Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

一斉休校措置

 いい加減コロナウイルス関係の話ばかりで、少々飽きが来た感じもあるが、それでもビビッドな話題であるのに違いはない。ただ、この問題について書きたいことは大体触れたようにも思うので、次回以降はできれば違う話題を取り上げようと思う。

 

 安倍総理が要請した小中高校の一斉休校措置に対し、否定的な意見(休校要請「理解」「唐突」…与野党に波紋 蓮舫氏は撤回要求 - 産経ニュース)を含めて様々な情報(滋賀・湖南市長「地方自治への不当な介入。土足による蹂躙」 新型肺炎の政府対応を批判 - 毎日新聞)が出てきている(「一律休校」は撤回を/BS番組で小池書記局長(詳報))。確かに今回の要請は、科学的な措置ではなく政治的なもの(一斉休校は「科学より政治」の悪い例 クルーズ船対応の失敗を告発した岩田教授に聞く - 毎日新聞)で間違いない。だから、科学的根拠を問われても明確に答えることはできないだろう。ただ、国という存在は科学で構成されているのではなく、人間が集まってできる社会により形作られている。すなわち細部の取り組みでは科学的見地が重要だが、マクロではそれを生かすための政治的施策が重要になる。今回の要請判断が正しかったかどうかは後で検証すればよいが、今はまず政府がどのような態度で取り組むのかを明示することが重要だった。個人的な意見としては少々遅きに失した感じもするが、今からでも本気で取り組む姿勢を見せるのは悪い話ではない(今までが本気でなかったというのではなく、不安な国民との対話が不足していた)。

 

 さて、現時点で政治が判断すべきなのは二つのポイントである。一つは蔓延の防止のための限定的な都市機能の封鎖(新型コロナウイルス対策として、都市封鎖や全面休校といった「強硬策」はどこまで有効なのか?|WIRED.jp)。そして、その次に用意するのが無能で不見識な野党やハイエナのようなマスコミが要求する感染の収束(あるいはほとんど意味のない検査拡大)に全てのリソースをつぎ込むことではなく、国民が心理的な落ちつきを得るまでに、どこまでの経済的リスクを許容するかという部分(医療崩壊を発生させないための措置)だと考える。世界的な感染拡大の状況(Coronavirus Update (Live): 86,992 Cases and 2,978 Deaths from COVID-19 Wuhan China Virus Outbreak - Worldometer)を見る限り、完全な封じ込めは中国の様な人権を無視できる強権国でない限り無理であり要請しかできない。その中国の数字自体もそもそも全く信用できるものではない(コロナウイルス、中国は症状のない患者をカウントしていない。科学者でも分かれる賛否 | ハーバー・ビジネス・オンライン)。感染者数が湖北省以外は一桁の増加になった今でも、都市封鎖の本格的な終了の声が聞こえてこないことが全てを表している。せいぜいが、WHOに中国の対応を称賛させる(“都市封鎖”など中国の対応評価 WHOの調査チーム | NHKニュース)程度であろう。

 だからと言って、日本政府にベストシナリオに対する確信があるわけではないし、未知のウイルスの性質自体が現在多くの研究者が調査している段階である。すなわち、何が最善手かは誰にもわからない。こうした不確実性の中で取るべき対策は、既に研修マニュアルとして準備されている(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/keikaku/pdf/gaiyou.pdfhttps://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/02_text_H1NX.pdfhttps://www.cas.go.jp//jp/seisaku/ful/03_text_H7NX.pdf)。ウイルス被害について最悪に備えることも必要だが、同時に経済的なシュリンクが生み出す災厄も考えなければならない。何が最適かわからない中での判断をする。その役目は厚生労働大臣官房長官では負えないという判断が、総理による政治的なパフォーマンス(姿勢を見せること)の宣言であったのだろう。そこに科学的な根拠を問うこと自体が無意味である。 

 

 ところが、実際世の中に溢れているのはマスコミによる優先順位の低い情報、デマの拡散に不安扇情(安倍首相「逃れるつもりない」言及も質問応じず帰宅 - 社会 : 日刊スポーツ)となっている。コメンテータに呼ばれる専門家も、おおよそこの緊急時に現場に出なくてよいレベルの人たちである。すなわち、専門家ではあるが第一線にはいない人や自分の宣伝のために登場する人ばかり。不安を煽ることや、目立つことが飯のタネになる記者やマスゴミの人たちと同じなのだ。

 正直ネットには玉石混交の情報が溢れているが、一定のリテラシーをもって信用に足るものを集めるとおおよその情報はつかめる。そこから分かることは、アメリカの防疫体制は貧弱(米はコロナウイルスに勝てるか | NEXT MEDIA "Japan In-depth"[ジャパン・インデプス])だし、韓国の対応は無駄に感染を広げて医療崩壊への道(韓経:韓国、新型コロナ一日で505人増…新規感染者、中国も抜いた(中央日報日本語版) - Yahoo!ニュース)を踏み出している(病床不足がもたらした悲劇…急がれる「重症者分類指針」 : 政治•社会 : hankyoreh japan)ようにしか思えない。欧州も他人事であったため、今になって慌てている。結局は、致死率が5%を超えることはない(おそらく高くても1%程度であろう)この感染症では、冷静に対処することが最大の対応なのだ。

 スペイン風邪において、一定の効果を示したのは都市封鎖であった(政府の動きで死者数が8分の1に。スペイン風邪の疫学データからみる新型コロナ対策 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン))とされる。何より必要なのは高齢者施設や療養施設における感染爆発を防ぐこと。そして、子供たちの安全を確保すること。さらに言えば、この経済活動縮小に伴うサポートである。最後に私が思うのは、国民がこの感染症を冷静に受け入れるまでの時間と考えてもよいだろう。

 

 一部ではワクチン開発の目途がったたという話もある(COVID-19 Vaccine Shipped, and Drug Trials Start | Time)。今後の治験が必要でまだ結果はわからないが、人類の英知にも期待をしていきたい。感情で不安を煽る方法論はマスコミの十八番ではあるが、余裕のある時であればともかく、今は是非ともやめていただきたい。