Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

二重国籍問題

 民進党種選挙において、蓮舫議員の二重国籍問題が連日大きく取り上げられている。ゆゆしき問題だとする声がある(http://www.sankei.com/politics/news/160906/plt1609060043-n1.html)一方で、何の問題もないと擁護の声(http://www.sankei.com/politics/news/160908/plt1609080023-n1.html)も聞こえてくる。あるいは日本人の度量が狭いと指摘する声もある(http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/090800060/?rt=nocnt)。

 私自身、国籍の手続き問題についてそこまで詳しい訳でもなく、法が想定していない状況が今回現れたのだなと言う感想を抱いていた。報道によれば、二重国籍と予想される日本人は四、五十万人いるという話(http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160906/dms1609061550004-n1.htm)もあり、法律による厳密性を今からでも確認することは重要だろう。

 また、外交官に二重国籍が認められていないという状況を展開すれば、国会議員にもその考えが広げられるという意見には一定の説得力があるようにも思う。こうした規定が求められる理由は外国への利益誘導の可能性であるが、国会議員の場合特段の役職になければ露骨なそれは出来ないかもしれない。だが、他方で国会議員は国民の信頼を得なければならないという大きな問題がある。それは結果として選挙により選択されるという形で表面化するが、それ故に関係する情報が国民に行き届くという必要はある。

 実は、今回の二重国籍を問題としている人たちも、現状の蓮舫議員の状態が即座に違法であり問題となると言っているわけではない(http://agora-web.jp/archives/2021232.html)。発言の揺らぎや、姿勢が一貫していないこと、あるいはごまかしとも取れる態度が国会議員として相応しくないといった攻め方である。資質や道義的責任を問われているという感じであろう。他方、蓮舫議員を応援する人たちや、あるいは保守系の考え方に賛同できない人たちは、今回の展開の持って行き方に違和感を抱いているというのがあるようにも思う。
 法的にはそれほど大きな問題ない(国会議員として若干の過失はあろう)が、日本の政治家としての在り様への疑義、これはネガティブイメージを植え付けるような感情に訴えかける手法であり、比較的人気のある蓮舫議員の台頭に対する嫌がらせと捉えているのではないかと思う。私自身も、そういう感想は抱く。岡田代表よりは蓮舫代表の方が自民党は対処しにくいと感じているだろうと思う。

 政治家として活動していく上で、蓮舫議員の対応が稚拙であったというのは否めない。一介の陣笠議員であれば許されることも、政権交代を目指す党の代表になろうという人であれば、こうした問題をクリアしていないのは少なくとも脇が甘い。基本的に日本の総理大臣候補になろうという人は、多くの突込みを受けるのは当然なのだ。もちろん、これまではそこまでの野望を抱くに至っていなかったということなのだろうが、だとしてもこの問題は本人が乗り越えなければならないことは間違いない。
 いわれなき誹謗もあるとは思うが、多くの有力政治家たちは誰もが経験している道であろう。それに潰されるようであればそれまでなのだ。そして、現状としては民進党は一時的なバッシングを耐え切っていこうと考えているように見える。

 だが、私自身はその最終的評価を示すのはあくまで国民の選挙だと考えている。次の選挙はまだ先だろうが、明らかな法律違反が無ければ議員を辞める必要性はない。だが、同時にこの件を日本国民の多くが大きな問題だと認識すれば、短期的には民進党の支持率(あるいは蓮舫議員の支持)が下がるという形で現れるだろう。また、長期的には蓮舫議員の得票数が減少するという形で現れると思う。
 ただその審判を国民が下すためには、この問題が話題にならなければ始まらない。そのために、様々な情報が報道され、話題になり多くの国民がそのことについて考える。それは重要ではないか。

 既に日本維新の会は、日本以外の国籍を持つ人が国会議員や国家公務員になることを禁止するための法案提出を検討しているとされる(http://www.jiji.com/jc/article?k=2016090800625&g=pol)。その是非は今後国会で検討されるであろう。
 私の個人的な意見としては、政治が国民に安心感を与える上では提案される法律はあっても良いと思う。国籍を抜けない国家の場合の対応は検討の必要があると思うが。国会議員は、日本の国のために仕事をする必要がある。だとすれば、日本国籍以外の国籍を持っている場合に相手国の国籍を離脱できるとすれば、二重国籍を維持する必要性はない。そして、国民としては気休めかもしれないがその方が安心できる。
 私はこの「安心」というキーワードは馬鹿にならないと思っている。総理大臣が、常に疑惑を抱かれ続ける状態で安定した施政が行えるとは思えない。本人の気概がいくらあっても、実質的にそれを維持できなければ意味がないと考えるからである。

 国民が今回の問題を感情的ではあっても不安に感じれば、間違いなく選挙に影響が出る。私はそのことを持って判断すればよいと思うのだ。だから、疑惑として報道をすることは必要だが、一気に議員辞職を求めるような動きについては反対である。疑惑には、国会議員が国民に分かる形で答えればいいのだから。