Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

民進党の位置づけ

 私は個人的に民進党の復活を期待してきた。もちろん今の民進党に国政を担える能力があるとは全く思わないし、掲げる政策を現時点で強く支持するものでは無いが、筋道の通った国会での論戦が行われることは何より日本にとって必要なことだと認識しているからだ。だが、現状の国会議論や国会外での民進党議員の振る舞いをニュース(http://www.jiji.com/jc/article?k=2017022201150&g=polhttp://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000094892.htmlhttp://www.sankei.com/smp/politics/news/170222/plt1702220022-s1.html)で見るにつけ、それに期待するのは無理ではないかと心底感じ始めている。
 こんなことを書けば、「今までわからなかったのか」と笑われるであろう。私は民進党(かつての民主党)を支持していないし、担ぎ出す政策を否定的に見ているケースが多い。特に、一部の所属議員の考え方には全く同意できないと思っている。だが、良い政策を掲げればそれを評価すべきだとも思っている。
 問題は、それらが評価に値する議論と成っているようにい見えるのかということだ。国の施策が上手く進むためには一定のレベルの高い議論が国会で行われる必要がり、それが自民党の派閥間で擬似政権交代として生じる状況は必ずしも良いことだとは思っていない。それ故に良質で能力の高い議員が少なくとも何人か民主党から輩出され、国会において意味ある議論がなされて欲しいと願うのだ。それ故の期待を抱いてきた。

 今、リベラルと自称する人たちの力が世界的に弱まっているように感じる。いや、私が感じるまでもなく世の中がそう動いているのは間違いない。そのことについては幾度もここで触れてきたように、リベラルが彼らの理想とするものと現実の間を心理的に埋められなくなっていることにあると思う。国家や経済の成長期には、彼らの掲げる夢はポジティブな心理補正により、現実との乖離を飛び越える説得力を持ち得てきた。
 同じようなことは、EUにおいても言えるかもしれない。EUという巨大な動きが人々の心理的な期待感を抱かせ、それが前に進んでいる間は夢を追いかけることに疑問や不安を大きく抱くことはなかった。しかし、一旦その問題が明らかになり、あるいは不安が前面に出始めた時、夢のみを語るだけでは期待をつなぎとめることはできないのだ。

 もっとも、現状の民進党の状態はもっと悪い。掲げる夢すら明確ではない。民進党の主張を聞いていても、少なくとも私は彼らが将来的にトータルとしてどんな日本をめざし、そこに向けてどのようなステップを踏もうとしているのかが見えてこない。もちろん個別の主張はわかる部分もあるが、政党としてのビジョンは個別の主張からでは十分に読み込めないのである。
 そしてこの不確定な混乱の気配が感じられつつある社会において、人が信頼できる筋道や行動が少なくとも現在における民進党の主張や行動からは見えてこない。そのことを端的に表している言葉が、ネットで揶揄され今では一部メディアでも使われている「ブーメラン」であろう(https://matome.naver.jp/odai/2140270796898079801)。
 彼らの主張は政権時と現状で大きく異なっており、首尾一貫していない。もちろん過去の考えや行動が間違っていたならば、それを変えることは全くおかしなことではないが、少なくとも明確な方針転換の宣言とそのための理由を説明しなければならないだろう。さて、それをきちんと聞いた人はどれだけいるのであろうか。少なくとも私は、意味のわからない自己正当化的な言い訳こそ聞いたことはあっても、姿勢が変わったことを示すわかりやすい説明を聞いたことはない。

 要するに、民進党がどこに向かっているのかという目的地が曖昧な状態で、凪の海であればともかく荒海で舵取りを任せたいと思うはずがないではないか。すなわち今の民進党にないのは信頼感である。それを付け焼刃な批判や行動で得ることなど不可能だ。そして、下野後の彼らが見せてきたのは長期的な信頼感醸成の姿勢ではなく、短期的な人気取りの姿なのである。
 さらに言えば、自民党等の対立姿勢という思考が前に立ちすぎており、共産党との連携等の自らの首を絞めるような行動にまで及んでいる。正直なところを言えば、民進党に見えていないのは「日本」であり「多くの国民の心」であい、そして「自分自身」ではないかと思う。

 現時点では日本維新の党は民進党を超える支持は得ていない。私も維新の会の全ての政策にこれまた賛同するものでは無いが、橋下氏というアウトロー化した偶像的存在を広告塔に立てながら、それ以外では地方行政ではあるが地道な動きを進めているようにも見える。
 もう少し時間が必要かも知れないが、気づけば民進党は空中分解で残存勢力が泡沫政党を維持すると言うことにもなりかねないのではないかと予想する。良くも悪くも橋下氏の吸引力でスタートアップを実現した維新の会の方が、政党として着実な歩みや信頼感醸成を重ねているように見えるのである。
 小池新党ができるかどうかはわからないが、地方政党の共同体としての政党が成立すれば、更に言えば母体となる連合の信頼をつなぎ止められないような状態が続けば、そう遠くはない時期に逆転現象が見られるのではないだろうか。

 蓮舫氏を党首に担いだあたりから、民進党の迷走が大きくなったように感じる。もちろんその前も、政党としてまともな政策を行えるような感じは受けなかったが、今の体制を不満に感じている議員も多いのではないか。政党としての骨格を作り下げることができず、その上で吸引力を失い基礎票を失えば、先に見えているものは明かである。
 大手マスコミの、民進党不祥事をあまり取り上げないというささやかなサポートも、ネット社会の今ではあまり意味を持たなくなった。結局は多くの国民に届き理解してもらうような政策、姿勢を基本に戻って行う以外に道はないのであろう。
 声を張り上げて政権を詰問すれば認められるという時代はもう戻ってこない。