Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

アルコール中毒の増加に備えよ

 日本での感染者数は、劇的な改善をしているわけではないものの、欧米のような爆発的な増加には至っていない。ニューヨーク州等の抗体調査などから、実際の感染者数が10倍以上いるであろうことが予測されている(NY州民3000人検査で14%に抗体確認 新型コロナウイルス感染270万人か | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)が、重要なのは重症者や死者が頻発して医療崩壊が生じることであり、感染者数そのものは情報としての価値はあるものの、決定的な要因にはならない。むしろ、感染者数が10倍も20倍もあれば逆に致死率が大きく低下してしまうということになる訳だから、感染率が高くなって致死率が下がるだけのこと。

 

 無論、現時点ではわからないことの方が多いため、断言できることは多くない。一部著名人が賭けのようにいろいろな主張をしているが、責任を伴い主張には社会的な意味はない。

 さて、外出自粛によりコロナ離婚であるとかDVの増加が既に報道されている(「夫婦の絆」も破壊するコロナ禍の恐ろしい作用 | ソロモンの時代―結婚しない人々の実像― | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準)。家庭と職場と言う適度な距離があるからこそ保たれていた平穏が、コロナ禍による外出自粛によって表出したというのが正しいところであろう。これらは、心理的にわかりやすいもののため報道としても取り上げやすい。だが、社会を混乱に陥れるほど大きい影響力を持つとは思わない。大変な時期なので容易ではないし簡単とは言えないが、個別に対処していけば解決の道は探れなくない(離婚は話し合いの機会が持てるかだし、DVは駆け込み寺の準備で対応可能)。

 また、10代の妊娠が増加しているという話(休校・外出自粛長期化で10代の妊娠相談相次ぐ…家に居づらく「彼氏の家に」、バイト失い「パパ活」も?|まいどなニュース)もある。妊娠してしまえば元には戻れず、これを避けるのはなかなかに難しいが、社会に大きな影響を与えるまでには至らない。

 

 だが、私が危惧しているのはキッチンドランカーの増加(「先生、酒また飲んじゃったよ」 アルコール依存者 コロナで孤立、酒への誘惑危惧 - 毎日新聞)である。従来のそれは、専業主婦が陥るものとして捉えられてきたと思うが、一人暮らしの在宅勤務や、家にいることがストレスになる夫なども含まれてくる。家に居続けるというのは、コロナと言う恐怖があっても容易ではないのは事実で、少しでも解放されようと空いていると考えた観光地に人が押しかけて、渋滞を巻き起こしている(神奈川 鎌倉 海岸沿いの道路など渋滞 訪問控えるよう呼びかけ | NHKニュース)のはわかりやすい構図である。

 子供は五月蠅いし、旦那は手伝わずに文句ばかり、女房は口やかましく、なんて具合に酒に逃げるチャンスが山ほどある。実家に帰ることもできず、パチンコ屋に逃げ込むしかない。それもできない真面目な人ほど、心理的に追い詰めらえていく。さらに、テレワークの状況を逐一モニターされており(テレワークに監視ツールは必要?メリット・デメリットを徹底検証 | iTSCOM for Business)、普段の業務よりも神経を使うなんて人もいるだろう。人と何気ない会話ができず、それによるストレス発散が為されない。だが、社会のことを考えると外に出るという選択肢は取れない。

 SNS等により多少は解消できても、今一つ決定力には欠ける。社会的な繋がりがあるの方が耐えやすいが、それが弱い人は容易に深みにはまっていく。私は、外出自粛が長く続くほどにアルコール中毒に陥る人が増加するのではないかと危惧している。

 

 日本人は性格的に真面目な人が多く、一生懸命我慢しようとする。もちろん全ての日本人がそうではないが、平均するとそういう傾向があると思う。それが日本人の美点でもあるが、ストレスをため込みすぎてしまう要因にもなる。コロナによる接触回避は、感染拡大には大きな効果を示すが、その背後で様々な形を取りながら人々の心理を蝕み続ける。

 この問題に対する有効な対処法はすぐには思いつかないが、できればテレビ等で早期に注意喚起ができるとよいのではないかと思う。終わりがわかっていれば、辛抱はできる。しかし終わりの見えない辛抱は難しい。そのことを多くの人はぼんやり理解していても、実感としてわかっていないことが多い。現時点で政府が終わりに言及できるはずもないが、人々の心の持ちようについて、専門家等を踏まえて対応策を練り上げて、どのようにストレスを解消していけばよいかの事例や対策集などを提示するのもよいだろう。

 現在も、最前線では医療関係者たちが耐力と神経をすり減らしながら、問題の対処にあたっている。その努力には深く敬意を表したい。私にできることなどたかがしれてはいるが、いくつかの医療物資の支援を継続して行っている。だが、多くの国民が心理的に崩壊してしまえばこれまた新たな問題となる。しかも、アルコールと言う自己責任を問われるような内容である。だが、わかっているだけでも少しは対処のしようもあるだろう。是非とも検討をお願いしたい。