Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

中国鎖国

 今回のエントリはかなりの妄想なので、創作物として捉えてほしい。

 

 新型コロナウイルスの広がりは、武漢市を超えて周辺の都市にも拡散を始めた。既に北京や上海でも死者が出ているが、仮に12月初旬がこの病気のスタート時点として、わずか2か月弱の期間での広がりとしてはかなり早い。潜伏期間が比較的長いこと、潜伏期間中も感染が広がること、無自覚保菌者が一定数いる(新型ウイルスに感染の10歳少年は症状なし、検出されず広げる危険示す - Bloomberg)ことを想定すると、簡易な感染診断キットが開発されたとしても、容易に感染拡大を抑え込むことはできない。さらには、ノロウイルスのように体外に出ても長期間生存している可能性も噂にはある。仮にそうだとすれば、感染拡大を押しとどめるのは不可能に近い。

 昨年12月の初期段階では中国政府(あるいは現地政府?)は情報の隠蔽を行った。だが、それが不可能となった段階で一気に情報を発信し始めた。一般人からの情報発信は一時頻繁に行われたが、ここ数日はぴたりと止んだような気がする(2/2追記:情報発信は続いており、一部発信者が拘束されたが解放されたという話も聞く)。武漢市は既に完全に封鎖されており、その中の情報は政府広報以外にはほとんど出てこない(BBCが入っているという噂はある)。今後、武漢市以外の患者数の爆発的な増加があれば、その情報もコントロールしようとしてくるであろう。武漢市では物資輸送がストップしているため、生鮮食料品や衣料品が不足しているという話がある(ただし、脱出者が多いため食糧自体にはまだ余裕があるとの情報も)。

 こうしたコントロール共産党政府の威信をかけてのもので、威信が傷つけられると考えるほどに締め付けがきつくなっていく。武漢市への支援体制が充実しているのかどうかを判断する情報を得てはいないが、他都市も自身の広がりを抑えるのに必死な状況では、なかなか対応が難しい。だが、コントロールできなければ無政府状態に近い状況に至る。日本人とは文化的背景の異なる中国人は、社会よりも自己利益(家族の利益)を追求する傾向が高い。それは、容易に政府に対する反発につながっていく。だからこそ、政府は高い監視体制と暴動抑え込みに大きな力をつぎ込んできたのだ。

 

 さて、中国の面子が生きている間は、他国の支援ではなく自国による封じ込めに奔走するであろう。情報を統制(隠蔽)する→ばれないように他国の人間を排除(人民の情報発信を封鎖)という流れになる可能性は低くない。

 今回の感染拡大が終息の方向に向かえば、中国からは徐々に正確な情報が出てくる方向に向かうだろう。逆に言えば、出てくる情報が少なくなるほどに、コントロール不能になっていると考えたほうがよさそうだ。習近平による強権で武漢の都市封鎖や海外団体旅行の停止、春節の延長などが決められたが、日本ではおそらく容易にはできないことである。それだけの強権を中国政府は持っている。インターネットを遮断し、人々の動きを抑制することすらできてしまう。それは中国経済を麻痺させてしまう行動ではあるが、政府の面子を重視するならば、一時的ではあっても国内経済無視は許容されかねない。だが、一度その方向に舵を切れば、再度の方向修正は難しくなってしまう。

 これは極論ではあるが、病気の拡大が抑えられないと仮定した場合、中国政府が状況をコントロールしようと力を振るうほどに、中国は鎖国に向かっていくような気がするのである。世界最大級の貿易国である中国が鎖国できるかと問われれば、実際問題としては不可能である。食料もエネルギーも中国国内では賄えないのだから。だが、短期的な方向性としては、そちらに舵を切ることもあり得るのではないかと思っている。これは私自身信じている話ではないが、デザインウイルスの流出が一部信頼性の低いメディアで囁かれているが、それが真実であった場合には確率が高まっていく。

 

 今回書いたことは妄想である。そうならないに越したことはないし、そうなる可能性も著しく低い。ウイルスが、私たちが想像する以上に広がり、またそれが人為的なものであるがゆえに中国政府が外国の協力を得ず、更に指導部がメンツにこだわり続けるという信じられないほどハードルが高いケーススタディ

 だが、中国政府が自らコントロールしようとあがくほどに、指導力により解決しようとするほどに可能性が高まっていく。これがばかげた妄想で終わることを期待したい。

 

(追記)

 現時点で、中国政府発表の感染者(確定数)は7711人、死亡者は170人である。これから単純に求められる死亡率は2.2%となる。だが、武漢市に限れば感染者(確定数)は2261人、死亡者数は129人である(实时更新:新型肺炎疫情最新动态)。ここから単純に導かれる死亡率は5.7%になる。もちろん検査や調査が十分に行われていない数が莫大で、公式の数字から計算することに大きな意味はないが、早期に感染拡大がスタートした武漢市の方が死亡率が高いことを考えると、今後各地域での死亡者数は増加していくのではないかと伺える。肺炎は、完治するまでにかかる時間が長いため、適切な処置が施されれば完治率も上がるが、それが難しくなると重傷者が次々と亡くなる事態に陥る。日本政府としても、既にシミュレーションは行われていると思うが、準備と対策をきちんと立てていてほしい。

 

(追記2)

 中国の封鎖は北朝鮮の動きに大きな影響を与える。現在、最後の頼みが中国やロシアからの支援だが、表向きはなかなかに難しくなっている。今回、指導力を見せるために北朝鮮から中国との貿易をストップする報道が出ている(北朝鮮、最大のドル箱・対中貿易まで中断-Chosun online 朝鮮日報)が、混乱が長期化するほどに北朝鮮は自らの首を絞めていく。それが暴発につながらないことも期待したい。

 

(追記3)

 回復に関する情報も徐々に出始めてきた模様(藤田康介 on Twitter: "#新型コロナウイルス肺炎 武漢大学に通う21歳の女学生、上海に戻って突然発熱・咳。22日に確定診断され、入院。使用したのはインフルエンザで使われるアルビドールとHIVで使われるロピナビル/リトナビル。1週間で退院。一般に軽症なら1〜2週間で治癒するとのこと。29日付新民晩報より。")。軽症であれば、回復も早い模様。現状のイメージは、ワクチンの存在しない状態での新しいインフルエンザと似ている。ただ、若干感染率は高い。最も大切なのは、うがいと手洗いおよび良く触れる場所の除菌ではないか。それ以上は過度に恐れても対処のしようがない。