Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

ミラクリン

ミラクリンという物質を知っているだろうか。タンパク質の一種で、人間の味覚を変質させる物質である。
wikihttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%B3
元々は、西アフリカ原産のミラクルフルーツという果物の実から抽出されたものであるが、果物から取れるそれは非常に微量だそうである。ただ、2004年に筑波大学でレタスに遺伝子を組み込んで大量発現させる実験に成功している。

この物質、現状ではアメリカ食品医薬局(通称FDA)から食品添加物としては認可されていない。日本でも、一時的に認可されたものの該当する製品が作られなかったため、現在では認可されていない。

さて、ところでこのミラクリンとは何が特徴的なのだろうか。実を言えば、この物質は酸味を甘みに誤認させるという物質なのだ。要するに、この物質を舌に薄く塗りつけておけばレモンですら甘く感じてしまう(ただし、少し時間がかかる)。この物質自体は無味無臭なので、まるで催眠術にかかってでもいるように酸っぱい物も甘く味わえるのである。実際には、完全に酸味を消すのではなく、およそ10の酸味を7の甘みと3の酸味に変換するとされている。ちなみに、持続時間は塗布状況にもよるだろうが約2時間程度と言われている。

人が酸味を感じる能力は、腐ったものなどを食べないように発達したものであるため、単純に酸味を感じられなくなることは良い話ではないのだが、特定の条件下ではメリットが生じる。すなわち、ダイエットである。
単純に食べすぎというケースであれば別かもしれないが、一般的に甘い物の誘惑はなかなか拒絶しがたい物がある。
ところが、この物質が上手く使えればカロリーのほとんど無い酸っぱい物が、最高のデザートになり得るというわけだ。
お酢を飲んでも、それがまるで甘いジュースの如く。。。

食品添加物としては認められていないのだが、現在既にミラクリンの錠剤は売られている。
物質としての長期的な安全性はまだ十分確認されていないため、その是非にはいろいろと意見もあるだろうが、一時厚生省が認可したこともある物であって、再度の検証が早く為されて欲しいところである。
場合によれば、生活習慣を改善するために非常に役に立つかもしれないのだから。

現在でも、大学ではこの物質に関する研究はいろいろと続けられている。
東京大学農学部http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2011/20110927-1.html
東海大学http://www.fb.u-tokai.ac.jp/WWW/hoshi/miracle/fruit.html
筑波大学http://www.gene.tsukuba.ac.jp/activity/ezura_lab.htm

たわいもない話ではあるが、生活習慣病を改善することができれば医療費の抑制や、国民の健康を守るという大きな意義を得る可能性も秘めている。そう考えてみれば、非常に夢のある物質とも言えるだろう。

「人の感覚を惑わすという意味において、使い方を間違えれば危険でもある。当面は、治療目的に利用することになるだろう。」