Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

コロナ感染が寿命を縮めるかも

 コロナウイルスに感染して、無症状のままで終われば後遺症に可能性は高くないようにも思うが、軽症や重症になった場合には後遺症に悩まされることが既に報告されている。その明確な原因や機序については不明ではあるが、おそらくは体内の組織(血管や肺、脳やその他の臓器)がどれだけ深刻に傷つけられるかにかかっている。再生可能なレベルのダメージであれば元に戻ると考えてよいだろうが、細胞の繊維化等により一部でも再生できなくなれば、それは老化に等しい症状を招くことになる(感染すると突如「20歳」老化する!? 新型コロナは「玉手箱ウイルス」 日本医科大北村特任教授が警鐘:イザ!)。すなわち、すぐに重篤な症状や影響が出るわけではないが、トータルでの寿命が短くなってしまうという結果を招くのではないかという懸念(新型コロナ感染の後遺症で脳が10歳も老化する? | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)である。

 病気になれば残りの寿命が短くなるというのは、なんとなく理解できる。体の一部が回復不能なダメージを受ければ、他の部位が代替するにしても余裕を失う。別に新型コロナではなくとも何らかの病気が重症化すれば余命が短くなるであろうことはそのとおりだが、コロナは一般の病気より軽微な感染でも影響が大きく出るのではないかと考えたりする(日本からの新型コロナ後遺症の報告 約2割が発症約1~4ヶ月後に脱毛の症状も(忽那賢志) - 個人 - Yahoo!ニュース)。それが事実であるかどうかは現状の情報では確認のしようがない。ただ、SARSやMERSにおいて治癒したものの生活の質が大きく低下した(後遺症に悩まされ、場合によっては寿命が短くなる)とする情報は確認できる(https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/kikikanri/H25/20131016-04.pdf)。これまでの報道で明らかになった情報から推測すれば、新型コロナウイルスも同じような経過をたどる可能性は否定できない。

 

 現在のコロナ対策は感染を完全に防ぐというものではなく、死亡者を如何に防ぐかに力点が置かれている。これは経済にも配慮しているからであるが、感染防止と経済回復の両立という言葉が出る(菅首相 改めて“GoTo継続”の考え示す|日テレNEWS24)のは、少なくとも感染しても回復すれば大丈夫というということが前提になっている。重篤化防ぐことは医療崩壊を防ぐ上で当然重要な事項であるが、感染者の生活の質が大きく下落する可能性を考慮すれば、今以上に感染抑制に強く舵を切る方が良いという考え方が強くなるだろう。感染者は残りの寿命が短くなるかもしれないということ、あるいは後遺症により生活の質が大きく低下するということを踏まえると、容易に経済回復との両立とは言えなくなる。

 私自身感染しないように細心の注意を払っているが、その理由は年齢に応じて死亡率が上昇してることもあるが、感染により自分の持つ人生の残り時間を消費してしまうということに対する懸念の方が大きい。新型コロナに感染しても若者は重症化せず軽症以下に留まることが多いのは事実だが、それは彼らの寿命が減少していないことを保証しない。また、後遺症等により長期に亘り生活の質が低下した場合には、感染とは別の社会問題を引き起こす。

 

 「太く短く」人生の散財をしても良いと言い切れる強者であれば構わないだろうが、臆病者からすればコロナの恐怖はやはり小さなものではない。新型コロナは、おそらく若者と老人に差別をしない。若者は寿命という貯金を提供することで軽症で済んだり、あるいは大した症状がでないという可能性を考えた方がいいだろう。もちろん、高齢者からすれば寿命を提供することはすなわち命を失うという可能性が高まる事であり、運よく回復できたとしても元の状態を取り戻すことはおそらく叶わないだろう。

 新型コロナの脅威は、高齢者の死亡率が高いことや若くても辛い後遺症が生じることが本質ではなく、感染により私たちの寿命が削られていくこと、すなわち寿命と引き換えにコロナから逃れるということではないか。繰り返し感染するほどにどんどんと寿命が削られていくとすれば、かつてつのだじろうが描いた漫画の「恐怖新聞恐怖新聞 - Wikipedia)」のように逃れらなない怖さを私たちに与えてくれる。更に言えば、それが一人ではなく多くの人に降りかかるのである。

 

 今まさしく開発されつつあるワクチンが、この私が妄想している構図をどの程度覆すかはわからない。あるいは今後開発され、見つけ出される治療薬(あるいはそのカクテル)が症状をどの程度楽にするかも不明である。ただ、寿命という長期で見なければ確定できないものを奪われるとすれば、仮定に仮定を重ねた話ではあるが恐ろしいものである。

 できれば、この妄想が杞憂であってくれることを祈りたい。