Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

ZOZO劇場の行きつく先

 アパレルを中心としたネット販売会社であるZOZO(ZOZO - Wikipedia)の前澤社長が、リツィートに対してお年玉をプレゼントするということで大きな話題(前澤氏「100万円」リツイート356万世界記録|ニフティニュース)となっていた。どうも第2弾も計画しているとの話(ZOZO前澤社長の1億円プレゼント企画が“世界記録”達成 キャンペーン第二弾の開催も?|Real Sound|リアルサウンド テック)もある。個人的には一度も利用したことが無く、気が付いたら大きな企業になっていたのだなといった漠然としたイメージしかなかったが、社員からの様々な声(ZOZO社員たちが次々に明かす「わが社長、前澤友作伝説」(マネー現代編集部) | マネー現代 | 講談社(1/3))も記事になっている様である。一代で巨大な企業を築いたことには素晴らしいことだと思う。

 女優の剛力彩芽さんとの交際も、ネットを賑わしていることは私ですら知っていたように、様々な面で世間に話題を振りまいているのは事実であろう。こういった業界に詳しくないため間違っているかもしれないが、私が思い出すのはホリエモンと呼ばれた堀江貴文氏(堀江貴文 - Wikipedia)が登場した時のイメージに近い。常に話題の中心となるような仕掛けを続ける姿は、両者とも大変似ている気がしている。一代で著名なベンチャー企業を起こし、最先端の取組で社会に話題を振りまいていく。革新的でありつつ、自らをそのアイコンとして意識しながら振る舞っている。もちろん、本人の性格がそうした志向性を持っているからこそなのだろうが、同時に企業の広告塔として大きな役割を果たしていると言える。

 だが、こうした行動形式には個人的に少し疑問というか疑念を持っている。ネット産業にしてもアパレルにしても、どちらかと言えば移り変わりの早い業界である。だからこそ、成長期には如何に知名度を上げるかが重要になるのは理解できる。ただ、ZOZOは既に一定の知名度を得ており、また一定以上の規模に達した企業(時価1兆円突破「ゾゾ」だけが儲かる事情 | プレジデントオンライン)であり、こうした方策が企業にとってメリットがあるのかに疑問を抱いている。要するに、一連の行動が企業価値を高めるためのものなのか、あるいは個人的な趣味の範囲のものなのかということを私は気にしている。もちろん、個人的趣味であることが直ぐに悪い影響を与えるとは言うつもりはないが、一種典型的な成金のような行動に見えるのである。ちなみに、私などが心配する謂れも義理もないのは既に述べた通り。

 それでも、ZOZOが安定した収益を上げ続けるのであれば、私の勝手な心配など全く余計なお世話に過ぎない。しかし、配送料無料化が人手不足から徐々に減っていく可能性がある中、本業に対してそれほど楽観視ができるのかは正直よくわからない。企業のトップがアイコンとなって企業イメージを引っ張る事例は、アメリカでも良く見かける。例えば、スティーブ・ジョブズスティーブ・ジョブズ - Wikipedia)はかつてアップルのアイコンであり続けたし、イーロン・マスクイーロン・マスク - Wikipedia)は今回のケース似た意味で様々な話題を振りまいている。日本でもソフトバンク孫正義氏(孫正義 - Wikipedia)も同じような立ち位置であろうし、それ以外にも数多くの名前が上がるだろう。

 そんな時、ついつい思い出してしまうのはネット上でよく使われる次の文章である。

前澤よ、余計なことはやめておけ。
今はまだ、自分の事業の向上のみに専念する時。
そんなことをするのは10年早い。

(しかし、長友は精神的に油断が生じているのか? だとしたら、先は長くないぞ)

様々な人の名前を当てはめて 遊ぶのが、ネット上のパターンとなっているもの(長友よ、余計なことはやめておけ。とは? - /意味/語源/元ネタ : サッカーネット用語辞典)であるが、なぜか最後はサッカー日本代表の長友選手のままであるというのがお約束である。

 日本は内需大国であるため、日本国内の市場を得るだけでも一定規模の企業に成長できる。しかし、世界に目を向けた時アメリカ企業の様なスタンダードを取り切れていないことが、今の日本の弱さでもある。これはEC関連企業でも同じで、楽天amazonに大きく水をあけられている。英語が主要言語でないことがデファクトスタンダードデファクトスタンダード - Wikipedia)を取り切れない一つの大きな理由かもしれないが、それ以上に世界中の人々にとっての使いやすさが日本人のそれと異なっていることをフォローできていない。現在世界市場で売れるコモディティ製品(コモディティ - Wikipedia)は、15%の費用で50%の性能のものであると言われている(50%の性能を15%の価格で提供する意味 - PMstyle)。数字はイメージに過ぎないが、日本は電化製品などは特に120%の費用で200%の性能として売ってる感じがある(ユニクロなどの戦略は当てはまらないが)。

 一方で世界に打って出るのではなく、企業規模を押さえて質で勝負するつもりであれば、常に話題をさらい続けるというのも一つの戦略として考えることは可能である。だが、芸能界を見ているとこうした話題は消費されやすいことを知っている。短期的に売れることはあっても、長期的な成功には露出し過ぎないことも重要なのだ。繰り返しになるが、企業方針は経営者が決めることなので私などが口出しすることではないが、下手な露出は控えた方が良いのではないかと老婆心ながら書いておこうと思う。

 

(追記)

 丁度、こんな記事も出ていた(「ZOZO離れ」オンワードだけではない!?セレクト各社の危機感 | inside Enterprise | ダイヤモンド・オンライン)。業界に詳しくない私には指摘されている内容がどの程度のインパクトであるかを判断できないが、雰囲気としてあまり芳しくないのではないかと思えるほどには大変そうに見えた。