Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

PCR検査精度とコロナウイルスの精巣攻撃

(3/30 3:00 タイトルを一部変更しました「不妊化症状」→「精巣攻撃」)

(3/30 12:00追記;志村けんさんのご逝去の報に接し、謹んで哀悼を表します)

 私も以前のエントリでPCR検査の感度が低い可能性があることに触れたが、それが低くないということを説明しているサイト(RTPCRをしたことのない人の勘違いについて書いてみた - 生物学博士いいなのぶっちゃけていいっすか?)の説明は納得できるものであったので、ここで紹介したい。内容は、PCR検査の精度が50~70%という説には根拠がないこと、専門家がきちんと対応すれば90%以上の(99%に近い)確度で陽性を見つけられるというもの(キャノンメディカルのプレスリリース:PressReleaseDetail)である。気になる人は確認してほしい。(3/30 12:00追記:PCR検査は実験室では精度が高いが、臨床では低くなるという意見もある:【偽善の帝王:上昌広】【新型コロナ】なぜPCRの感度が30%程度と低いのか? | 神宮外苑ミネルバクリニック)。

 ただ、このサイトの方も上氏のように無秩序にPCR検査をすることを進めているのではなく、医師が検査したほうが良いと判断した人を、あまり厳しいハードルを設けずに検査べきという内容であった。その上で、現在陽性者を全て入院させているが、隔離方法を確立して感染の広がりを抑えるべきと読んだ(誤読はご容赦願いたい)。

 

 私の意見として、医療崩壊防止をターゲットにすべき(新型コロナ感染ピーク時 目安の病床数確保難しい現状明らかに | NHKニュース)という考えに変化はないが、ここにきて感染経路不明の症例が東京を中心にかなり増え始めたこと(気付いた時には感染爆発、医療崩壊 専門家が危機感深める感染経路不明者の急増 - 毎日新聞)には強い危機感を抱いている。補足できていない無自覚(あるいは軽度)感染者による感染の広がりが大きくなりつつあることを意味しているからだ。当初、この感染症の性質や状況が十分に分からない状態で、既存マニュアルを活用しながらも手探りで対応を進めていたのは間違いない。BCGが効果を持っていたためか、あるいは日本人の潔癖症が功を奏したのか、それともクラスターを封じ込める対策が良かったのかわからないが、初期(1月から2月初旬)の感染者数からの伸びは、運よく欧米のそれと比べて抑え込めている。ただ、その戦略の勝算は発生したクラスターを全て抑え込むという前提に立っている。都市封鎖のように経済を犠牲にしなくとも耐えられるとすれば、全てのクラスターを制御できるという困難な方法しかないからである。

 その戦略に基づいているため、PCR検査数が少ないのは事実である(首相、感染隠しを否定 PCR検査で :日本経済新聞)。その上で、少なくとも死亡者数については欧米よりも少なく済んでいる。カウントされていない人がゼロとは言わないが、イタリアのように1万人もの死者が出ていれば隠しきれないだろうし、数千人でも困難だと思う(「日本はPCR検査を積極的に行わないので、新型肺炎の致死率が高い」は大間違い。 | 五本木クリニック)。ただ、今までが大丈夫であったからと言って、今後が大丈夫であるという保証は何もない。特に、ここにきての陽性率がずいぶん高くなっている。政府対策班も既に検討していると思うが、そろそろPCR検査の体制を変えるべきではないか。冒頭でも触れたように今までよりPCR検査基準を緩和し、逆に陽性であっても軽症者は自宅待機(あるいは隔離施設移動)のシステムに変えていくことである。その上で、非常事態宣言(【速報】安倍首相 新型コロナで会見「緊急事態ではないが瀬戸際」 TBS NEWS)を引き延ばす余地はそれほどない。行政的な準備に時間がかかるのは承知しているが、早急に実施すべきではないか。

 国内の医療リソースが限られている中で、それを最大限効率的に使うためには、臨機応変に体制を変化させていく必要がある。また、政治や行政は法律等に縛られ必ずしも最適な行動を取れないことも少なくないが、緊急時であるということを再認識してほしい。仮に致死率が1%として、それから逆算すると既に感染者は5000人以上いることになるのだから。感染者数が全てではないが、それを抑え込まなければ重症者が増加して既存新設では対応できなくなる。アメリカでもすでに野戦病院ができている(米東海岸と西海岸に野戦病院を設営へ 病院船も派遣)のだ。アメリカは、想定以上にこのウイルスに対して脆弱であった。

 

 さて、もう一つ気になる話がある。まだあまり報道されていないが、新型コロナウイルスが精巣にダメージを与える(コロナウイルス、男性の生殖機能を著しく低下させる恐れがあることが判明 | 秒刊SUNDAY)という研究結果である(新冠损伤男性生殖功能出现首个临床证据)。まだ、十分な知見がある訳ではないので断定はできないが、新型コロナに罹患しても軽症で済むと甘く見ている若者たちに注意喚起しておきたい。

 まだ正確なことはわからないが、新型コロナウイルスにかかると子供がきなくなるかもしれない(治癒して戻るかもしれない)ことを軽く考えない方が良い。この感染症は未知のウイルスであり、これ以外にもどのような症状が現れるかはわからない。マクロ的には、多くの人が亡くなるが治療薬やワクチンの開発により最終的には社会の中に溶け込むことになるだろうことは、当初より書いてきた。第三者的な視点で危機感を抱きにくいかもしれないが、それは対策ができるまでの間は多くの人が苦しむことになることでもある。すなわち、ミクロ的視点で見れば社会が大きな衝撃を受けるということ。

 

 おぼろげな将来イメージは当初より何となくイメージしてきたが、ここにきて徐々に新たな見地により詳細が固まってくる感じであろうか。それでも、最終的には日本は耐えられる国であると信じている。関係者の皆様は、ギリギリの状態で努力を続けられていると思うが、そのご苦労には深い感謝しかない。私は経済を殺さない中でないができるかと言う観点で見ているが、同時に多くの国民が状況に応じた正しい認識と、自覚をもって対応してほしいとも願う。