Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

下足革命

 毎日、コロナウイルス感染の悪い話ばかりが続き、テレビのワイドショーは恐怖と怒りを煽り、都知事は東京の封鎖への道筋に言及した(東京新聞:<新型コロナ>「このままでは都市封鎖」小池知事:社会(TOKYO Web))。実情を考えると、東京の封鎖は十分にあり得る話だと考えておいた方が良い。マスコミの煽りに加え、危機を感じ取った人たちによる食料品の買い占めも生じている(東京での外出自粛要請が出て30分後、早くも東京のスーパーで食品が売り切れになってしまう。明日ゆっくり買えばいいのに。。 | ニコニコニュース)ようだが、現時点では供給量に問題はないだろう。もちろん、封鎖が長期化すればわからないが。

 ただ、欧米で進められているような本格的な感染爆発による受動的な都市封鎖(合言葉は「6フィート」“都市封鎖”のNYで起きていること…「手袋バスケ」に「手袋フルート」 - FNN.jpプライムオンライン)ではなく、それにより感染の拡大を抑えるための予防的な都市封鎖であればよい(「首都封鎖いわゆるロックダウン」が東京で実施されるとしたら、どんなことが起きるのか? - FNN.jpプライムオンライン)ものだと思う。現在、東京都と政府でどのような方法で封鎖をするのか、どのような権限で何を禁止するのかが懸命に検討されているのだろう(安倍首相と小池都知事、午後8時から会談=報道 - ロイター)。ちなみに外出自粛の要請を神奈川県も出したようだ(神奈川 黒岩知事「今週末は不要不急の外出自粛を」 | NHKニュース)。その動きは関東全体に広がり(神奈川・千葉・埼玉・山梨も外出自粛を 東京都が要請へ :日本経済新聞)、その後は関西や名古屋などでも出てくるだろう。横並び文化と言うべきか、どこかの都市が実施すれば右に倣えが行いやすい。責任論を他者に依存できるからである。だが、緊急事態であればそれもやむを得まい。

 

 ところで、欧米での爆発的な感染拡大に比べると、日本や韓国のそれは小さい様に感じられる。この点について欧米メディアも不思議がっている(「日本のコロナの謎」 検査不足か健闘か、欧米注視:時事ドットコム)が、キスやハグなどの習慣の違いも確かにあるし、クラスター対策などの方法論の違いなどもあるだろうが、私は下足文化が関係しているのではないかと予想している。

 ご存じの通り、日本では大部分が下足文化である(実は日本だけじゃない?家に上がるとき靴を脱ぐ国は意外とあった! - LoCoMode)。ホテルや職場は土足のままではあるが、家庭で土足のままの欧米風ライフスタイルを貫いている人は非常に少ない。状況は韓国でも同じであるが、下足という行為により家庭内と外の区別をつけることが、ウイルス等を家の中に持ち込まないために効いていると感じている。もちろん、靴についたものを持ち込まないというのもあるが、これは正直些細な問題。それ以上に、家の中を清潔にするという意識の方がずっと大きい。服を着替えたり、手を洗ったりという生活スタイル自体の微妙な差異が下足文化と関連する。

 今回の感染爆発の最大のポイントは、宗教と家庭内感染、そして密室であると思っている。宗教活動による影響は馬鹿にならず、欧米でもそれをきっかけに感染が広がり、多くの聖職者が亡くなっている(【緊急特集】礼拝をどうする? 新型コロナウイルス感染拡大 揺れる教会の現場 2020年3月21日 | キリスト新聞社ホームページ)。韓国での巨大クラスターの発生も宗教が関係していた。密室における危険性については、政府が既に広報している(三つの「密」どう避ける? 東京都の外出自粛要請 - 毎日新聞)。そして三本の一つが家庭内感染である。満員電車は当初懸念していたほど決定的な要因ではないことが、最近の推移で見て取れる。

 

 今回のウイルスは、接触感染と飛沫感染が大部分と見られており、微小飛沫の問題もあるものの、接触感染が最も大きな障害となる。コロナウイルスは、インフルエンザウイルスよりも長い間生存している可能性が高い(【図解】新型コロナウイルスの生存期間 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News)。帰宅した時に、既に発症寸前であれば会話などで出る呼気により感染する危険性があるが、花粉と同様に体についているものを家の中に持ち込まないことによりリスクを減らせれば都合が良い。

 下足という行為そのものではなく、下足という生活スタイルが生み出す感染症に強い社会体系があるのではないかという想像。検証されているわけでもないが、こうした考えが広がっていくと、欧米の住宅の様式が一変することが想定される。そんなことが容易に起こるとは思えないが、もし感染症対策に一定の効果があれば、命がかかるのだから文化そのものを変えてしまうのではないかという夢想である。

 

 今回の話題は、ネタ的な話なので本当にそうなるとは思っていない。だが、欧米の文化が日本的な下足文化に変容したとすれば、お弁当(世界にも広がる「BENTO」! 日本に昔からある弁当文化 | 和のすてき 和の心を感じるメディア)がそうであるようにじわじわと広がっていくとすれば、コロナ後の世界も少しは面白くなるような気がする。これも一つのパラダイムシフトかな。