Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

ブランド力と敬意

ブランド(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89)という言葉は元々は他者との区別を付けるサイン(焼き印)を示しており識別子自体には大きな価値はない。それは現代においては商標という形で受け継がれ、工業所有権の一部として機能している。良い商品等が提供されることでその識別子が発するイメージが向上すれば、結果的に識別子そのものに価値が生まれる。
同じ様な商品が大量に出回るこの時代、如何にブランド価値を上げて利益率を高めるかは企業にとって大きな問題である。価格競争に巻き込まれてしまえば、現在の電気メーカーを見るように惨憺たる結果に追い込まれかねない。もちろん、相手あっての商売だから競争に打ち勝てば成功を見込むことができるのだが、市場が飽和状態であればあるほど争いは熾烈になる。
このブランド価値やイメージについては各種調査が行われており、単純に商品のみならず企業イメージや、地域ブランドhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89)から国家ブランドhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E6%8C%87%E6%95%B0)まで取りざたされている。個人的にはブランドは信頼の証でありそれを競争することに大きな意味はないように思うのだが、信頼の結果付加される「知名度」という別の尺度がこの競争を引き起こしている。
これらは結果的にではあるが、ブランドが有利な商活動を行うための指標として取り扱われていると感じる。それ故に、コンビニエンスにブランド価値を高めようという動きが各所にある。もちろんそれが全ていけないことだとは思わないが、無理をしてかさ上げした知名度も土台がなければ崩れ落ちるのは簡単だ。

ブランドについての考え方は様々あるだろうが、基本的には私は敬意だと思っている。その技術や伝統やあるいはデザイン力など、様々な技能に対する敬意である。だからこそ、価値が高くて保有することに意味を感じる。
それはバーバリーhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%BC)のような伝統から、アップルのようなデザイン的な斬新さまで様々なケースが考えられ、一概にブランドと言ってもそのれが意味する範囲や内容は幅広い。
かつて、ソニーソニーブランドとして世界に名を馳せた時期にがあったが、今はそのポジションを完全にアップルに奪い取られてしまったようだ。ブランドは、築き上げるのは大変であるがそれを失うのは比較的容易だという典型のような事象かも知れない。
ブランドは、別に製品が市場を席巻しているからと言って必ずしも価値が高いと考える訳にはいかない。あくまで認識するための知名度は高いかも知れないが、それは「深く」ではなく「広く」に偏っている。広くても浅ければ別の何かが出てくれば人の興味も容易に離れてしまうものである。苛烈な競争のある分野は広く、競争の少ない分野は深く。その両者のバランスが重要になるのではないだろうか。

ただ、あくまでブランドを維持する基礎は信頼であり敬意である。敬意を抱いてもらえるようなものづくりでありサービス提供が成されてこそ、十分な価値を有するブランド力が手に入るのであって、知名度が上がったからと言ってブランドの価値まで上がったと考えるのは早計であろう。
だとすれば、ブランドの競争に精を出すよりも自らの価値の向上に力を注ぐのが重要である。それは国家としても地域としても、そして企業としても。