Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

蝗害

 現在、中国の新型コロナウイルスが世界にニュースを席巻しているが、アフリカにおけるバッタ(サバクトビバッタ)による被害が重大化していること(Africa’s Worst Locust Plague in Decades Threatens Millions - WSJ)も、本来はニュース(数億匹のバッタの群れ、ケニア荒らす 過去70年で最大:朝日新聞デジタル)でもっと伝えてほしい内容である。ネットでは徐々にニュースになっているようだが、TV等の波及性のあるメディアはそれほど伝えていない。

 

 近年の日本では、それほど大きな被害が出ていないが、バッタあるいはイナゴの異常増殖は歴史的に見ても、災害と呼んでよいレベルの被害(蝗害 - Wikipedia)を出してきた。中国やヨーロッパでもそうだが、今回はアフリカや南アジアでの蔓延が危惧されている。ケニヤでは北部で数億匹の蝗害が既に発生しており、警察までが動員されマシンガンと催涙ガスを使って駆逐しようとしているとされる。さらに、エチオピアソマリアにも広がることが懸念されている。こうしたバッタの大群は一日に100km以上を容易に移動し、食物(多くは穀物)を求めて旅をする。その被害もわずか一日で数百万人分の食料を食い尽くすほどである。過去25~70年で最悪規模とされる(東アフリカにサバクトビバッタが襲来 過去25年で最悪規模 - ライブドアニュース)。

 被害状況が抑制されないと、この状況はアフリカのみならずアジアにまで広がることが懸念されている。既にインドでも被害が出ているようである(バッタが大量発生、過去25年で最悪の農業被害 インド北西部 写真10枚 国際ニュース:AFPBB News)。数十年前と比べ食糧事情が良くなってきたとはいえど、アフリカやアジアの一部ではまだまだ食べるのにすら困る人たちは少なからず存在する。特に、穀物は人が生きていくうえで何より重要なエネルギー資源であるのだ。

 

 発生原因は干ばつや大雨が一般的とされる(アフリカ東部のバッタ大発生、元凶は豪干ばつと同じ気象変動現象 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News)が、アフリカではそれが発生しており、食糧生産事情が良くない。そこにきての蝗害だから、弱り目に祟り目といった状況で、気が状況が引き起こされている。FAOも今後半年程度の継続を予測しており、ウイルス被害とはまた違った形でのパンデミックが懸念される。

 警戒レベルに達している国としては、アフリカではケニヤ、ソマリアエチオピア、中東ではイエメン、サウジアラビア、南アジアではインド、パキスタンなどがあるが、スーダンやイランにまで広がることも懸念されている。いずれも様々な葛藤を抱えている政治的にも不安定な国家である。アラブの春が、食糧事情の悪化により引き起こされたように、これにより引き起こされる被害が政治体制の不安定化を招く可能性も低くはない。

 

 死者の拡大で言えば、新型コロナウイルスによる被害よりも明らかに大きくなるであろうこの問題。知っておいた方が良いことには違いないと思う。