Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

ビッグデータは誰のものか

 元NSAのスノーデン氏(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3)が暴露(http://www.huffingtonpost.jp/2013/06/09/nsa_n_3413118.html)をしてからこの手の情報収集に否定的な意見が多く述べられているが、レベルや状況は異なるかもしれないが日本でも情報の扱い方についてはいくつかの議論が巻き起こっている。
 例えば、JR東日本SUICAの情報を売却しようとした件では取り扱われるビッグデータ(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B0%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF)の分析結果が、個人のプライバシーを侵害するかが問題とされている(http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130823-00010002-bjournal-bus_all)。同じようなことは、既にgoogleやその他の販売サイトが消費者の行動データとして実際に使用している。

 ビッグデータとは、一般的なツールでは処理しきれないほどの情報量を持ったデータのことを示す。かつてはそのようなものが仮に存在しても私たちは為すすべもなかったのだが、現代では行動に発達した処理システムを用いればその分析を行うことが不可能ではない。それ故に、こうしたデータは一体誰のものなのかと言う問題が今後巻き起こってくる。
 現状では、消費行動(あるいはネット行動)のみの状況ではあるが、これが進めば人のゲノムがデータ化され、あるいは生活の全てをセンサにより捕捉され分析されることも夢物語ではない。

 大量に集められたデータは、個人を特定するように使用するのではなく群としての傾向を把握するように用いられた場合には、個人的な損失が高いわけではない。それでも、消費行動を分析すれば誰に聞くことなく結婚や妊娠に至っていることが把握できたりする。アメリカなどでは既に企業からそのようなダイレクトメールが届くシステムが出来上がっている。要するに、個人を特定するように扱えば個人の秘密を暴露するに足りる情報となる。
 企業側からすればマスデータをあくまで匿名情報として扱うと言っているが、情報処理の段階では確かにそうしていたとしても営業的なターゲットを選択する段階で個人のフィードバックされている。この両者に直接の因果関係はなかったとしても、それを受け取る側からすれば因果関係があるのと変わらない。

 様々な情報を集めて処理することは、人々の生活を豊かにしていく上では意味のあることだと思う。情報が善意に用いられ個人に跳ね返ることがないのであれば、望むべき社会と言えると思う。
 しかし、現実には情報は漏洩し、選択され、そして利用される。NSAのケースはその典型ではないかと思う。ありとあらゆるデータを収集し、それを分析して個人の行動・状況を特定する。企業も理想としてそれを行いたいのだから、この誘惑を断ち切ることは容易ではない。

 そもそも、こうしたビッグデータのもととなる情報は誰のものなのだろうか。情報を発信する主体である個人、その情報を収集する業者や団体、そして情報を分析する業者や団体などがあるが、情報自体は個人がその利用を制御するものであるというのが大原則ではないかと思う。
 それを利用する者たちは、個人の同意を得なければこうしたデータを使用することはできないというのが大原則であろう。しかし、現実にはこうした同意がなされていないケースも少なからず存在する。あるいは非常に複雑な利用約款等でわからないように謳っているケースもあるだろう。
 そして、さらに言えば与えられた情報をどこまで利用してよいかと言うレベルの問題がある。得た情報を無条件に利用してよいという権利を与える人はほとんどいまい。大部分の企業は個人が特定されるようなことはないと説明するが、それを信じている人も多くない。

 ビッグデータは、情報量が多いために通常の企業や個人ではそれを扱うことができない。すなわち、それを取り扱えるものが限定されている。だが、ビッグデータはこうした団体や企業の持ち物であるとは言えないと私は思う。
 こうした情報の扱い方について、国民的な議論がなされる時期に来ている。