Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

新型コロナの焦点は後遺症へシフト

 新型コロナ感染症は世界中で未だ拡大している(新型コロナ 世界の感染者5212万人 死者128万人(12日午後3時) | 新型コロナウイルス | NHKニュース)。日本では第三波と呼ばれたりしているが、私は第二派であると考えているし海外でもそのように報道されている。春先のパニック時の欧州から広がったものが第二波で、この冬の再度の拡大が第三波という訳である。夏ごろにも波が見て取れるが、これがいまだ続いているというのが見立てである。もっとも、名称の話など正直どうでもよい。重要なのは現在の状況が感染拡大の典型的なスタイルを示している(influenzer on Twitter: "→米国の感染者数と死亡者数の推移新規感染者はなんと1日16万人を超え、まだプラトーは見えず。
死亡者数も遅れて増加傾向。ついに7日平均でも1日1000人を超えました。https://t.co/UeTR9dL6HS… "
)こと、死亡率こそ3月や4月と比べて低いものの予断を許すべきではないことだろう。特に死亡率については、検査体制の充実により第一波では発見できなかった患者を見つけ出しているため、見かけ上低くなっていると考えた方が良い。中国を起点とし北半球で始まったパンデミックは、南半球(主に南米)を中継し再び北半球に戻ってきた。特に、第一波ではまだ十分に到達しなかった東欧での患者数や死者数の増加は顕著である。

 しかし日本政府は緊急事態宣言に及び腰であるし、欧州も爆発的な再拡大に直面して初めて部分的な都市封鎖に踏み切った。要するに、経済を殺さないために二の足を踏んでいるということである。これはニュージーランドや台湾のように、ほとんど封じ込めに成功した国では経済面での落ち込みも小さいとされる。もちろん、ワクチン期待が高いのは間違いないが、ワクチンが一般に普及し始めるのは早くとも来年の4月ごろとされる(コロナワクチン、来年4月にも全国民が利用可能に=トランプ氏 | ロイター)。逆に言えば、それまではワクチンなしで立ち向かわなければならないということ。加えてこの4月という時期は早ければと理解したほうが良いだろう。何より難しいのは、今後冬季になり増加するであろう患者数を、世界中の国々は対処しきれるのかという問題に対して誰も答えを持っていないことではないか。第一波は1月ごろから始まったため寒い時期から脱出しつつあったこと、そして地域も限定されていたため拡大がそれほど大きなものにはならなかった。しかしこの冬は期間もフルで用意されている。加えてウイルスは世界中にばらまかれた。更に悪いことには、第一波で財政支出をしすぎてしまった世界中の政府は、さらなる財政支出に及び腰になる。ロックダウン導入に対して腰が引け、お金をばらまくことにも否定的なマインドである。

 

  こうした状況に輪をかけて注意しなければならないのが、後遺症問題であろう。死亡率はおそらく治療法の確立により低下していくだろうが、後遺症により社会復帰が難し唸る人たちが増加すると、これもまた社会的な混乱を引き起こす。当初より後遺症問題に関する指摘離されていたが、その状況が次々と明らかになりつつある(意識失い嘔吐、記憶あいまい 新型コロナ、脳まで侵入か(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース)、(コロナ 退院後も半数近くが後遺症とみられる症状 和歌山県調査 | 新型コロナウイルス | NHKニュース)(新型コロナ感染の後遺症で脳が10歳も老化する? | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)。

 まだ、後遺症がどの程度の確率で現れどれだけの期間継続するかに関する明確な情報はない。これが、インフルエンザや一般的な風邪と同程度の確率であれば問題にする必要はないだろうが、どうやら今までの情報を見る限り高そうに見える。今後開発されるワクチンが一生効果を有するものにはならないだろうという雰囲気はあると思うが、インフルエンザと同様にコロナにも型が存在してワクチンの効果が左右される可能性も十分に考えられる。

 感染しても高確率で復帰できるという希望はそろそろ持っても大丈夫な時期に来たと感じるが、その復帰が本当に可能かどうかが今後の社会的な不安の対象になってくるだろう。既にいろいろな場所では、回復後数か月にわたり後遺症に悩まされる人の情報を見ることができる。症状が重いほどに後遺症も酷くなるようである。この後遺症が一生続くかもしれないという怖さもある。

 

 まだ、ワクチンすら本当に効くかがわからない状況ではあるが、この冬の急激な増加時点での社会の目は、死亡率から後遺症の詳細情報へとシフトしていくだろう。例えば罹患後、半年も休職しなければならないとすれば職を継続することは困難になる。現在の社会や政府意識は死亡に焦点が当たっており、それを抑えられれば経済を動かせるという認識である。そして、その両立を図ろうというのが政策にも反映されている。

 しかし、罹患そのものが社会のパフォーマンスを大きく落とすとことが明確になった時、これまで行っている対策は有効とは言えないということを理解するだろう。もちろん、今後完璧なワクチンが開発される可能性がないわけではない。あるいは後遺症に対し劇的な効果を示す薬が開発されるかもしれない。だが、経済が上手く回るためには健康な人がどれだけいるかということが最も重要である。感染者数の増加や死亡者数に焦点を当て続けるのもよいが、私は後遺症の生じる確率とその影響についてもっと情報が多く出るようになってほしいと思う。実は社会を継続していくためにはそちらの方が重要になるかもしれないのだから。