Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

トラウマか誤魔化しか

 今、韓国ではソウル市長候補の発言が非難の的となっている。話題の人は鄭夢準チョン・モンジュンhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%84%AD%E5%A4%A2%E6%BA%96)で韓国でサムソングループと双璧の財閥である現代グループ内の現代重工業の会長をかつて勤めていた人物で、日本人からすれば2002年サッカー日韓ワールドカップの時期のFIFA副会長であったと言った方が通りが良いかもしれない。
 一時期日本が単独開催する流れができていたところを強引に共催にこぎつけた、良しにつけ悪しきにつけそれだけの政治力を行使できる人でもある。

 発言の内容は、シンシアリーさんのブログから引用したい。
FIFA副会長出身の国会議員、審判買収で失言(?)(http://ameblo.jp/sincerelee/entry-11868637579.html

昨日(1日)、彼は支持者たちとソウルのある公園で選挙遊説をしていましたが、そこで次のような発言をしました。

『秘密の話を一つしましょうか』、

『2002年のワールドカップの時に、韓国がどうやって準決勝まで行けたと思うのかと聞いたら、世界サッカー連盟(FIFA)の責任者が「韓国が準決勝に上がったのはJとかいう人が審判をすべて買収したからではないかね」と答えたそうです。私の能力って、大したものでしょう?』

 これは、「全ての審判を買収などできるほどの大人物であれば、それだけすごいことでしょう」と暗に審判の買収を否定しているものではあるが、選挙戦で普通は口に出すような内容ではない。敢えてそれを口にしたのは、それを口にしなければ些細な部分で心の平穏が保てないような状況にあったのではないかと感じてしまう。
 既に12年も経過したことであり、当時は世界中でも多くの人が疑問を感じた試合があった(FIFA歴代の10大誤審のうち4つがランクイン:http://rubeusu-1.com/1089/)が、今では思い出すことも少なくなっている(何かの機会に付け持ち出されることはあるだろうが)。

 そもそも鄭夢準のこの発言が飛び出したのには伏線が存在する。FIFAの現会長であるゼップ・ブラッターが『4年前にはMJが審判を買収して(韓国が)4強まで行ったけど、我々はあの時ようやく16強だった』と話したとしていることが2年前にあった。
鄭夢準FIFA会長が『審判を買収して韓国が4強に行った』と話した」 2012年7月5日 NAVER/朝鮮日報(韓国語) (http://koramu2.blog59.fc2.com/blog-entry-887.html
 記事の内容からすれば先に言い出したのは鄭夢準氏なのだから、売り言葉に買い言葉のようにも見えるが、お互いに全く思いもしないようなことは言いはしまい。変な話ではあるが、外部からみていると否定するために言っている内容が疑惑を深める結果となっている。

 今回の発言を受けて、やはり韓国内部でも発言は審判の買収を実質的に認めていると受け止めた人が少なくないようだ(http://siokan5000.blog.fc2.com/blog-entry-2126.html)。スポーツにはホームアドバンテージというものが存在し、ある程度ではあるものの審判が雰囲気に流されることはある。そして、仮に買収されていたとしてもその事実が明らかにされない限り問題が公式に表面化することはない。
 ただ、自分を大きく見せようとしながら同時に買収疑惑を否定すべく行った今回の発言は、奇しくも全く逆の社会反応を引き起こしているように感じられる。