Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

予想外に高い株価

 先日来、私が想定していた以上に株価が上昇している(ダウ平均株価)。22,000あたりが当面の上限かと予想していたが、24,000まで上昇した。最高の株価から35%ほど下落していたものが、20%程度の下落にまで戻した状況である。一つには、世界各国の経済支援(金融・財政政策)が私が思っていた以上に充実していたことがあるが、それ以上に大きかったのが下落速度の速さであるだろう。株価が既に底を打ったなんて言えるはずもないが、一気に落ちすぎた株価はそれと同じだけの勢いで戻すということなのだろう。

 1年以上前に私が想定していたのは、コロナウイルスの問題など思いもかけなかった時期だが、株価が過熱しすぎているので今後2年ほどかけて(期間としては今年末あたり)最高値の半分あたりまで下落するのではないかというものであった。実際には、私が考えるようには下落せず、コロナ蔓延によりようやく株価が下を意識した。この下落は、一点にはこれまでのトランプ劇場による株価のかさ上げの下落、次にコロナショックによる下落、そして最後の止めが企業業績の悪化と失業率の上昇による下落である。

 現時点で、最初に下げたのは二番目のコロナショックによるもののみ。その部分がリバウンドしている現状ではないだろうか。ただ、この相場は心理的な浮き沈みの大きなものであり、素人には推奨しにくい。急激な上下動をうまく乗り切る能力がないと相場の肥やしにされてしまう。実際、世界中の都市がロックダウンしており、そこからどのように抜けだせるのかは見通せない。アメリカの失業者がすでに2,200万人に及ぶという状況(米・失業保険申請、4週で2200万件超 TBS NEWS)を聞けば、この先株価が上昇するとはだれも思えない。だが、それでも当面売りたい人が売り終われば、そして政府の支援があるということで現状の様に戻していく。

 

 とは言え、元の株価に戻るということはない。私はこれ以上大きく株価は上昇しないと見ているが、来月あたりまでは落ちそうで落ちない状況があるかもしれない(もちろん、何かあればいつでも急落できる)。次に現れるのは、アメリカの場合にはトランプ相場分の剥落と、企業倒産ラッシュ(あるいは下方修正予測ラッシュ)による下落だろうが、それは混乱しすぎて状況がわからない欧州の姿が明らかになてくること、あるいは中国ショック(コラム:中国は統計操作をやめたのか、GDPに見る本気度 - ロイター)により導かれるかもしれない。

 これまで、誰もが口先では中国の統計は信用ならないとしてきたが、それでもその嘘に乗ることで世界のこれからを想定してきた。しかし、今回一部とはいえある程度真実に近いであろう数字を持ち出してきたことは、中国共産党政府の将来見通しが低いことを示しているという意味において非常に重要である。彼らでも、ここで嘘の統計を出せば将来的に覆い尽くせないと考えたのだから。それだけ厳しい(だからこそ上昇すれば国内向けに宣伝できる)と弱音を吐いたのである。その余波を受けて、サウジやロシアの協調減産をあざ笑うようにWTI原油価格は$20を大きく下回った(原油先物は下落、中国GDPを嫌気 在庫の積み上がりも重し - ロイター)。

 私も何度も触れてきたが、中国の景気の実情は決して良くはない。ただ、強権国家故にそれを実質的に隠してしまえる力があるだけなのだ。だが、それを一度とは言え威信を捨てて吐露したのである。事の重大性は馬鹿にすべきではないと思う。以前にも書いたと思うが、気にしているのは不動産の動向である。そして崩壊は中国近辺の気にから始まるようにも思う。

 

 私の当たらないシナリオで言えば、株価(アメリカ基準)は今後しばらくは小さな範囲で安定すると考えている。だが、一か月(あるいは数か月)を過ぎたあたりより徐々に再下落を始めるのではないだろうか。ちなみに、徐々に円高にもなっていくとみている。既に金鉱株や銀鉱株は上昇しているが、お金が無限に思えるようにばらまかれる事態では、資源(特に貴金属)に資金が向かう機会があるのではないかと思う。既に金の価格は最高値付近だが、もっと上昇していく時期があるのではないだろうか(ただ、落ち込む時期はあると思うので、慌ててもよくはない)。

 底値は、当初最高値の半分あたりと予想していたが、コロナ禍の酷さを見る限り更に下をのぞき込みに行ってもおかしくないと考えている。時期や株価はまだわからない。ただ、再度の本格的な上昇までは数年オーダーで必要ではないかと思う。バブル崩壊後の日本を考えればわかるが、1990年頃にはじけてから7年近く株価は下落し続けた。トランプ劇場により意識に刷り込まれた部分が剥げるまで、7年とは言わないが数年は必要ではないかと思う。それは、企業業績悪化が継続することで徐々に上げ進行していくだろう。世界はそれだけのダメージを現在受けつつあると見ている。