Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

誰も責任を取らない韓国・悪手を続ける中国

 中国包囲網を巡る反発が露骨になってきた(カナダ人に死刑判決=ファーウェイ問題で圧力か-中国:時事ドットコム)。裁判の真贋は私にはわからないが、少なくとも国際社会はこれを恫喝と捉えているようだ。疑われる理由は、これまでの中国の行動が引き起している。世界が現在中国を危険視する理由は、このケースのように法が中国共産党により恣意的に運用されることがある。アメリカもしばしば無茶を言い行動にまで移すが、少なくとも現在の中国よりはマシであるという理解が根底にある。アメリカは、自分が作ったルールであれば自分たちが不利になっても、すぐにちゃぶ台返しは行わない(トランプは除く)と思う人が多いということ。逆に言えばアメリカが中心になって構築してきた公平の概念が、世界のスタンダードになっているということである。中国は、その概念・価値観そのものにも争いを仕掛けている。米中戦争の要諦はそこにあると私は考える。

 さて、前述のように中国は強くなったと言えどアメリカに直接的な対抗策を取れないため、代わりにとばかりにカナダいじめを行っている。同様の事は、日本に対しても韓国に対しても行ってきたし、それ以外の東南アジアの国々にはもっと露骨な圧力をかけてきた。こうした中国の増長は、経済成長と軍事力の増大を背景にアメリカに勝てる(あるいは譲歩を引き出せる)と認識し動き出したことがきっかけの一つであるが、同時に中国国内のバブル崩壊がごり押ししてでも海外に出ていくという止むに止まれぬ状況を作り出した側面もある。確かに、リーマンショックを挟む時期における中国の成長は大きなものがあった。これは西側諸国、特に当時のアメリカの大きな支援があったことによる。外資を国内に導入し、それに応じた紙幣発行により大きな力を持ち得たのである。稼いだ費用は国際投資だけでなく軍事投資にもつながり、また数多くの工作資金としても使われたと想像できる。ただ、これは中国から見た富国強兵策としては正しい方針と言って良いであろう。仮に根本的な中国の方針は私たちと相容れないとしてもである。

 だが、数年前より中国国内は実質的にバブル崩壊している。ただ、中国という巨大な国家であること、および共産党政府という強権を発動できることから、誤魔化されてきた。崩壊を強制的に食い止めるだけの力を現在の中国政府は持っているが、そのままではどうしようもなく、AIIB(アジアインフラ投資銀行 - Wikipedia)も一帯一路(一帯一路 - Wikipedia)も中国内需の低迷を外需により補う方策としても利用されている。過剰生産した素材を消費するための場所であり、多くの労働者を送り込む場所でもある。このように国内景気の対処療法的な施策が、結果として海外進出に繋がり、それが世界中で葛藤を引き起こしている。中国側からすると、「他に手が無いので、仕方ないではないか」という認識に近いと思うが、そんな自分勝手を容易に許す世界ではない。少なくとも、金に任せた仲間作りは短期的には効果を持ったとしても、長期的にはほとんど役には立たない。アフリカに巨大投資をしたが、アフリカ諸国から仲間意識をおたれているかと問われれば違うだろう。金の切れ目が縁の切れ目。それは、価値観の共有まで行ったっていないことが大きい。中国は短期的成果に囚われ過ぎ、長期的視点を欠いている。価値観の共有こそが、世界に中国を認めさせる最大の方向性だが、それを軽視していることが中国の成功を約束させない。

 さて、食料および、技術、そして基軸通貨という意味で、中国は内向きのモンロー主義モンロー主義 - Wikipedia)に走り始めたアメリカにはまだ及ばない。もちろんアメリカももはや万能ではなく、多くの同盟国を巻き込んだ中国包囲網を敷く形を取らなければ、十分な態勢で中国を抑え込めない。その形に抗しきれない状況になっているのが現状であろう。おそらく中国はアメリカにさらなる譲歩を続けていく。少なくとも、そのフリはしてくると思う(「アメリカに対抗する力ない」中国指導部は対米方針を柔軟路線に転換。ファーウェイは「核心利益」 | BUSINESS INSIDER JAPAN)。ただ、アメリカが求めるのはアメリカの価値観に合わせた体制作りであり、これは中国共産党の価値観とは相いれない。一時的な和解はあっても、衝突は今後何度も繰り返されるだろう。世界は人類の権利意識の向上から、大きく見ると多様性に向かう。それを中国のスタイルで力任せに塗りつぶそうとしても、短期的には成功しても長期的には不可能である。それでも、共産党体制を維持する限りにおいて中国にはそれしかできないというのが実情であろう。

 一方、日本だけでなくアメリカともトラブルを引き起こし続けている韓国の文政権であるが、こうした状況が発生している最大の理由は文大統領の能力が欠如していることに起因すると見ている。反日を強めているように見えるが、そうではなく責任放棄をしていることが現状を招いているのである。元々、様々な外交を取り扱えるような専門家をブレーンとして抱えていない政権である。韓国における政治的対立構造より、積弊精算というスローガンの下、有能であっても主張が異なる者たちは役職に就けない。結果的に良いブレーンを抱えられなかった彼は、多くの問題を実質的に投げたのである。政治家の仕事で重要なのは、難しい交渉を如何に上手くまとめるかだが、彼はそれを基本的に無視しようとしている。意識の大部分は北朝鮮との融和に注がれており、それ以外はほとんど眼中にはない。一方で施策を投げられた担当者たちは、責任を取りたくないため言い訳に終始するというのが現状の全てであろう。日本人の感覚からすると考えられないかもしれないが、文大統領は上手く行かないのは担当者の責任とばかりに首を切っていく。そうなりたくなければ、決して責任を認めないことが最大の自衛策となる訳だ。そして、日本との関係において言えば強気に出ることで世論の一定の支持を得られる背景も後押ししているだろう。

 担当レベルに投げておいて、最終的な責任を取らないという放置主義が韓国の行動の混迷を深めている最大の原因と見る。もちろん反日的な意識がそれを先鋭化させている側面もあるだろうが、無責任さの連鎖が日本との間で問題を広げている。この状況に日本がどう対するかだが、私は文大統領では韓国経済が悪化する一方であることを韓国国民に分かるように理解させることが重要だと考える。具体的には政敵である野党の応援をすることが一つ。もちろん韓国の野党も反日的であることに違いはないが、少なくとも交渉に乗れるレベルにするということは重要である。現在は、野党の力が弱くなりすぎているため文大統領を押さえる力が存在しない。韓国を台湾の様な親日国にすることは全くの不可能だし、応援した野党議員も容易に掌を返すのは十分想定できる。しかし、それであっても政治的な混迷を隣で広げられるよりは、まだマシなのだと思う。

 断交をすることはそう簡単ではない。また、政権が変われば彼らは言うことを変えて近寄ってくる。それを無下にできるだけの力の差が今の日本にはない。確かに日本が独自の強力な軍事力を有し、あるいは経済的な復興を成し遂げれば様々な制裁も可能かもしれない。だが、日本が舐められる最大の理由は日本と韓国の力の差が小さくなったことである。そして仮に日本の経済制裁により韓国がダメージを受けたとしても、急激な対立構造は韓国の力が衰退するほどに過激になっていく。また、北朝鮮と韓国の双方が混乱に陥る様なことがあれば、朝鮮半島を巡り中国とアメリカの代理戦争的な抗争が現実化する危険性もある。日本からすれば多少反日的で面倒な相手であっても、中国と直面する危険性や朝鮮半島が混乱に陥るよりはマシと考える。

 理想を言えば、ハニートラップでも何でも今弱っている野党政治家の弱みを握り日本が韓国の状況をコントロールできればよいが、次善として早期に文態勢を打倒することを陰で支援するのが重要だと思う。誰にでもわかる様な証拠を握りながら。別に韓国を助ける訳ではなく、混乱に陥れることで日本に構う余裕を今以上に失わさせること。もちろん、実際には日本にそうした工作をできる機関も能力もなく、徐々に両国の距離を置き停滞させるくらいしかできない。その間にも、韓国は日本人としては信じられないような屁理屈や無茶な論理で嫌がらせを続けてくる。それでも、当面衰退の可能性が高まっている中国側に付き、さらに北朝鮮との統一を進めることで大幅な負債を負うのがわかっているのだから、日本としてはあまり腹を立てずにまったりと沈みゆく国家を観賞するのがよいのではないかと思う。時間を確保して、朝鮮半島の混乱に対応するための準備に当てるのが良い。日本になるべく被害が出ないように気を付けながら、交流を徐々に小さくしていくことが肝要であろう。