東証1部の5.3% :日本経済新聞)。3月10日時点で損益分岐点がおよそ19,500円とされている(黒田日銀総裁、ETFの損益分岐点「1万9500円程度」 :日本経済新聞)ので、その後の購入があっても現在の株価でおおよそトントンというところであろうか。ただ、アメリカの株価が上昇していることもあり、株価は比較的高く推移している。

 日銀がいくらまでETFを購入できるかと言えば、理論上は無限大ではあるが、もちろん現実にはそんなことはできやしない。一定の制限があると思うが、非常時のためその数字がどこまで大きくできるかを考えるのは難しい。それ以上に、日銀はいくらでもお金を刷れるので、含み損が大きくなっても建前上潰れることはない。今後株価が大きく下落し、いくつかの企業が倒産するとETFの価値が毀損するが、倒産が一部とどまれば評価損を顕実化しなければ問題はないだろう。

 だが、いつかはそれを売らなければならない時期が来る。それが株価の上値を抑える重しになるであろうことは、容易に予想がつく。しかも、時価総額の10%以上になったそれは、大きすぎる存在感を保持することになる。人々の行動自粛は当分の間は必要だし、心理的な抑制は社会の仕組みに定着し容易に解除されない。結果として企業業績はおそらく当分以前の様には戻らず、株価もマネーゲームという投機を除けば上昇する理由もない。もちろん、消費活動はある程度復活するので、既存企業とは異なる新しい消費行動が発生するとは思うが、全体としては低迷するだろう。

 

 さて、FRBにしても日銀にしても、その保有債券やETFの評価損がそのまま経済の信用不安に直結することはないだろう(新興国ではそうはいかないが)。ハードカレンシーの強みと言ってもよい。場合によっては何年も含み損を抱えたまま保持し続けることになると思う。それは、心理的な意味では株価の重しになり、国債の評価にも関わる。ただ、今回は世界中の国家が同じようなことになってしまう。債権や貨幣価値は絶対的評価ではなく相対的評価により決まる。

 日本が極端な不況に突入し、他国との差が開いていけば問題なるだろうが、他国と共同的な歩調を取り、日本に大きな貿易黒字が残ること及び、日本企業が隠しhン的な技術を保持し続ける限り、決定的な問題にはならないと思う。

 

 だが、繰り返しになるがFRBや日銀の救済できる能力は無限大ではない。その限度を素人の私が解き明かすことはできないが、金融政策による救済だけでは景気を維持し続けることはできない。

旧国連と新国連

 中国は、世界に先駆けて新型コロナウイルス感染症に対する勝利と克服を宣言し、世界に対して援助を差し伸べるホワイトナイトを気取りたいようだが、世界が中国を見る視線は冷たい(中国医療チームを歓迎しないナイジェリア、「おかしい!」と中国メディア|レコードチャイナ)。特に、現時点で被害の大きい欧米の感情論は相当のものであろう(「コロナ拡大は中国政府のせい」欧米で激しい怒りの表明が相次ぐ(週刊SPA!) - Yahoo!ニュース)。また、当初から中国に対する忖度が露骨であったWHOに対して、アメリカのトランプ大統領は拠出金の停止に関しても言及した(トランプ大統領 WHOの新型コロナ対策批判 資金拠出停止検討 | NHKニュース)。当然、WHOは反論する(WHO事務局長、新型コロナ対応を擁護 トランプ氏の批判に反論 - ロイター)が歯切れは悪いし、その言葉を全て信じる人は少ないだろう。WHOが何もしていない訳ではない(【新型コロナ】世界の感染者が150万人突破-WHO、米中協調促す - Bloomberg)が、トップに中国忖度の動きがないというのは過去の言動を見ても考えにくい(パンデミック宣言を遅らせ、国境閉鎖に反対し、中国の行動を称賛:以下、多少偏向しているとは思うが、ネットにあったWHO[主にテドロス事務局長]の発言まとめ)。

1/19 人から人への感染リスクは少ない
1/22 緊急事態には当たらない

1/28 WHOは中国政府が迅速で効果的な措置を取ったことに敬意を表する
1/29 中国から外国人を避難させることは勧めない
1/31 渡航や貿易を不必要に妨げる措置をすべきではない
---- 人の行き来を維持し国境を開放し続けるべきだ
 
---- 中国の尽力がなければ中国国外の死者は更に増えていただろう
---- 中国の対応は感染症対策の新しい基準を作ったともいえる
---- 中国国外の感染者数が少ないことについて中国に感謝しなければいけない
2/01 大流行をコントロールする中国の能力に信任を置いている
2/04 武漢は英雄だ
---- 中国以外の国々は感染者のより良いデータを提供しろ
2/05 740億円の資金をWHOに投資しろ

2/08 致死率は2%ほどだから、必要以上に怖がることはない
2/10 イギリスとフランスはもっと危機感を持て
2/12 特定の地域を連想させる名前を肺炎の名称とするのは良くない
2/13 中国のたぐいまれな努力を賞賛する

2/18 新型ウイルスは致命的ではない
2/24 パンデミックには至っていない
2/27 中国の積極果敢な初期対応が感染拡大を防いだ↓
2/28 「パンデミックの可能性がある」
---- 「すべての国は備えに集中しろ」
---- 「封じ込めらられる可能性は狭まっている」
3/25 「われわれは最初の機会を無駄にした」
3/26 「1か月前か2か月前に対応していなければならなかった」
3/27 「すべての国で積極的な行動がなければ、数百万人が死亡する可能性がある」
4/3 「マスクを使うべきかの指針に変更を加えるべきかどうかを見極める」
4/5 「中国は毎日科学的なデータを発表、提供している」
4/7 「マスクは特効薬でない。パンデミックを止めることはできない」
4/9 「我々は天使ではなく人間。間違うこともある」
---- 「私に対する中傷はすべて台湾から行われてきた。断固として抗議する」 ←New!

 

 だが、アメリカが国際機関に背を向けているのはWHOだけではない。WTOを拒否権により締め上げ(WTOを揺らすアメリカ 上級委員会の越権を問題視、中国への不満も背景に - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト)、UNESCOからは離脱(米国とイスラエル、相次ぎユネスコ脱退発表 - BBCニュース)し、国連人権委員会からも離脱(米、国連人権理事会を離脱 「政治的偏向のはきだめ」と - BBCニュース)している。その理由は、中国やロシアなどによる露骨な工作と、弱小国を操作して組織の壟断が行われていることに対する不満である。

 もちろん、アメリカが常に正しいというつもりは更々ないが、世界有数の人権蹂躙国家である中国が世界に向けて人権を語り、世界で最も不公平な貿易システムを敷いている中国が、世界貿易の均衡者足らんとする。これこそ笑い話以上の何物でもない。このような状態に至ったのは、国連にある二つのシステムを逆手に取ったことによる。一つは安保理常任理事国の地位(所謂拒否権行使ができること)を最大限活用できること、もう一つは全ての国に平等に投票感が与えられること。すなわち、仲間を作って自分の意見を通す手段が取れること。中国以外の国も取る事があるが、その程度には大きく違いがある。前者はともかく、後者は現在の中国のように囲い込み戦略を取らなければ、必ずしも悪いとは限らないが、中国は金の力でそれを蹂躙している。

 

 かなり前だが「新国連(新国連 - Alternative Issue)」について書いた。内容的には現状と大して変わらない。そこでは韓国人の潘基文が事務総長になり、国連を我が物顔に利用し始めていることを中心に書いたが、当時は今ほど露骨ではなかったかもしれないものの、中国と人権委員会についても軽く触れている。大国が金の力で小国を抱え込み国連を自分に都合の良いように利用することに対する警告と、組織が長く続くとシステムを都合に良いように利用するようになる一般論について書いたものである。

 そして、今まさにその危惧が現実化した。中国の力は私がエントリを書いた時よりもずっと強大になり、国連というシステムを利用して自国に都合の良い流れを構築している。実際には、その状態を作り上げるのにアメリカも協力しているというのが問題でもあるが。

 

 だが、今後は国連の在り様は見直されなければならない。アメリカが数多くの国連組織から離脱しており、日本も一時ユネスコに対する拠出金を停止したり、国連機関ではないがIWCからの離脱を決めた。急に進むわけではないものの、国連崩壊の序章が迫っていると考えてよいのではないか。その先に考えられるのは、新国連(欧米や日本を中心に設立)と旧国連(中国とそれに呼応する国が残留)の二つの存在である。ある意味、これはどちらの陣営に所属するかという踏み絵にもなるだろう。

 韓国などは両方に参加しそうな感じもあるが、それは許されないだろう。その場合、中国側に位置付けられる結果になろう。もちろん一朝一夕に進むものではなく、今後様々な交渉や同盟あるいは経済的な結びつきにより紆余曲折はあろう。だが、中国排除の流れを考えた場合、国連を作り直す方が簡単だと思う。

 

 まあ、私が考えた通りに動くとは思わないが、世界がドラスティックに動くのを目の当たりにするのは、ある意味で期待する気持ちもある。これも昨年のエントリだが、こんなことを書いた(混乱の時代にようこそ - Alternative Issue)。さすがに新型コロナの予想ができるほど霊感は鋭くないが、時代が大きく変わるとは何となく予想していた。おそらくもう、元に戻ることはない。変わることを前提にして自分の生き方を探る時代になったのだ。

新宗教裁判

 世界中で外出自粛や都市封鎖が行われているが、それと同時に感染クラスターの主要なポジションを担ってきたのが宗教関連(サンピエトロ広場閉鎖 「司祭は感染者に会う勇気を」―バチカン:時事ドットコム)であった。一部の宗教家たちが、行政や政治家の声に耳を傾けずに宗教儀式や説法等を行った(一部の米教会、大規模な日曜礼拝を強行-新型コロナの警告に従わず - Bloomberg)ことで、感染者を増加させている(指示無視して説教続けたインドの導師、スーパースプレッダーに 1万5千人が隔離下 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News)可能性が高い。韓国の大邱で感染爆発を生じさせた新天地(韓国、新型コロナウイルス感染拡大の元凶? 信者24万人の「新天地イエス教団」とは | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)も同じ構図というか、よりたちが悪い。この傾向は、日本ではイメージしにくいが宗教性の強い国において顕著である。

 

 人々は不安が募るほどに、攻撃的になったり何かにすがったりする。既に自宅待機状態によりDV(ドメスティック・バイオレンス)が増加しているという話が問題になっており(【新型コロナウイルスと増えるDV・虐待】全国女性シェルターネットが政府に要望書提出、移住女性も被害に(巣内尚子) - 個人 - Yahoo!ニュース)。高齢者がマスクを買い占めている(「ダメとは思うが朝から並んで買ってきた」老人がマスクを買い占める本当の理由を知って、複雑な気持ちになってしまった)という噂もあるが、これも不安故の行為であると考えられる。

 人により行動が異なるのはなんとなくわかるが、不安を何かにぶつけようとする根源は心の弱さに起因する。そして、その弱さを包み込み和らげていくのが宗教の最も良い点であり、それを利用する悪しき宗教者がいることが社会的な意味での悪い点である。日本人は無宗教(というか神道を中心にした自然宗教観)の人が多いため、わかりにくいが、宗教に子供のころから接していると、それが行動や判断の前提条件になってしまうことがある。そのもっとも極端なものが宗教原理主義であるが、宗教が人生の一部になるとある意味で大きな力を発揮する。

 

 ところが、今回の新型コロナウイルスは宗教の信頼性を大きく揺らがせるのではないかと感じている。神は試練を与えるが信者を救わない。宗教指導者が皆倒れ(イタリア北部で聖職者が相次ぎ死亡、医師の死者数超す 2020年3月24日 | キリスト新聞社ホームページ)、競技を優先して信者たちに感染を広げていく(新型コロナウイルスの死者、世界で3000人超す 韓国の宗教団体トップは土下座 - BBCニュース)。多くの宗教家たちは公衆衛生の大切さを説いていると思うが、イランではアメリカの生物兵器説を広める(イスラム圏で広がるコロナ陰謀論──反米イデオロギーを優先させる宗教指導者 | 飯山 陽 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)ように責任の矛先を他者に向ける。ある意味、信仰の正しさを証明できていないということでもある。だから、皆の意識を別の場所に向けようと努力するのだ。

 今後、新興国では今の欧米以上に感染が拡大していくだろう。公衆衛生や医療体制の貧しさだけでなく、それに対する意識の低さが輪をかけるはずである。WHOを中心に対応するとしても、新興国の範囲が広すぎてとても手が回らない。下手すれば、応援に駆け付けた医療関係者にまで被害が広がっていくのだ。

 このような事態に対し、宗教には果たせる力がある。それは、無秩序な暴動等の発生を抑止する力である。神を信じ宗教を信じれば、日本と同じように多くの国民が理性的で抑制された行動を取る事ができるはず。だが、実際にはそれは非常に難しいだろう。家族・親族が次々と死んでいく中で、信心を継続できる人は多くない。逆に、信じていた気持ちが強いほどに裏切られたと憎むようになることも考えられる。

 

 宗教が信者を救わない。今以上に感染が広がっていき認識が変わり始めた時、一種の宗教裁判(宗教裁判 - Wikipedia)ともいえるような断罪が生じるのではないか。ただし本来の教義に基づく裁判(宗教裁判(しゅうきょうさいばん)とは - コトバンク)ではなく、宗教そのものあるいは聖職者たちが被告になるという新しい形の宗教裁判である。そこに至る前には、当初別の宗教家による扇動もあるだろう。要するに宗教間の対立に基づく信者獲得競争である。すがるために宗教に足を向けたのに、それが意味を持たなかった。実際には自らの選択により信仰することになった訳だが、それを消化できるのであれば元から宗教にどっぷりとは漬からない。

 私たちは基本的に何かを支えにしなければ、辛い時には生きていけないほど精神的には弱い。その最大の支えになるのが、家族であり世界的に見れば宗教である。だが、その両者とも心の支えにはなれても、感染症という災厄を駆除することはできない。家族を捨てることはなくとも、宗教に疑問を抱くほどには思想の自由は許されている。

 人類は過去に何度も大きな伝染病委に痛めつけられてきた。宗教はその試練を生き延びてきたのはそのとおり。だが、今の時代には宗教以外の動向を知ることのできる情報が満ち溢れている。それと共存する形であれば宗教は今後も人々を苦しみから救うだろう。だが、それと敵対するほどに人々の心が離れていくのではないかと思う。日本の様に儀礼のみが残るというケースもあろうが、どうなっていくかは楽しみでもある。