Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

疑心暗鬼が生み出す社会崩壊

 本日二本目のエントリ。

 

 欧州がウイルスとの戦争状態になっているのは、ニュースをチェックしている人なら理解しているだろうが、現時点で最も患者が多いのはアメリカとなっている。死亡者数ではイタリアが最悪(イタリア 死者1万人超え 事態さらに深刻化 新型コロナ | NHKニュース)だが、今の傾向を見るとアメリカも後に続く可能性は高い。そんな中で、アメリカでも社会を騒がせるような話題が出た(健康保険未加入で病院から門前払い…新型コロナ感染で米国の17歳少年が死亡とNY紙が報じる(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース)。都市封鎖(サウジ、都市封鎖を拡大 新型コロナの死者増加 - ロイター)や医療崩壊という極限状況では、このような行為が騒乱を引き起こさないとも限らない。誰もがこの先の状況に大きな不安を抱いており(独ヘッセン州財務相が自殺 新型コロナ危機で「絶望」:時事ドットコム)、心理面で破裂寸前の風船のようになっているからである(タイ刑務所で暴動発生、一部囚人が脱走 新型肺炎発生のうわさで - ロイター)。

 日本人が東日本大震災でも整然とした行動を取ったことは、多くの国から賞賛されたが(【世界を驚かせた日本人】東日本大震災の被災者たち 暴動・略奪なく「助け合いの精神」発揮 (1/2ページ) - 政治・社会 - ZAKZAK)、細部で見ると窃盗を始めとした様々な犯罪や買占め等の社会不安を煽るような行為があったのも事実。外国人によるものもあっただろうが、大部分は日本人が関与している。それでも全体で見れば欧米やそれ以外の外国と比べて大人しいのも事実である。最も大きな問題と考えられるのが、移民国家であるアメリカの社会秩序が守られるのかであり、次に移民を引き受けた欧州のそれであろう。欧米で都市封鎖が長期化すれば(英国の外出禁止は半年以上続く可能性、当局者が見解 - ロイター)、どこかで爆発が生じてもおかしくない。何せコロナ騒動が生じて、アメリカで最初に無くなったのは銃や弾なのだから(新型コロナウイルスの影響で、アメリカで弾薬の買い占めが勃発!オンラインショップで売上倍増も(FINDERS) - Yahoo!ニュース)。仮に暴動があちこちで発生し、それが長期化するようなことがあれば、これまでの社会秩序が大きく変わることも想定できる。軍によう鎮圧となるだろうが、それが残す社会的しこりは小さくない。一種のパラダイムシフトだが、それが歓迎すべき変化かどうかは疑問も残る。 

 

 同様のことは、日本でも少しずつ話題に上がっている。厚生労働省が毎日発表する新型コロナウイルスの国内発生状況報告に、陽性患者の全体数と日本国籍の者という記載願されている(新型コロナウイルス感染症について)。例えば、3月29日12時時点の報告では、「感染者数」は1,693例とされ、「日本国籍の者」が1,035人とされている(クルーズ船は除く)。ただし、「日本国籍の者」の後に括弧書きで(これ以外に国籍確認中の者がいる)とされている。

 国籍確認中の者が何人かは書かれていない。「感染者数」から「日本国籍の者」を減じた数が658人となり、これが全て外国人なのか、あるいはその大部分は日本人だが、何らかの理由で国籍を確定できないのかが不明なのだ。仮に全てが外国人だとすれば、日本の貴重な医療リソースがそこに食われていることになる。数字上だけだが、38.8%が日本人以外という計算である。さらに、それを過去にさかのぼって確認した人がいるので、次のサイトを参照してほしい(厚労省・新型コロナ陽性者データに内在する不可解な矛盾|ishtarist|note)。ただし、読み進めると厚生労働省の公表するデータが正確な判断を行うのに適していないこともわかる。

 私が危惧するのは、現状ネット上では「日本国籍の者」以外は全て外国人と言う前提で話が進んでいることであろう。さらに、ここ半月ほどで「日本国籍以外の者」の数が大きく増えていることが問題となる。単純に考えれば、外国人の感染率が非常に高い、あるいは日本に検査を受けるために来ているという可能性を導き出してしまう。

 だが、実際には外国から日本に入ってくるのは数週間前からかなり困難である。全体的な入国拒否は3/29に検討していることが公表された(米中韓からの外国人を入国拒否へ 政府、欧州ほぼ全域も [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞デジタル)が、それ以前よりビザの停止など実質的な締め出しは3/9から始まっていた(新型コロナに関する水際対策の抜本的見直し-ビザの効力停止など強力な措置も採用 | ニッセイ基礎研究所)。すり抜けてくる手口もあるのかもしれないが、基本は中国や韓国のパスポートを持っていれば入国は拒否されていたはずである。3/21からは欧州からも待機要請が為されていた(日本政府、欧州など38か国からの入国者に14日間の待機要請。3月21日0時から - トラベル Watch)。待機要請に留めていたのは、帰国する日本人を想定してであると思う。

 すなわち、「日本国籍の者」以外が日本人でないとすれば、それは少なくとも3/9以前から日本にいた中国人・韓国人、あるいは3/21以前に日本に来た欧州人、そしてそれ以前・以降を含めたアメリカ人、東南アジア人等となる(東南アジア7か国など 発給済みビザの効力停止 新型コロナ | NHKニュース)。以前のエントリで、日本の医療リソースを求めて韓国人が来ることに警告を発したことがあるが、韓国もいろいろとあるとは思うが予想以上に踏ん張っているというのが正直な感想。すなわち、彼らが日本に来る必要はそこまでない。

 個人的には、当初の中国人観光客等を除けば大部分の「日本国籍の者」以外は地方自治体で国籍確認されなかったが日本人ではないかと想像する。都道府県からの報告に国籍条項がないために、厚生労働省が確認できていないだけではないか。さらに言えば、既に回復している人もかなりの数いるので、医療リソースが外国人に占拠されていると考えるのはまずいと思う。もちろんゼロとは言わないが、程度は多くの人が感じるほどには高くないだろう。フィリピンパブで自暴自棄な親父に感染させられた人もいるのだから。できれば厚生労働省のサイトも、誤解を招かないような記述に変更してほしいと思う。

 

 比較的寛容で粘り強い日本ではあるが、疑心暗鬼が広がればとんでもない事態を引き起こすことも考えられる。更には、不安な時にこそ付け込む勢力があることも知っておいた方が良い。それは日本人の顔をしていても日本人のために働く人ではないかもしれない。感染者の外国人率を考えるよりも、そこに付け込まれる方がずっと怖い。十分、デマ等には注意しておきたい。