Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

医療体制崩壊を防げ

 中国における新型肺炎は、いまだ拡大が止まる状況には見えていない(中国、新型肺炎死者500人突破 感染者は2万7千人超える中国が全人代開催を延期も、新型ウイルス感染拡大で-ロイター - Bloomberg)。都市封鎖も55都市にまで増加したとされる(台湾、中国本土からの入境禁止 南京など34都市「封鎖」か | 共同通信武漢肺炎》遼寧省全省封閉管理 中國已有55座城市「封城」 - 國際 - 自由時報電子報)。ただ、こうした情報の合間で予想していたような出来事がいくつか見られるようになった。怪しいものも含まれているので全てが正しいかどうかはわからないが、自分で考えるための一資料として使えればと思う。

(1) 早期収束をイメージさせる情報が未確認で流れてくる

・中国でワクチン開発情報(中国で、新型コロナウィルスのワクチンが開発 - Pars Today)・・これを受けて世界の株価が跳ね上がった。ただし、個人的には信用に値しない情報だと思う(また中国で発生した「不正ワクチン事件」の闇 | 中国・台湾 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準)。逆にその情報が正しければ、あまり信じるに値しないウイルス流出説を補強してしまうのでは?人権が軽い国だから、強引なことが可能であるという側面は認めるが、今後はそれがクローズアップされてくるかも。

・治癒人数が大幅に上昇し始めた(实时更新:新型肺炎疫情最新动态

・・・これ自体は嘘ではないと思うが、それを上昇させるために軽症患者の対応を高めているとすれば、むしろ危険な傾向である。この件は、私の妄想に過ぎないかもしれないが、中国政府が収束をイメージさせようとすれば、最初に操作してくるのはこのあたりの数字ではなかろうか。

 (2) 感染者を強引にあぶりだすような情報が出てきた

武漢での火事(強硬策とは関係なかった模様:Russian Market on Twitter: "Reports on fire breaking out in Wuhan… "武漢 漢正街の火事がほぼ鎮火される_China.org.cn

 ・感染者を強引に連れ出す映像(これも詳細は不明:TwitterTwitterhttps://www.youtube.com/watch?v=QAWtGZ_MRZU&feature=emb_title

・・・こうした動きが今後増えていくのではないかと思う。収容所的な場所に閉じ込められると命の危険を感じると思うので、今後は感染を自覚しても逃げる人が増加するのではないか。封じ込め自体を反対するつもりはないが、人権が軽視される国だからこその恐怖はある。

・故意のウイルス拡散者に最高で死刑という厳罰(「新型コロナウイルス 故意の拡散は死刑」中国高裁が通知、検査拒否は懲役7年も | Business Insider Japan)・・・テロ的な動き抑止が主な狙い(武漢訪問を隠し医師ら30人余りを新型コロナの危険にさらした中国人とは?(宮崎紀秀) - 個人 - Yahoo!ニュース)だろうが、これにより感染者を追い立てることも可能に。また、デマ防止という形で情報拡散者の抑え込みに入ったようだ。

 (3) WHOの愚かさと中国の影響力発揮方法が見えてきた

・中国擁護の姿勢を隠すことすらなくなってきた(新型ウイルスはパンデミックを引き起こしていない-WHO - Bloomberg新型肺炎 WHO事務局長 各国の相次ぐ渡航制限に懸念表明 | NHKニュースWHO、渡航制限措置の自重要求 新型肺炎で事務局長(共同通信) - Yahoo!ニュース

・・・事後にパンデミックを認定しても、WHOの存在意義はほとんどない。また、渡航制限による感染拡大防止には限界がある(渡航制限では新型コロナウイルスの感染拡大を防げない理由 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン))のも事実だが、それに対しWHOがわざわざ懸念を示す理由がわからない。ただ、中国以外の国にはあまり影響がなさそうではあるが(新型肺炎、中国が誤った情報をWHOに提供=台湾 - ロイター)。

 (4) 長期間閉じ込められる場所での感染の広がり

・人が集まる場所の危険性・・・クルーズ船での罹患の広がり(クルーズ船10人の感染確認、感染者は増える見通し TBS NEWS香港でクルーズ船の上陸許可見合わせ、30人以上が体調不良 TBS NEWS)や、国際会議参加による発症(シンガポール国際会議で新型肺炎感染、韓国・マレーシアの3人 | ワールド | ニュース速報 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)などは、まさにそれを示している。

 (5) ウイルス流出説を補強する情報も出てきた(真偽不明)

・ウイルスは武漢実験室から漏れたとする中国人研究者の告発(Twitter

・・・まだまだ信じるには情報が不足しているが、あながちないとは言い切れないところが中国の怖さ(中国、軍の生物兵器専門家が武漢入り、P4実験室が注目の的に)。2015年に発表されたコロナウイルスを使った実験に関する論文(A SARS-like cluster of circulating bat coronaviruses shows potential for human emergence | Nature Medicine)。

 

 このように中国政府の怪しい動きや懸念していた問題点の登場はあるが、現時点では当初考えていたほど危機的状況ではないという認識が世界的に広まっているのも事実。だからこそ、株価はニュースが広がる前のレベルまで反騰している(米株市場はS&P最高値、堅調な米指標や新型肺炎巡る懸念緩和で - ロイター)。株価の上昇にはそれ以外の投資先がないという消極的な意味もあるが、本当に悲観的であれば売られるのだから、株式市場にはまだ多少は余裕があるのだろう(新型ウイルスによる米経済への重大な影響は見当たらず-SF連銀総裁 - Bloomberg)。もっとも、どこまで続くかには疑問を抱いている。

 病気については、少なくとも現時点の情報から受ける個人的な感想も、やや致死率の高いインフルエンザといった位置づけが妥当である可能性が高まってきたように思う。もちろんワクチンなどがない現段階では、正しく恐れることは悪い話ではない。

 ただし真偽不明の怪しい情報でも書いたように、今後悪いニュースが出てこないと断言はできない。だから国民の心配を払しょくする意味でも、政府が「やや」踏み込んだ対応策を取るのが正しいバランス(香港発のクルーズ船入国拒否決定 近く入港予定 - 産経ニュース)ではないかと考える。当初の厚生労働省の対応を見ると、バランス感覚は悪くないが危機感が若干不足しているように見えてしまう。もちろん過剰すぎる反応のまた社会にとっての害悪となり得るのも事実。微妙なかじ取りではあるが、こうした事態だからこそDJポリスのような、世間との対話が重要になる。それが少し不足しているのではないだろうか。

 

 今回の新型肺炎は現在も感染率が非常に高いままであり、感染経路についても様々な新しい情報が日々届く。この状況では、感染の広がりを防ぐのは難しい。とは言え、感染者数が膨大になれば社会的危機に陥るのも間違いない。ちなみに武漢での致死率が高いことについては、医療関係者の数や検査キットが不足していて、軽症の患者がカウントされていないためという意見(新型ウイルス感染 なぜ?武漢だけ致死率5% | NHKニュース)があり、その考え方は論理的に理解できる。ただし、死者のカウントも適当(過小評価)である懸念も払しょくされていないので、まだどの程度が妥当かについては判断を保留したい。

 何よりも、武漢で生じているような医療崩壊が発生(武漢の病院で働く医療スタッフがいかに大変か分かる画像を集めてみた : 海外の万国反応記@海外の反応)することが現在における最大の懸念である。これにより、不必要に被害を拡大させてしまうことが想定できるからだ。診察に多くの医師の手が割かれる(インフルエンザの診断に迅速検査は本当に必要?(忽那賢志) - 個人 - Yahoo!ニュース)と、別の病気の患者への対応が後手に回ってしまう懸念もある(検証・新型インフル「作戦変更の遅れは反省」 流行から1年|ヘルスUP|NIKKEI STYLE)。

 さらに言えば、重症化したあとの死亡原因が多臓器不全と通常の肺炎とは異なることが気になる。重症時には一気に致死率が上昇してしまう可能性が否定できない。少し前の報告でも、重篤後は致死率が50%近くになっているという報告もあった。軽症時には容易に治癒しうるかもしれないが、重症化時にはなるべく早期に手厚い看護が受けられることが必須だろう。

 

 現在、まだ新型肺炎の危険性を煽るような報道や発信が多いように思うが、その悪影響についても考えておくべきことだと思う。2009年の新型インフルエンザでは軽症患者が病院に押しかけて、一時的なパニックになった。このような懸念が今回の騒動においても危惧される(インフル患者120人が殺到 日曜の救急、5~6時間待ち「できれば平日に」 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス)。武漢を教訓とするならば、パニック的な行動は慎むべきだり、またそれを助長するような情報発信には気を付ける必要があるだろう。日本では、中国のように人権を無視した強権的な施策は取れないのだから。

 未知なるものに対する恐怖感は、人間の本能に根付く心理である。それだけに容易に拭い去りがたいものではあるが、それを理性でコントロールすることが文明の存在意義でもある。感情論に左右されることをあたかも良いことのように言う人もいるが、それにより混乱が助長されるとすれば決して看過できるものではないだろう。もちろん、そのためにも政府からの見通しを含めた情報発信は有効であり、国民感情を踏まえたバランスの良い施策が重要となる。