Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

FBとTwitterの凋落予想

 GAFA時価総額はとめどもなく上昇している(米株式市場、GAFA+MSが時価総額に占める割合が史上最高に(Forbes JAPAN) - Yahoo!ニュース)。アメリカの株式指数が大きく上昇している(日本人だけが知らない、GAFAとアメリカ株の「終わりの始まり」(中原 圭介) | マネー現代 | 講談社(1/3))が、時価総額の20%以上をGAFA+MあるいはFAANG等に代表される一部の企業(企業数では1%程度)に依存している(GAFA決算から見るハイテク株が成長し続ける3つの理由 | 石原順の米国株トレンド5銘柄 | マネクリ - お金を学び、マーケットを知り、未来を描く | マネックス証券)。要するに、これらの企業の株価がけん引しているからこそ株式市場が最高値を更新できていると考えてよい。

 その一部を担う、TwitterFaceBookに対する規制の導入(トランプ氏、SNS企業の規制を狙う大統領令に署名 - BBCニュース)や優遇措置の取りやめ(Twitter本社前で、優遇税制反対デモ | TechCrunch Japan)が現在議論されている(Reuters on Twitter: "President Trump said he will veto a major annual defense bill unless it includes a measure to repeal a federal law protecting internet companies like Facebook and Twitter https://t.co/H4InvBeYlo… https://t.co/1mNWRCYc3E")。これは、アメリカ大統領選挙においても報じられている偏向した規制(Facebook、Twitterがメディアの「暴露ニュース」を制限する(平和博) - 個人 - Yahoo!ニュース)に対するリアクションでもあるが、それ以外にも露骨な情報操作が問題とされている(MIT Tech Review: 特定企業を優遇、Twitterは締め出し——FB内部文書、6つの衝撃米NY州など、フェイスブックを来週提訴へ 独禁法巡り=関係筋 | ロイター)。Twitterなども特定メディアの情報が優先的にトレンドとして取り上げらられているという懸念も根強い。それらが、思想的に近しい情報発信者をエコひいきする形で行われているのではないかと言う危惧である。

 

 現在、大統領選挙を通じての思想的な対立から、SNSメディアを乗り換える人が少しずつ出ているという話(TwitterからParlerなど:ツイート規制のTwitterからのエクソダスを受け入れるParlerのユーザー急増 - ITmedia NEWS)もあるが、この流れは徐々に広がっていくであろうと予想する。というのも、こうした分野は「盛者必衰の理:盛者必衰(ジョウシャヒッスイ)とは何? Weblio辞書」により次々と覇者が変化していく業界である。もちろんMicrosoftApple、あるいはGoogleのように一定以上の期間において企業価値を維持し続けているところもあるが、全てがそうなるという保証はどこにも存在しない。

 むしろ、このようなITを中心にした大企業群には独占禁止法の観点から、企業分割をすべき(米GAFA、なぜ分割論? トランプVSバイデン、大統領選の結果しだいで......: J-CAST 会社ウォッチ【全文表示】)という声も少なくない。一足飛びに全ての企業が分割されるということはないだろうが、最初にターゲットにされやすいのがSNSを中心にしたメディアであろう。そしてTwitterFaceBookが生贄という訳ではないが、その先陣を切って攻撃されるのではないかと思う。大きなポイントは、TwitterFaceBookは大統領選挙においてバイデンを陰から支えたという声が強いにもかかわらず、この方向性は共和党だけでなく民主党からも支持されている(GAFA分割も想定、反トラスト法の抜本改革を下院民主党が提案 - Bloomberg)ことである。

 

 もちろんこれは私の予想であり、間違いなく当たると言い切るつもりはない。というか、株価予想を何度も外しているのでこの意見に説得力はないだろう。だが、規制を理由に利用者離れが起こるのか、あるいは政府や議会からの規制により使いやすさが低下するのかはわからないものの、これ以上にSNS系の大企業が成長を続けるイメージは私にはあまり湧かない。すぐに成長が止まり株価が下落するとは思わないが、現在の高いPERを証明することが難しくなってくるとは感じている。

 GAFA+MやTESLAなど株価が高いことによる恩恵を数多く受けていると思うが、その成長が永遠に続くとは思えないし、現在の状況は私からすれば緩和バブルによりかさ上げされていると見える。そうではないという意見を持つ人もいるのは承知しているが、第二次ITバブルがはじける時には答えがわかるだろう。お金がばらまかれた分、株価が上がるのは当然の成り行きではあるが、それは永遠ではないということを自分自身肝に銘じておきたい。

ドルの退潮

 株価は私の予想を超えて順調に上昇している。正直、ここまで好調さを継続するとは春先には考えてもいなかった。今回のコロナショックでは、私自身は二番底があると想定して株式には投資を行っていない。残念ながら予想は全く外れてしまったので、株式市場上昇の恩恵にはあずかれなかった。ただ、世界中で通貨の乱発が生じることによる貴金属やその他のコモディティの上昇の恩恵には、少しだけ乗ることができた。貨幣の乱発に関しては今後も継続することが予想されるので、長期的なポジションは維持したままである。今後に期待したい。

 さて、コロナショック直後の混乱期における円高は、多くの人が予想していたほどには進まなかったが、ドル円はここにきてじりじりと円高方向に進んでいる(「円高ではなくドル安」だから今後は怖いのだ | 市場観測 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準)。ワクチン開発の進展に応じて一時的に上昇するものの、大きな流れは間違いなくドル安に向かっている(アングル:イエレン氏でドル安、イールドカーブはスティープ化へ | ロイター)。理由は簡単でFRBがドルを増大させており、今後もさらにその傾向が続くと見られているからである(FRB、量的緩和の拡充検討 FOMC要旨 来月にも指針見直し 金利上昇圧力を懸念 :日本経済新聞)。ドル安への懸念と共に仮想通貨が大きく値上がりしているし、金や銀は先に上がりすぎて弱いものの、それ以外のコモディティ資産も上昇している。一部のアナリストは今後1年程度でドルが20~30%下落すると考えている(ドル安どこまで進む? 来年20%下落との予想も - WSJ)。さすがに短期にそこまで進むかどうかはわからないが、長期的にはドル安は避けがたいだろう。

 

 現在の株式相場は、過剰流動性の極みと言ってよい。有名な投資家であるウォーレン・バフェット氏の考案したバフェット指数(わかりやすい用語集 解説:バフェット指標(ばふぇっとしひょう)|ラーニング|三井住友DSアセットマネジメント)はかつてないレベルにまで上昇した(take on Twitter: "【🇺🇸バフェット指標 要警戒】)。企業利益は減少しているのに、株価が上昇する(T.Kamada on Twitter: "こんなチャートをみつけました。青い線はS&P500指数、オレンジ色の線は税引き後の企業利益です。企業利益の減少は、株に好材料のようです(笑)。… ")という矛盾に満ちた状態である。ちなみに付け加えれば、CNNMoneyによるFEAR & GREED INDEX(Fear & Greed Index - Investor Sentiment - CNNMoney)も11/26時点で91という非常に強欲な状況であるとされる。ここ数年では、コロナショック直前の状況に近い。

 株価と企業利益の間にあるギャップを埋めているのは、世界中の中央銀行や政府がばらまいている資金だが、これは投資と言うよりはギャンブルに近い。それでも現実に金があるなら踊らにゃ損といった具合であろうか。兎にも角にも、世の中は行き過ぎるのが常。それに対してきちんと状況を見据えていく必要があるだろう。

 

 さて、ドルの退潮は諸条件を見る限りかなり高い確率で発生すると見る。リスクオフによる円高と異なり、全ての通貨に対してドルが低下しており日本政府としても手の打ちようがない。私の見立てはドル円が90円程度まで行くのではないかと考えているが、その時期についてはよくわからない。1年から2年程度のうちにと言う感じだろうか。もちろん、その前に何らかの新たな事案が勃発して状況が変わることも十分考えられる。その上で、こうしたドルの退潮は結果としてアメリカの金融支配力を低下させていくと思う。資金は世界へ流れ、アメリカに集まらなくなる。結果として、アメリカ国債金利が上昇し景気に水を差す。アメリカの対応次第ではあるが、中国の元が存在感を高める可能性もある。これは、世界の不安定化を促進することにつながるだろう。世界の混乱はドルを求める声につながるため、一部のアナリストが想定するレベルにまでは、容易にドルは低下しないと考える。

 そして、ドル安により引き起こされる不可避の円高は、日本経済をじわじわと締めつけるのではないか。コロナからの回復を目指すうえで、現時点での日本は比較的良いポジションにいると考えてはいるが、円高ら足を引っ張ることになるかもしれない。円高は本来日本にとってプラスである(エネルギー輸入にメリット)が、輸出競争力の側面でマイナスである(中国や韓国にシェアを奪われる)。その結果が、現在の状況を引き起こしている。更に、株価の側面でも円高は足を引っ張る。企業価値の下落は企業の設備投資意欲を抑えるため、こちらも日本の国力に対してはマイナスと働くことが多い。

 

 現在は、コロナショックを政府や中央銀行のかつてない行動により支えられている状態だと思うが、そろそろピークをつけてもおかしくない位置に来たと感じている(もちろんまだ株価が上昇することもあろう)。売りで入るには少々怖いので、現時点では様子見と決め込みたい。

中国の増長

 私は以前から中国とアメリカの間で戦争が生じる確率はそれほど高くないと考えてきた。現代社会において武力的な戦争の経済的なメリットはそれほど高くないのが現実である。むしろ、経済支配(経済植民地化とも言う)により実質的な富の収奪を行う方が効果的なのだ。実際、アメリカは基軸通貨であるドルを用いて近いことを成功させている。それ故に、一帯一路(中国経済圏の拡大)とかデジタル人民元の拡充(通貨圏の拡大)などを中国も行おうとしてきた。アメリカの後を追い、アメリカに取って代わることを目指して(実際にはアメリカとの棲み分けを目指して)である。とは言え、中国が進める経済覇権の拡大をアメリカが見逃すはずもない。現在米中で行われている駆け引きは、単なる対立ではなく冷戦というか実質的な経済戦争である。世界から富を吸い上げるための構造をどちらが多く握るかと言う意味での。

 もっとも、過去の冷戦と異なるのは経済的な切り離しが不十分なままで対立が生じていることであろう。アメリカとソ連の間のそれはもっと徹底的なものであった。今は多少アメリカ政府がデカップリングを進めているが、両国経済の結びつきはかなり強固であり、また民間企業が政府の言うことを聞く保証もない。こうした状況は、これまでアメリカが中国をサポートしてきた経緯がある。私はその理由を、アメリカが潜在的には日本を脅威と考え、日本に対する抑え込みを行うためであると見ている。アメリカは日本を同盟国であると同時にライバルと考えている(バブル崩壊後はかなりその状況は減少したが)。脅威と認識する程度は、共和党の方が同盟国とみなす傾向が高く、民主党の方がライバルとみなしがちだ。また、アメリカも中国の提供する経済メリットを受け取ることで、これまでは中国のわがままを見逃し続けてきた。逆に言えば、中国はアメリカの顔を少なくとも立ててきたのである。だが、数年前(習近平の方針変更)より状況は一変した。

 さて、最近の中国から出てくる声は非常に威勢が良い(「目を突かれて失明しないよう気をつけよ」中国が米など“ファイブアイズ”を牽制(ABEMA TIMES) - Yahoo!ニュース)のだが、これをどのように読み解くべきであろうか。過去にも何度も触れたが、現在中国は世界中に喧嘩を売りまくっている。台湾は言うまでもないが、その他にアメリカを筆頭に、オーストラリア、インド、カナダ、そして日本(尖閣に侵攻しながら秋波は送ってくるが)やアセアン諸国にも様々な圧力をかけようとしている。国家間の交渉は飴と鞭の両者で均衡を得るのが通常だが、かなり鞭の要素が高まっている印象が感じられる。私個人としては中国の国際戦略はお世辞にもうまいとは思わないのだが、彼らは徹底して行うために揺るぎがない点が日本などと異なる。

 

 中国が世界的な存在感を高めているのは言うまでもないが、ここにきての態度の変化がどのような理由によるものかが重要であると思う。すなわち十分な自信をもってアメリカとの対立(あるいはアメリカへの譲歩)を選択したのか、それとも国内的な不安定さゆえに対外的な敵を作らなければならなくなったという消極的な選択である。前者よりも後者による方が突発的な戦闘開始の可能性は飛躍的に増大する。中国共産党政府が事態をコントロールできているかいないかの違いが理由で、後者はコントロールができていないからこそ敵対せざるを得ないという訳だ。

 傍証的な情報はいくつか見えてくるが、間違いなく後者であるという明確な根拠はまだない。実際に国際関係は様々な要素が複雑に絡み合い、前者の要因と後者の要因が同時に併存しているのが普通である。強いて言えばキャスティングボートをどちらの要因が握っているかと言う問題であろうか。本来、将来的に間違いなくアメリカを凌駕できるという余裕がある場合には、戦狼外交なような強権的なスタンスを取る必要がない。放っておけば自分たちがどんどんと力を得ることができる(逆にアメリカは衰退していく)のだから。「金持ち喧嘩せず」はこの場合においても真理であろう。だが、現実はアメリカにこそ強くは言わないが、その他の国にはかなり高圧的である。それは、自分たちが勝っている(あるいは間違いなく覇権を握る)とは信じていない結果だと思う。

 本来、覇権を確立するためには味方となる国をどれだけ増やせるかが重要なのだが、国連における一票を期待した途上国へのお金による抱え込みはできていても、それ以外の国家を十分ひきつけられてはいない(一時期AIIBや一帯一路で順調に動きかけたが、アメリカの抵抗から流れが変わった)。お金では振り向かせられても、信用で他の国を引き付けられなジレンマのような状況である。成金が本物の金持ちになれない状況と言ってもよいかもしれない。もちろん、将来的にアメリカの覇権を覆す可能性が皆無とは言わないが、中国の今の焦りのようなものを見るにつけ、その野望が遠のいているのではないかと思うのだ。

 

 そうした状況を鑑みると、中国が諸外国への恫喝を強めるほどに彼らは自分たちが苦しい状態にあると自白しているように見えてくるから不思議なものだ。彼らは増長しているのではなく、背伸びをして自らの強さを誇示しなければならないという訳である。その背伸びは、周辺国の反発を招くものであるということもわかっているだろうにやめられないのだ。コロナワクチン外交も、欧米を崩すところにまでは至っていないし、デジタル覇権についてはアメリカを中心にじわじわと締めつけられる体制を整えられている。コロナ感染の拡大により一気に中国締め付けの流れが進むことはないかもしれないが、大きな流れは現時点では決している。

 中国が焦っている理由はいくつか想定できる。一つ目には、予想以上に欧米諸国やアセアンなどからの批判や反発が多いこと。ある程度は予想していただろうが、抑え込みや懐柔により打破できると踏んでいたフシがある。国連を通じた数の外交に対しては、アメリカが徐々に国連のプレゼンスを下げる方向で骨抜きにしつつある。二つ目には、国内で膨張しすぎたバブルのコントロールが困難(中国国有企業がまたデフォルト、財務状態に懸念広がる | ロイター)になってきていること(中国企業ドル建て債の不履行、昨年3倍の約1.3兆円=香港紙)。中国内需の大部分は不動産開発によるもの(中国、中小銀行の破綻処理終結 不良債権比率98% :日本経済新聞)であるが、その後の稼ぎ頭とする予定であったAIや半導体中国「半導体崛起」沈滞か…清華ユニが破綻の危機 | Joongang Ilbo | 中央日報)、その他先進技術の開発にアメリカを中心とした妨害が入ったことによる(RIETI - 中国、ハイテク産業と金融システムが瓦解の兆候…事実上の「ドル本位制」が行き詰まり)。もちろん、西側諸国からすれば中国の技術剽窃を阻止するための行動であり、基本的な構図としては中国が最先端の技術(あるいは技術者や研究者)を盗もうとしたという問題である。既に中国の経済成長は止まりつつある。三つ目には、今後莫大な高齢者への対応をしなければならない(60歳以上が5億人に…!「超高齢大国」中国の未来がヤバすぎる(近藤 大介) | 現代新書 | 講談社(2/4))が、そのための体制が全く整っていないことである。一人っ子政策は撤回されたが、残念ながら子供の数が劇的に増加しているわけではない。国家としての人口バランスは著しく歪なままである。

 

 時間がたてばアメリカの経済力を凌駕するという声も少なくはないが、平和的な形での発展の形(すなわち世界が認める形式)がなければ中国の経済成長はそれほど簡単ではないだろう。成長がストップすると、あるいはこれまで必死にかさ上げしてきたバブルが崩壊すると、中国内部には相当の不満が蓄積し、場合によっては暴発する可能性は低くはない。それをコントロールするために治安維持に多大の資金を投入し、信用スコアを使った政府反乱や暴動抑止システムまで構築(社会信用システム - Wikipedia)している。「弱い犬ほどよく吠える」ではないが、苦境にあるからこそ強気を見せなければならない。北朝鮮を見ていればよくわかるではないか。

 逆に言えば、中国国内でも弱気を許容できる柔軟さや寛容さがあれば、中国は本当の意味での世界大国になれるであろう。だが、今のところそのような厚みのある言論空間も社会も中国には存在しないし、むしろそれは抑圧されつつある。恐ろしいのは、このように塗り固められた化粧の裏にはどろどろとした実情が存在し、しかし表面的な成功の部分のみをクローズアップし続けようと中国共産党政府が考え続けたとすれば、その先には戦争の文字が見えてくる。ここで言う戦争は、経済戦争ではなく武力によるものである。経済成長ではなく、別の勝利を求めなければならないのだ。その発端を誰が切るかはわからないが、可能性が高まりつつあるのは確かではないかと思う。

コロナ感染が寿命を縮めるかも

 コロナウイルスに感染して、無症状のままで終われば後遺症に可能性は高くないようにも思うが、軽症や重症になった場合には後遺症に悩まされることが既に報告されている。その明確な原因や機序については不明ではあるが、おそらくは体内の組織(血管や肺、脳やその他の臓器)がどれだけ深刻に傷つけられるかにかかっている。再生可能なレベルのダメージであれば元に戻ると考えてよいだろうが、細胞の繊維化等により一部でも再生できなくなれば、それは老化に等しい症状を招くことになる(感染すると突如「20歳」老化する!? 新型コロナは「玉手箱ウイルス」 日本医科大北村特任教授が警鐘:イザ!)。すなわち、すぐに重篤な症状や影響が出るわけではないが、トータルでの寿命が短くなってしまうという結果を招くのではないかという懸念(新型コロナ感染の後遺症で脳が10歳も老化する? | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)である。

 病気になれば残りの寿命が短くなるというのは、なんとなく理解できる。体の一部が回復不能なダメージを受ければ、他の部位が代替するにしても余裕を失う。別に新型コロナではなくとも何らかの病気が重症化すれば余命が短くなるであろうことはそのとおりだが、コロナは一般の病気より軽微な感染でも影響が大きく出るのではないかと考えたりする(日本からの新型コロナ後遺症の報告 約2割が発症約1~4ヶ月後に脱毛の症状も(忽那賢志) - 個人 - Yahoo!ニュース)。それが事実であるかどうかは現状の情報では確認のしようがない。ただ、SARSやMERSにおいて治癒したものの生活の質が大きく低下した(後遺症に悩まされ、場合によっては寿命が短くなる)とする情報は確認できる(https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/kikikanri/H25/20131016-04.pdf)。これまでの報道で明らかになった情報から推測すれば、新型コロナウイルスも同じような経過をたどる可能性は否定できない。

 

 現在のコロナ対策は感染を完全に防ぐというものではなく、死亡者を如何に防ぐかに力点が置かれている。これは経済にも配慮しているからであるが、感染防止と経済回復の両立という言葉が出る(菅首相 改めて“GoTo継続”の考え示す|日テレNEWS24)のは、少なくとも感染しても回復すれば大丈夫というということが前提になっている。重篤化防ぐことは医療崩壊を防ぐ上で当然重要な事項であるが、感染者の生活の質が大きく下落する可能性を考慮すれば、今以上に感染抑制に強く舵を切る方が良いという考え方が強くなるだろう。感染者は残りの寿命が短くなるかもしれないということ、あるいは後遺症により生活の質が大きく低下するということを踏まえると、容易に経済回復との両立とは言えなくなる。

 私自身感染しないように細心の注意を払っているが、その理由は年齢に応じて死亡率が上昇してることもあるが、感染により自分の持つ人生の残り時間を消費してしまうということに対する懸念の方が大きい。新型コロナに感染しても若者は重症化せず軽症以下に留まることが多いのは事実だが、それは彼らの寿命が減少していないことを保証しない。また、後遺症等により長期に亘り生活の質が低下した場合には、感染とは別の社会問題を引き起こす。

 

 「太く短く」人生の散財をしても良いと言い切れる強者であれば構わないだろうが、臆病者からすればコロナの恐怖はやはり小さなものではない。新型コロナは、おそらく若者と老人に差別をしない。若者は寿命という貯金を提供することで軽症で済んだり、あるいは大した症状がでないという可能性を考えた方がいいだろう。もちろん、高齢者からすれば寿命を提供することはすなわち命を失うという可能性が高まる事であり、運よく回復できたとしても元の状態を取り戻すことはおそらく叶わないだろう。

 新型コロナの脅威は、高齢者の死亡率が高いことや若くても辛い後遺症が生じることが本質ではなく、感染により私たちの寿命が削られていくこと、すなわち寿命と引き換えにコロナから逃れるということではないか。繰り返し感染するほどにどんどんと寿命が削られていくとすれば、かつてつのだじろうが描いた漫画の「恐怖新聞恐怖新聞 - Wikipedia)」のように逃れらなない怖さを私たちに与えてくれる。更に言えば、それが一人ではなく多くの人に降りかかるのである。

 

 今まさしく開発されつつあるワクチンが、この私が妄想している構図をどの程度覆すかはわからない。あるいは今後開発され、見つけ出される治療薬(あるいはそのカクテル)が症状をどの程度楽にするかも不明である。ただ、寿命という長期で見なければ確定できないものを奪われるとすれば、仮定に仮定を重ねた話ではあるが恐ろしいものである。

 できれば、この妄想が杞憂であってくれることを祈りたい。

ワクチン接種は義務化されるか?

 ファイザー米ファイザー、コロナワクチンの有効性95%と発表 治験最終結果(AFP=時事) - Yahoo!ニュース)やモデルナ(モデルナのワクチンも「94.5%の予防効果」―新型コロナ、克服への道に光は差したか | AnswersNews)のワクチンの効果が90%以上ある発表された結果アメリカや日本の株価が上昇し、更に年末にも接種が開始されるという情報(新型コロナ:コロナワクチン、緊急承認で20年中に供給開始も (写真=ロイター) :日本経済新聞)が出て元の生活に戻れるのではないかと言う雰囲気が広がりつつある。だが、私はワクチン接種がどんどんと進むという考えには否定的である。上記2社が製造するワクチンはmRNAワクチン(新型コロナ:DNA・mRNA・ベクター… 多様なワクチンの違いは? (写真=AP) :日本経済新聞)と呼ばれる種類のもので、これまで承認されたことのない全く新しい製造方法によるものである。何度も反応を確かめながら行う旧来の手法ではないことから、1年もたたずに実用化にこぎつけることができた。当初より、通常の方法でワクチン開発すれば数年は必要と言う情報が専門家より出されていたが、スピード重視で作成された結果が現在の状況である。もちろん従来的な手法を使った開発も行われていると思うが、安全性確認に関して言えば検証の量は明らかに少ないだろう(新型コロナワクチン開発で相次ぐ朗報-供給・保管面などに課題 - Bloomberg)。

 こうした状況を知る医療関係者や専門家などは、今発表されているワクチンが安全かどうかはわからない(安全とも危険とも言い切れない)という意見を持っている人もいる(新型コロナワクチン「効果9割」も「安全性、証明できる段階にない」専門家が警鐘 ファイザー、モデルナの違い:東京新聞 TOKYO Web)。同じような感想を持つ国民は非常に多いのではないか。自らを実験台にしたくないと考える人は相当に多く、国民の多くが接種して安全性がある程度確認できたと思えた時に、自分もワクチン接種に臨みたいと考える人が大多数ではないかと考える(米コロナワクチン「当面は私は打たない」 免疫学の第一人者が憂慮する「禁じ手」 - 毎日新聞)。

 

 未知のワクチンは、効能についてもわからないことが多い。副作用がどの程度であるのか、またワクチンの有効期限はどの程度なのかなど、不明点は少なくない。さてこのような状況下で、誰もが後にワクチン接種を受けたいとすればどうなるのか。考えるまでもなくその結果は誰もワクチン接種を進んで受けないということ。もちろんビジネスで必要なため目をつぶって受ける人もいれば、チャレンジャーも接種することになると思うが、そうした人の数は国民全体から考えると限定的であろう。

 ただ、仮にワクチンが有効だとしても数多くの人が接種しなければ社会に広がる感染状況は抑制できない。すなわち、政府はワクチン接種を義務化できるのか(新型コロナウイルスワクチンが市場に出たら、国はワクチン接種を強制できるか? | エディターズ・チョイス | ダイヤモンド・オンライン)という問題に行き着く(コロナワクチン接種が義務化されるとこうなる | ナショナルジオグラフィック日本版サイト)。現在日本政府は努力義務としている(新型コロナ:コロナワクチン、接種を努力義務に 法改正へ :日本経済新聞)が、この状況は受けなくても良いと言っているのに近い。よって、政府が音頭を取ってもワクチン接種が進まないという状況が一時的にできる可能性がある。オリンピックでも現状は義務化されないとしている(東京五輪、ワクチン接種は義務化せず IOCバッハ会長(AFPBB News) - goo ニュース)。

 そもそも、子宮頸がんワクチンについてですらトンデモ論により接種の推奨が取りやめられ、その結果として癌患者の増大を引き起こしている(HPV ワクチン接種率の激減によって増加する子宮頸がん罹患・死亡者の推計人数 — リソウ)。私は反ワクチンの運動を間接的に後押ししたメディアの責任は重大であると思うが、同じようなことが繰り返される可能性は否定できない。結果的に世論に押される形で、接種の義務化には至らないであろうと予測する。

 ある程度時間が経過すれば、チャレンジャーたちの状況(もちろん問題ない場合に限る)が情報として流れることでワクチン接種が進み始めるだろう。そのタイムラグはおおむね半年から1年ではないかと思う。

 

 すなわち、ワクチン接種が順次できるようになるのが2021年の春からと仮定して、実際にそれが進み始めるのが秋以降。多くの国民が接種を終えるのは2022年に入ってからと言うのが今後の流れではないか。とすると、ワクチンが有効であり危険性が低いという前提に立っても、社会や経済が元に戻るのはあと1年以上が必要になりそうだ。

アメリカ大統領選挙雑感

 あまりに混沌としていたためあえて大きくは触れてこなかったが、アメリカ大統領選挙アメリカをどの様な方向に導くかという異なる勢力による内戦状態になっている。一つは大多数のメディアや新興勢力たる企業群を中心とした意識高い系のエスタブリッシュメントと呼ばれる人たちであり、もう一方にトランプ大統領を支持するような古き良きアメリカを求める人たちである。前者が勃興し後者が衰退中であるが、まだ多くの人たちは後者のグループに属する。従来、民主党は後者(特に労働者)の支持を得ていたが、今ではその支持が共和党にかなりシフトしている。これ以外に、少し前にアメリカ政治を握っていたネオコン新自由主義)の存在もあるが、この関係性は主義主張の対立からお互いの存在を否定し合うほどの関係性になりつつある。

 さて、大統領選挙についてはメディアが露骨に民主党(バイデン候補)の応援をしており、世論操作から言論検閲など幅広く自分たちの意見に世論を近づけるための行動を繰り返している(例えばバンドワゴン効果を狙うなど)が、それは必ずしも成功していないようだ。むしろ、露骨すぎるえこひいきが中立層を含めて反感を買う方向に作用しているようにも見える。投票結果に過誤があることがいくつかのメディアでも報道されているが、メディアはそれを取り上げず、また州の公式な投票結果以前に自分たちの調査をもとに当落を喧伝した。これは、そのような社会的な認識を固めることでトランプ大統領側に負けを認めさせようとする戦略であろう。

 

 実際に、現状公表されている投票結果が覆るかどうかはわからない。可能性で言えば覆らない方が高い確率だと思う。だが、日本では考えられないようなずさんな選挙が行われていることは間違いなく白日の下にさらされた(日本でも選挙の不正は一定数あると思うが)。特に、戸籍がないことによる投票資格の適格性確認が十分機能していない事実は、今回の投票結果がどちらに決まるかは別にして修正されなければならないだろう(米大統領選でやはり「不正」があったかもしれない、ちょっとした状況証拠 | 今週もナナメに考えた 鈴木貴博 | ダイヤモンド・オンライン)。また、ドミニオンという投票集計ソフトに関する疑義も広がっている(【速報!】(不正票ソフト)ドミニオンが全米で270万票のトランプ票を削除したことが判明!! | Total News World)。もちろん、その疑義に関する明確な根拠はまだ提示されていない。問題がないという報道も散見する(トランプ氏の疑念にもかかわらず投票ソフトウェアに対する懸念は杞憂に終わる(TechCrunch Japan) - Yahoo!ニュース)。現状、どちらの情報が正しいかを確認する方法はない。だから、私としては様子見である。

 だが、投票数の異常なまでの増加(米国の選択:2020年大統領選 重要課題、票に直結 米社会の分断鮮明 米主要メディア調査分析 - 毎日新聞)については個人的にある程度の疑問を抱かざるをえないでもいる。トランプ大統領が史上最多の票を得ており、バイデン候補がさらに多くの票を得ている。本当にそれほどまでに投票率が高まったのだろうかという素直な疑問である。さらに言えば、議会選挙では共和党が上院で過半数を占めるであろうことに加え、下院でも議席数をかなり伸ばす見込みである。知事選でも共和党側が勝っている。すなわち、大統領選挙のみが他の投票と比べて逆転している状況なのだ。

 

 陰謀論や飛び交う根拠不明の些細な情報に流されるつもりはないが、大きな視点で見たときに今回の大統領選挙は少し違和感がある。ただ、それが少なくとも現時点で大規模な不正があったという証拠によるものではない。

 逆に考えれば、もしこれが大規模な不正投票(あるいは国外からの選挙介入)により結果が左右されていたとすれば、どちらが勝ったにしてもアメリカの威信は大きく傷つけられる(既に毀損していると言ってよい)。場合によっては、今後に大きく尾を引く大規模な混乱となるだろう。それを喜ぶのは言うまでもなく中国とロシアである。これは妄想に過ぎないが、私が中国政府首脳であり選挙に密かに介入していたとすれば、不正の情報を流すことでアメリカ政治を収拾のつかない混乱に陥れられるとほくそ笑むかもしれない。どちらかが明確に差をつけて当選すことにより国が結束するのではなく、むしろ政治的・思想信条的な対立が広がっていく方が望ましい。繰り返すが、これは真実でも何でもない私の妄想である。

 Antifaに中国が資金提供をしていたという情報もある。実際、CNNなどは日本人から考えるとどう見ても暴動としか言えないものを「平和的なデモである」などと無茶苦茶な論理で言い訳している。トランプの予測不能な行動も面倒ではあるが、そのようなこじつけを報道機関が行っていることの方がずっと個人的には恐ろしい。トランプ大統領のパーソナリティを支持するつもりはないが、それ以上にポリコレ的な強制力を持つ社会が見せる未来の方が怖いのだ。

 

 さて、どのような決着が待っているかは予想が難しいのは多くの人も言っているであろう。トランプ大統領が負けを認めるのか、再集計で明確な結果が示されるのか、更には逆転劇があるのか、下院の投票という歴史的な決着になるのか。だが、アメリカ社会に打ち込まれた分断という楔は非常にやっかいでネガティブなものであろう。

新型コロナの焦点は後遺症へシフト

 新型コロナ感染症は世界中で未だ拡大している(新型コロナ 世界の感染者5212万人 死者128万人(12日午後3時) | 新型コロナウイルス | NHKニュース)。日本では第三波と呼ばれたりしているが、私は第二派であると考えているし海外でもそのように報道されている。春先のパニック時の欧州から広がったものが第二波で、この冬の再度の拡大が第三波という訳である。夏ごろにも波が見て取れるが、これがいまだ続いているというのが見立てである。もっとも、名称の話など正直どうでもよい。重要なのは現在の状況が感染拡大の典型的なスタイルを示している(influenzer on Twitter: "→米国の感染者数と死亡者数の推移新規感染者はなんと1日16万人を超え、まだプラトーは見えず。
死亡者数も遅れて増加傾向。ついに7日平均でも1日1000人を超えました。https://t.co/UeTR9dL6HS… "
)こと、死亡率こそ3月や4月と比べて低いものの予断を許すべきではないことだろう。特に死亡率については、検査体制の充実により第一波では発見できなかった患者を見つけ出しているため、見かけ上低くなっていると考えた方が良い。中国を起点とし北半球で始まったパンデミックは、南半球(主に南米)を中継し再び北半球に戻ってきた。特に、第一波ではまだ十分に到達しなかった東欧での患者数や死者数の増加は顕著である。

 しかし日本政府は緊急事態宣言に及び腰であるし、欧州も爆発的な再拡大に直面して初めて部分的な都市封鎖に踏み切った。要するに、経済を殺さないために二の足を踏んでいるということである。これはニュージーランドや台湾のように、ほとんど封じ込めに成功した国では経済面での落ち込みも小さいとされる。もちろん、ワクチン期待が高いのは間違いないが、ワクチンが一般に普及し始めるのは早くとも来年の4月ごろとされる(コロナワクチン、来年4月にも全国民が利用可能に=トランプ氏 | ロイター)。逆に言えば、それまではワクチンなしで立ち向かわなければならないということ。加えてこの4月という時期は早ければと理解したほうが良いだろう。何より難しいのは、今後冬季になり増加するであろう患者数を、世界中の国々は対処しきれるのかという問題に対して誰も答えを持っていないことではないか。第一波は1月ごろから始まったため寒い時期から脱出しつつあったこと、そして地域も限定されていたため拡大がそれほど大きなものにはならなかった。しかしこの冬は期間もフルで用意されている。加えてウイルスは世界中にばらまかれた。更に悪いことには、第一波で財政支出をしすぎてしまった世界中の政府は、さらなる財政支出に及び腰になる。ロックダウン導入に対して腰が引け、お金をばらまくことにも否定的なマインドである。

 

  こうした状況に輪をかけて注意しなければならないのが、後遺症問題であろう。死亡率はおそらく治療法の確立により低下していくだろうが、後遺症により社会復帰が難し唸る人たちが増加すると、これもまた社会的な混乱を引き起こす。当初より後遺症問題に関する指摘離されていたが、その状況が次々と明らかになりつつある(意識失い嘔吐、記憶あいまい 新型コロナ、脳まで侵入か(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース)、(コロナ 退院後も半数近くが後遺症とみられる症状 和歌山県調査 | 新型コロナウイルス | NHKニュース)(新型コロナ感染の後遺症で脳が10歳も老化する? | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)。

 まだ、後遺症がどの程度の確率で現れどれだけの期間継続するかに関する明確な情報はない。これが、インフルエンザや一般的な風邪と同程度の確率であれば問題にする必要はないだろうが、どうやら今までの情報を見る限り高そうに見える。今後開発されるワクチンが一生効果を有するものにはならないだろうという雰囲気はあると思うが、インフルエンザと同様にコロナにも型が存在してワクチンの効果が左右される可能性も十分に考えられる。

 感染しても高確率で復帰できるという希望はそろそろ持っても大丈夫な時期に来たと感じるが、その復帰が本当に可能かどうかが今後の社会的な不安の対象になってくるだろう。既にいろいろな場所では、回復後数か月にわたり後遺症に悩まされる人の情報を見ることができる。症状が重いほどに後遺症も酷くなるようである。この後遺症が一生続くかもしれないという怖さもある。

 

 まだ、ワクチンすら本当に効くかがわからない状況ではあるが、この冬の急激な増加時点での社会の目は、死亡率から後遺症の詳細情報へとシフトしていくだろう。例えば罹患後、半年も休職しなければならないとすれば職を継続することは困難になる。現在の社会や政府意識は死亡に焦点が当たっており、それを抑えられれば経済を動かせるという認識である。そして、その両立を図ろうというのが政策にも反映されている。

 しかし、罹患そのものが社会のパフォーマンスを大きく落とすとことが明確になった時、これまで行っている対策は有効とは言えないということを理解するだろう。もちろん、今後完璧なワクチンが開発される可能性がないわけではない。あるいは後遺症に対し劇的な効果を示す薬が開発されるかもしれない。だが、経済が上手く回るためには健康な人がどれだけいるかということが最も重要である。感染者数の増加や死亡者数に焦点を当て続けるのもよいが、私は後遺症の生じる確率とその影響についてもっと情報が多く出るようになってほしいと思う。実は社会を継続していくためにはそちらの方が重要になるかもしれないのだから。

マナー講師とツイフェミの類似性

 マナー講師問題は、勝手なマナーを創作してそれをスタンダードにしていく(飯の種にする)人々(喪服に黒タイツはマナー違反? タイツはカジュアルとする葬祭マナーに…お坊さんの回答が話題(まいどなニュース) - Yahoo!ニュース)に対する反発から発生したものである。同様に、Twitter等においてフェミニストを自称する(あるいはそのような見地を持つ)人が広告や宣伝、あるいは有名人その他一般人に対しても、自分の言動が正しいという前提のもとに指摘し、それを自分の(営業・言論等)活動に結びつけようとする状況(日本モンキーセンターが不適切投稿で謝罪 「女性蔑視」と批判相次ぐ - 毎日新聞)が存在する。

 私はどちらの行動も賛成しないし、正直言えば迷惑千万だと思っている。もちろん、マナーにも人権配慮にも越えてはいけない線と言うのはあるだろう。ただ、問題はそのような社会常識により設けられる線は本来かなり曖昧で、比較的大きな許容度を認めている。それらを自分たちの主張に従い規定(侵食)していくのがこの人たちであり、勝ち取った領土に応じて旨味があるともいえる。常識の範疇を変える争いが生じているのである。

 

 問題は、マナーも人権も大きく逸脱してよいものではないので、必要か不必要かの二択になると必要と判断されるものを対象としていることにある。程度の線引きがあいまいだからこそ、こうした人たちの言い分が受け入れられやすい素地があると言えよう。ただ、ボーダーを構成する社会常識は特定の人物や勢力が決めるものではないというのが最も重要な真実である。ノイジーマイノリティが既存の社会ルールを変えようとする時に、こうした問題が湧き出てくる。

 ただし、同じ常識や同じルールが永遠に続くものではないというのも事実。社会変化に応じて徐々に変わっていくだろうし、その方向がひょっとすればマナー講師やツイフェミと呼ばれる人たちの主張に合致していることがあるかもしれない。ただ、それは長い時間を経なければ証明しようのない内容である。現時点で言えることは、彼らの行動は自分の商売の範疇を拡大するために行っているマーケティングに過ぎないということ。確定したマナーでもなく、多くの人が賛同する常識でもないことを、あたかもそのように喧伝することで自分の主張に近い考え方を広め、その結果として自分のビジネスにつなげていくという商売行為であるに過ぎない。

 

 そもそも、マナーと言うものは社会が安定している時に他との差別化を図るために行う儀式行為である。仲間である集団の同一性意識を高めたり、余裕があることを社会に示すための示威行為であったり。もちろん、美しい動作や所作が伝統として受け継がれていくことには意味があるが、新しいそれは様々な状況の変化や淘汰を経て生き延びるものにこそ意味がある。それを無理やりマナーと言って押し付けることのなんと無意味なことか。

 あるいは人権の在り方も時代とともに変化する。私は人権侵害を推奨することなどないが、マイノリティとマジョリティの権利の間にも微妙でかつ心理的な常識ラインと言うものが存在する。これもまた社会意識が決定するものであって、理念により決定されるものではない。

 

 もし理念により決定されるのであれば、私たちは世界中の貧しい人たちと同じような暮らしをすべき(日本の富を彼らにも分け与え、我々は生活水準を落とす)と主張すべきだし、中国が行っている著しい人権侵害に対しては日本での細かなポスター問題の何万倍も大きな声で抗議しなければならない。だが、日本で些細な問題にクレームをつける人たちがそれを行動しているという話を寡聞にして知らない。

 要するに、自分が安全なところで自分の生活水準を下げることなく、都合の良い自己主張を行っているだけなのだ。もちろん、小さくても日本国内で生じた差別的なことを問題視することが無意味とは言わないが、おそらく日本でも彼らが主張する以外にもっと大きな問題が横たわる。マスメディアの人権侵害である。私は、今こそこれ以上に大きな人権侵害問題が日本に存在しないとすら思うのだ。

 

 まあ、世間を見渡すと結局のところ「好き」「嫌い」と自分に「利益になる」か「不利益になるか」しか存在していない。その中で、日本全体として「利益になる」方向性を探っていってほしいと思うのだが、同じ日本国内での「利益の奪い合い」を行っているのがマナー講師問題やツイフェミ問題だけでなく、野党の主張やマスコミの報道にもみられる現象ではないだろうか。

 人間社会に存在する曖昧な概念を、正邪の二択で迫る現象はまさにポリティカルコレクトネスであり、この在り様こそが世論を二分する対立構造を生み出す最大の理由ではないかと思う。問題は、グローバル化が進展するほどにポリティカルコレクトネスが力を持つことになることであろう。反グローバル化は文化面での同一性を高め、丁度良い落としどころを社会に設けるという意味で、現代社会に投げかけられた一つの踏み絵かもしれない。

 アメリカにおいて、TwitterFacebookがグローバリストの集まりであるからこそ内向的な主張は退けられ、社会を阿吽の呼吸から新しい形のルールにて縛り付けることが求められるようになる。幸いにも日本はまだそこまで入っていないが、どちらの方が幸せな社会だろうかとは考えてしまう。

第二次コロナパニック

 欧米のコロナウイルスによる死者数がここにきて急速に伸びてきた(欧州感染第2波深刻に 仏、全国的なロックダウン検討、独などコロナ制限近く導入か | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)。夏ごろに一時期その時点を第二派と呼ぶ声もあったが、本当の意味での第二派は今回であろう。このウイルスの恐ろしいところは、インフルエンザよりも感染率が高い点にある。ここにきて日本のインフルエンザが絶滅に近い状況(東京でインフル激減、2517人→2人 RS、手足口も [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル)にも関わらず、コロナ患者数はそこまで落ち込んでいない(日本の場合には欧米と比べ安定)。

 ただ、感染状況は3月ごろに私が予想した状況とそれほど異なっていない。日本での致死率は1%近辺で世界的に見れば優秀な方と言うものであった。どこかで書いたと思うが夏ごろまでの死者が1000人程度で、年末までで2000人ほどという予想もそれほど大きくは外れてないと思う(記載がなければすみません)。日本は他国とは全く異なる国民の自主性に期待した感染予防法を取り、不備もいろいろあるもののそれなりの結果を出している。中国などの強制力に頼る方式ではなく、一方で欧米のように自由との間で揺れ動いてもいない。

 ちなみに、多くの検査をして隔離に努めている筈の欧州で感染を抑制できていない状況は、日本政府(専門者会議)の取っている方法がそれほど的外れではなかった傍証のように感じる。方法論的には正しくないように見えるが、結果論としてそれなりに良い結果を導いている。もちろん、この国民の自助努力により生まれた状況が続くという保証はない。アジアは全般的に欧米と比べて患者数が少ない方ではあるが、インドや中東は欧州やアメリカを抜きそうな勢いで伸びている。東アジアと東南アジアがまだマシな結果を残しているという感じであろうか。ちなみにタイのコロナ死亡者数が少ないが、5月ごろの情報では超過死亡数が高かったので、カウントの問題と言う気もしないでもない。最近の状況を確認していないが、報道の数字をうのみにできないのは言わずもがなであろう。ただそれでも欧米と比べればかなり少ないはずである。

 

  今回の感染拡大は、これから寒くなることを考えると第一波を超える広がりを見せるのではないか。既にフランスではマクロン大統領がそれに言及している(第2波深刻…全国規模の外出制限を発表 仏|日テレNEWS24)。スペインでは緊急事態宣言を来年の5月まで敷くと発表している(スペイン、全土の緊急事態宣言を来年5月まで延長 | ロイター)。欧州のコロナ感染再爆発を受けて、これまでお金をばらまくことで景気下支えをした結果上昇していた株価は大きく下落した。アメリカ大統領選挙の不透明さも関係しているだろうが、先の見通しが立たない状態が最も大きな要因となる。ただ、史上最高に膨れ上がった過剰流動性は、今後も様々な悪さをしていくだろう。

 特に、アメリカ国債金利の上昇傾向がみられる(【債券週間展望】利回り曲線にスティープ圧力、米長期金利上昇傾向で - Bloomberg)のがなかなかに不気味である。これはドルの信認と密接に結びついているが、財政支出を抑制させる圧力となるため、景気回復に大きなダメージとなり得る。更に言えば、ドルの下落に結びつくようなことがあれば、世界的な混乱も避けられないだろう。日本などはデフレに再突入かと言われているが、世界中で通貨の信用が低下すればスタグフレーションの連鎖が生じる可能性も高くはないが存在する。

 

 第二次のコロナパニックは、コロナへの恐怖よりも経済や通貨信認が揺らぐことへの恐怖が勝るのではないかと予想している。今年の3月時のコロナショックによる株価下落は速やかな財政支出や債券の買い支えにより押し戻された。むしろ余った資金が株価をかなり押し上げた。だが、金利の上昇により財政支出の積み増しが困難となれば、悪性のインフレが生み出され得る。それはおそらく新興国から広がり、世界中を駆け巡るであろう。金利上昇が債権のデフォルトを引き起こし、金融ショックを招くのである。また、金利上昇が不動産への悪影響となって現れ、不動産バブル崩壊へとつながる可能性もある。

 どのような形で進行するかを明確に予測することは困難だが、長期的には中国の不動産バブルはいつかはじけるだろうし、通貨の信頼は下落し金を始めとした貴金属や穀物等の資源価格が上昇するだろう(原油価格は微妙だが)。その前に、株価下落のショックでそれらの価格も一時的に下がることも想定できるが、こうした波乱を各国政府や中央銀行がどれだけ食い止められるかが問われている。

 兎にも角にも先を読むのが難しい状況は続き、逆に言えばこの荒波を乗り切れる人は成功をつかむのではないか。受け身よりは積極的に動いた方が良い時代になったのかもしれない。

世論分断を促進するマスコミファクトチェック

 マスコミの発信する誤った情報や恣意的な世論誘導に対するネットの反撃は、マスコミ自身がファクトチェックを強いられるという状況を生み出すに至った(ファクトチェック - 毎日新聞)。これはマスコミの自己防衛的な対応の結果ではあるが、更なる分断を引き起こす序章ともなりつつある。そもそも報道機関は自分たちの報道が事実に基づいているかどうかを厳しくチェックしなければならないのは当然である。すなわちわざわざ「ファクトチェック」などと別の部門や内容を作る必要などない。しかし、現実にはそれがほとんど機能していない(【新聞に喝!】事実とは“真逆”の報道 作家・ジャーナリスト・門田隆将(1/2ページ) - 産経ニュース)と世間に認識されているからこそ、現状に至ったと考えた方が良い。もっとも、サイレンスマジョリティが求めるファクトチェックは主にマスコミ報道そのものに向けられている。だが、残念ながらマスコミが自ら宣言して行うファクトチェックは恣意的に選別され、自分たちと意見の異なる情報や意見発信者に向けられる(バズフィードと琉球新報が「ファクトチェック」で国際原則とかけ離れた記事、恣意的な運用の恐れ(藤代裕之) - 個人 - Yahoo!ニュース)。更に言えば、そこではファクトチェックを行う対象を操作し、重箱の端をつつくような揚げ足取りに陥る可能性はかなり高そうだ。

 すなわち、世論が期待したマスコミが自ら発信する内容に対するファクトチェックではあるが、現実にはマスコミが敵対する意見を追い落とすために利用している。その上で自身の報道にはチェックをかけなければ、公正性を謳いながらライバルの信用を貶め自分にとって都合の良い方向に世論誘導できるという仕組みである。こうした方法は韓国や中国が日本に行っている国際世論戦と構図が非常によく似ているが、すでに多くの国民はこうした虚構に気づいており、一時的には世論が動くことはあっても大きな流れは変わらない。ファクトチェックを前面に押し出しても大きく評価されることはないし、それにより信用性が改善されることもない。

 ところが、ファクトチェックを行うとしたマスコミ側は自分自身の正義に酔っているため、この恣意性には気づいていないか、あるいは知っていながらも自己防衛的な態度から方針変更ができない自縄自縛に陥っている。もちろん、左派メディアの意見に親和的な人は一定数存在し、マスコミを追認する意見もあるだろう。あるいは、十分に調べることもなく誤った情報を発信する人も少なからずいる。その嘘が広がっていくことも少なくはないし問題であろう。私は保守的な立ち位置だが、右派も左派も結構好きなことを言っているなとは思っているが、その傾向は左派系の方が高いようだ。自分の正義に酔っていると私は考えているが、いくら自らの信念に基づき報道しても世論が付いてこないため、それを強引に捻じ曲げようと自爆的な状況に陥っていると考えた方がわかりやすい。

 

 確かに、民主主義社会の世論がポピュリズムにより危うい方向に向かっているという認識は、広く緩やかに抱かれつつあると私も思う。その明確な兆候はアメリカの現状に見いだせるが、逆に考えれば政治闘争に勝つためにはポピュリズムが必須となっていると見ることもできる。ただ、このファクトチェック合戦は声の大きな方が勝つような仕組みである。自分たちと意見の異なる相手に対して行う攻撃なのだから。

 マスコミが良く行う報道の方法として、相手の言葉を切り取り都合の良いように用いることがある。例を挙げればきりがないほど当たり前のように行われている事態である(https://www.youtube.com/watch?v=pYITVi-XkZs&feature=emb_title)が、そういう事態が見過ごされている状況そのものが異常であるという告白をマスコミ側から聞いたことがない。かつて「TBSは死んだ」と発言したキャスターがいた(TBSビデオ問題 - Wikipedia)が、都合如意報道の身を繰り返すという意味では、既に何万回も死んではゾンビのように生き返っている。

 現状広がりつつあるマスコミが攻撃的意味で用いるファクトチェックは、単純に世論を分断する方向にのみ加担する。その理由は、そもそもの動機が自己防衛のためだからである。自己防衛のために自らの敵を叩く。それを応援するのは政治的思考を同じくする者たちだけ。ファクトチェックの名のもとに、世論分断化が着々と進められる。

 本当の意味で求められるファクトチェックは外部への指摘もあってよいが、それ以上に内部の報道姿勢を標的としなければならない。だが、既に衰退しつつある左派メディアにとって決して真面目に取り組めないことであろう。自分たちが他者に強制しながら自らは逃れてきた自己反省そのものだからである。右も左も、メディアはそういうことを過去から繰り返し続けてきたのだ。かつてほとんど唯一の発信者であった時代には抑え込めていた一方的な言論環境は既に崩壊しつつある。過去が正しかったという前提に立っているからこそ、マスコミの自己認識は間違ったままなのだ。正確には、過去にもずっと続けられていた不公正な報道が見逃されていただけなのだから。

 

 実際、世の中というものは不合理にあふれている。それは人間と言う存在が完璧でないことの証拠であり、社会に進化の過程が残されている希望の痕跡でもある。それを恣意的に、彼らが正しいと思えることで覆い尽くそうとしているのが左派だと感じている。だが、それは社会主義共産主義が失敗してきた計画経済や計画社会の匂いが強烈にする行動である。そしてそれを指し示す者たちが指導者として君臨する。未だにその夢を見ている人たちが予想以上に多いことに、個人的には辟易している。世の中はそんなに簡単ではなく、社会主義の指導者は専制への道を歩む。

 メディアが、実のところ社会の自由を奪う方向にシフトしているとすれば、それは暗黒の社会を導く標となっている。それを善意で行っていると信じているからこそ、彼らは自分の正義を信じて疑わない。自らを疑うという姿勢がファクトチェックの原点であろう。