Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

第二次コロナパニック

 欧米のコロナウイルスによる死者数がここにきて急速に伸びてきた(欧州感染第2波深刻に 仏、全国的なロックダウン検討、独などコロナ制限近く導入か | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)。夏ごろに一時期その時点を第二派と呼ぶ声もあったが、本当の意味での第二派は今回であろう。このウイルスの恐ろしいところは、インフルエンザよりも感染率が高い点にある。ここにきて日本のインフルエンザが絶滅に近い状況(東京でインフル激減、2517人→2人 RS、手足口も [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル)にも関わらず、コロナ患者数はそこまで落ち込んでいない(日本の場合には欧米と比べ安定)。

 ただ、感染状況は3月ごろに私が予想した状況とそれほど異なっていない。日本での致死率は1%近辺で世界的に見れば優秀な方と言うものであった。どこかで書いたと思うが夏ごろまでの死者が1000人程度で、年末までで2000人ほどという予想もそれほど大きくは外れてないと思う(記載がなければすみません)。日本は他国とは全く異なる国民の自主性に期待した感染予防法を取り、不備もいろいろあるもののそれなりの結果を出している。中国などの強制力に頼る方式ではなく、一方で欧米のように自由との間で揺れ動いてもいない。

 ちなみに、多くの検査をして隔離に努めている筈の欧州で感染を抑制できていない状況は、日本政府(専門者会議)の取っている方法がそれほど的外れではなかった傍証のように感じる。方法論的には正しくないように見えるが、結果論としてそれなりに良い結果を導いている。もちろん、この国民の自助努力により生まれた状況が続くという保証はない。アジアは全般的に欧米と比べて患者数が少ない方ではあるが、インドや中東は欧州やアメリカを抜きそうな勢いで伸びている。東アジアと東南アジアがまだマシな結果を残しているという感じであろうか。ちなみにタイのコロナ死亡者数が少ないが、5月ごろの情報では超過死亡数が高かったので、カウントの問題と言う気もしないでもない。最近の状況を確認していないが、報道の数字をうのみにできないのは言わずもがなであろう。ただそれでも欧米と比べればかなり少ないはずである。

 

  今回の感染拡大は、これから寒くなることを考えると第一波を超える広がりを見せるのではないか。既にフランスではマクロン大統領がそれに言及している(第2波深刻…全国規模の外出制限を発表 仏|日テレNEWS24)。スペインでは緊急事態宣言を来年の5月まで敷くと発表している(スペイン、全土の緊急事態宣言を来年5月まで延長 | ロイター)。欧州のコロナ感染再爆発を受けて、これまでお金をばらまくことで景気下支えをした結果上昇していた株価は大きく下落した。アメリカ大統領選挙の不透明さも関係しているだろうが、先の見通しが立たない状態が最も大きな要因となる。ただ、史上最高に膨れ上がった過剰流動性は、今後も様々な悪さをしていくだろう。

 特に、アメリカ国債金利の上昇傾向がみられる(【債券週間展望】利回り曲線にスティープ圧力、米長期金利上昇傾向で - Bloomberg)のがなかなかに不気味である。これはドルの信認と密接に結びついているが、財政支出を抑制させる圧力となるため、景気回復に大きなダメージとなり得る。更に言えば、ドルの下落に結びつくようなことがあれば、世界的な混乱も避けられないだろう。日本などはデフレに再突入かと言われているが、世界中で通貨の信用が低下すればスタグフレーションの連鎖が生じる可能性も高くはないが存在する。

 

 第二次のコロナパニックは、コロナへの恐怖よりも経済や通貨信認が揺らぐことへの恐怖が勝るのではないかと予想している。今年の3月時のコロナショックによる株価下落は速やかな財政支出や債券の買い支えにより押し戻された。むしろ余った資金が株価をかなり押し上げた。だが、金利の上昇により財政支出の積み増しが困難となれば、悪性のインフレが生み出され得る。それはおそらく新興国から広がり、世界中を駆け巡るであろう。金利上昇が債権のデフォルトを引き起こし、金融ショックを招くのである。また、金利上昇が不動産への悪影響となって現れ、不動産バブル崩壊へとつながる可能性もある。

 どのような形で進行するかを明確に予測することは困難だが、長期的には中国の不動産バブルはいつかはじけるだろうし、通貨の信頼は下落し金を始めとした貴金属や穀物等の資源価格が上昇するだろう(原油価格は微妙だが)。その前に、株価下落のショックでそれらの価格も一時的に下がることも想定できるが、こうした波乱を各国政府や中央銀行がどれだけ食い止められるかが問われている。

 兎にも角にも先を読むのが難しい状況は続き、逆に言えばこの荒波を乗り切れる人は成功をつかむのではないか。受け身よりは積極的に動いた方が良い時代になったのかもしれない。