Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

独島パフォーマンス

オリンピックも最終日を迎えて本来であれば競技の余韻に浸るところではあるが、ネット上では韓国男子サッカーチーム選手の対日本3位決定戦における政治的パフォーマンスが大きな話題となっている。これは李明博大統領の竹島不法侵入に合わせてという意見もあるが、別に関係なくても韓国は世界中でこのパフォーマンスを行っているので、そのことをよく知る人たちからすれば特別なことでも何でもない。アメリカにも広告掲示するし、イラク駐留軍でも竹島の絵を描き、世界中の文化財にその落書きをしている。
なお、国際法的には竹島は間違いなく日本の領土であり韓国は違法に占拠している状態ではあるが、ただ実効支配期間が長いため日本の主張がどこまで通るかは実のところはよくわからない。日本側は公正な立ち場で評価してもらおうとかつて二度ほど国際司法裁判所に提訴したが、韓国はそれを受け入れておらず実質的には何も変わっていない(両国の了解がなければ裁判は実施されない)。武力的な解決を実質的に放棄している日本としては、実のところ竹島を取り戻す道のりは非常に細く狭いものでしかないのだ。逆に言えば実効支配している韓国とすれば、わざわざ騒ぎ立てる必要など何もないはずである。日本の防衛白書に「日本固有の領土」と載せようが、学校で教えようが実効支配の状況を積極的に変える術は日本のはほとんど無いのだ。
ところが彼らはそれでも日本の影響力が怖いらしい。政治力などを通じて不当に奪われると感じているのだろう。それ故にどこかれとなくパフォーマンスを続けている。というよりは、むしろ自国に向かってわたしはこれだけ愛国的ですという競い合いをしているという方が正しいのだろう。
ちなみに、かつての朴大統領は「両国友好のためにあんな島など沈めてしまえ」と言ったとされるが、本当に韓国が固有の領土だと考えていたならばこんな発言は出ないであろう。不当だと知っているが、それを変えることが国民的に許容できないと知っているからこその発言だと私は感じている。

さて話を戻してオリンピックパフォーマンスの件だが、韓国の新聞社の報道によればもともと選手全員でパフォーマンスする予定だったが当たり前すぎると万歳に変更したとされている。ちなみに、この万歳も単純な勝利の喜びではなく終戦記念日(韓国では解放の記念日)にかけたものだとキャプテンがインタビューに答えている。
日本のネットユーザーなどの指摘を受けてIOCおよびFIFAは調査に乗り出しており、実際プラカードを掲げた選手は銅メダルの授与式には参加していない。
韓国内の反応はと言えば、大統領の竹島上陸にはパフォーマンスだという否定的な意見も多いようだが、韓国サッカー選手の行為には非常に同情的であってむしろIOCがメダル授与を行わなかったことに対する反論が少なくない。次の大統領候補すらがそれをtwitterでつぶやいているのだから、相当のものである。3位決定戦の後でそのパフォーマンスを大々的に報じたのはむしろ韓国のメディアであり、メディア側にもこの行為が問題となるという認識がほとんどなかったようだ。
政治的行為については、日本と韓国の間の問題ではなくオリンピックにおける韓国選手の行為が問題とされているため、日本のサッカー連盟などは何の対応もしないことを既に表明している。ところが韓国の様々な団体が反論を繰り広げ、一部では日本体操選手のユニフォームの柄が戦時中の日本の旗を思い起こさせるという言いがかりのようなクレームを付けている。本当にそうなら今頃言うのはおかしいことは誰にでもわかる。体操競技はすでにかなり前に終了しているのだから。
ちなみに、韓国側が問題としているのは旭日旗であるがこれが国際的にナチスハーケンクロイツと同じ扱いをされていると言うことは全くない。その使用に何の問題も無いし、その上で体操のユニフォームはとてもではないがそれを想起させるものですらない。

さて、現状では裁定についてIOCFIFAに委ねたことが明らかになっているようだ。これまでもIOCなどが処分下して押しつけるのではなく、当該国あるいは競技連盟などに判断を委ねる形が普通であった。実際、今回のオリンピックで追放されたスイス人選手はスイスのオリンピック連盟がその判断を下したし、資格となったバドミントン選手についてはバドミントン連盟がその判断を下している。
すなわち、IOCは問題があるという認識のみを示しその処分をFIFAに委ねているということだ。FIFA側とすれば韓国のサッカー連盟が早期に一定の妥当性がある処分を決めれば、それを持って由とする可能性は少なくない。それが、これまでの例を見るとパフォーマンスを行った選手のオリンピックからの追放であったり、あるいは一定期間の出場停止などの処分であったりするだろう。
だが、実際には韓国のサッカー連盟は国内の反発を恐れておそらく迅速な処分は下さない。むしろ嘆願助命の行動を活発化させるであろう。だとすれば、手間はかかるがFIFAは直接の事情聴取と調査をしなければならなくなる。これは、韓国側にとってはおそらく有利には働かない。むしろ国や連盟を上げて擁護しているとして、チームに対する処分を決める可能性もあるだろう。
今後の処理には多少の時間がかかると思うが、調査結果からパフォーマンスを行った個人についてはメダル剥奪程度はあってもおかしくないだろう。加えて、数試合(〜数年)のFIFA主催の国際試合の出場停止が下される可能性があると思う。問題は韓国チームに対する処分が行われるかどうかであるが、このあたりは現状ではまだなんとも言えない。チームとしてのメダル剥奪は、韓国サッカー連盟の組織的な関与でも明らかにならなければないと思う。ただ、それでも監督責任として懲罰的な数試合の対外試合禁止が課せられる可能性は無いとは言えないだろう。ちなみにもしそうなれば、現在は英雄的な立ち場に持ち上げられている当該選手も、おそらく韓国メディアから掌を返したように追求されることになるのではないかと危惧している。

オリンピックは確かに国威発揚や、愛国心を発揮する舞台でもある。ただ、それはあくまで心の内に秘めてこそ紛争中の地域の選手達も共に競技の集中できるのだ。それを自己愛の発露と同じように表現すればオリンピックに無用な紛争を持ち込むことになる。
仮に韓国選手の行為が日本に向けたものだったとしても、影響が日本ではなく世界に広がるのだと理解していないという意味で許されるものでないのは間違いない。