Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

softCAS

テレビの地上デジタル化のそもそもの目的は、電波の有効利用と活用にあるとされる(Dpahttp://www.dpa.or.jp/chideji/faq/faq.html)。しかし、衛星からの通信を用いずに地上でデジタル波を飛ばすのは、地方TV局の存続が理由ではないかという噂もある。基本的には地デジに移行しているため、現状では大部分のテレビにはB-CASwikihttp://ja.wikipedia.org/wiki/B-CAS)カードが挿入されている。しかし、少し前に違法チューナーが、そして有料放送など見ることが出来るBlack−CASカードが問題となり、先日は通常のB-CASカードをフリーにする書き換え方法が流出し、現状は、チューナーのあるPCならソフトをインストールして操作すれば済むsoftCASなんてものまで出回るようになった。本来ならこんなところでも書かない方が良いのだろうが、現実にはすぐに広まると思われるので敢えて触れておこう。

仮にソフトの書き換えのみで、チューナー付きのPCであれば容易に有料コンテンツを視聴することも可能になってしまうとすれば、現状の有料放送のシステムはほとんど意味をなさなくなってしまうだろう。その技術がどこから流出してどのように作られたのかは判らないが、今の放送体系は成立しなくなる。
ここで考えるべき問題は、その時の代替方法が検討されているのかどうかである。技術というのは日夜進歩するし、秘匿した情報もいつかは流出する。流出が実質的に影響を与えない時期であればよいが、今回のケースなどではまさしくその技術が用いられているまっただ中である。
現状では有料放送を行っている放送事業者(スカパーやWOWWOWなど)は不正利用に対して損害賠償などの法的措置を執るとしているが、爆発的に広がった場合にはそれも実質的に不可能になるだろう。
だとすれば、B-CASカードを提供している株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズwikihttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%BC%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%82%BA)が適切な防護措置を執らなかったと賠償請求の対象になる可能性もあるのではないかと思う。そもそもこの会社には利権の典型的な姿であるとの批判が絶えない(Blogos:http://blogos.com/article/39723/)。少なくとも、破られる可能性が十分い予見できたにも関わらずそれを放置してきた責任は問われるであろう。

私もデジタルデータの不正コピーなどが氾濫することは、権利者保護の観点から望ましいものではないと思うが、ただその権利がどこまでカバーされるべきかについては議論をもっと深めなければならないと考えている。少なくとも、現状のテレビ局などが主張するそれは著作権者の保護ではなく自らの利益の保護によるものだというイメージは拭いきれない。
B-CASカードの存在も基本的にその延長線上にあると思うのだ。おそらく新しい仕組みをもう一度見直さなければならないのではないだろうか。

「悪貨が良貨を駆逐するのは、悪貨が広まる理由も同時に存在するからであろう。」