Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

脱法ハーブ

かつてはマジックマッシュルームなどで幻覚キノコなどと一時大きな話題になった脱法ドラッグが、最近また話題になっているようだ。脱法ハーブと言うことで、材料自体は工業的・化学的に生成されたものではない。自然物が故に取り締まりが難しいという面があるのかもしれない。
かつて、様々な「合法ケミカルドラッグ」と言われたものが問題となり、それらが次第に違法化されると共に使用される物が変化しているようである。基本的には大麻やその他の違法ドラッグの代用品として用いられる。
構成物質が特定され麻薬指定されると、新たなハーブが利用されるという一種のいたちごっこの状況でもある。また、これらハーブに違法物質を吹き付けて効果を増強しているような場合も多いようだ。

そもそも麻薬の歴史は古い。ただ、使用されるものについては概ね一定の種類に落ち着いている。日本では、覚醒剤メタンフェタミン)もかつては合法的な薬(ヒロポン)として売られていたことはよく知られている。欧米で出回っている覚醒剤アンフェタミン)とは多少種類が異なるが、どちらも覚醒作用があることが特徴だ。要するに使えば頭がすっきりして元気が出る。ただ、それはあくまで薬の効能によるため、逆にそこに依存するようになっていく。中毒症状の副作用は人によってかなり差があるようではあるが、幻覚・幻聴に悩まされること、あるいは心理的な不安定が導かれることが多い。
また、使用を止めて中毒症状が改善したとしてもフラッシュバックと呼ばれるぶり返しを完全に防ぐことは難しい。
ただ、たばこの場合にも似ているかもしれないが、使用者が全てこうした後遺症に悩まされるとは限らない面もあるだろう。ヘビースモーカーでも長寿の人などいくらでもいる。人による症状の差異が激しいのだ。だからと言って、使用して安全だなどとは言い切れないところが怖い。
なお、名称としては「S(スピード)」、「メス(メタンフェタミンの省略形)」、「アイス」、「シャブ」など様々なものが存在する(覚醒剤の呼び名:http://www.dapc.or.jp/data/kaku/2-2.htm)。

よく用いられる麻薬には、そのほかにもMDMA(エクスタシー)などのアッパー系(気分がハイになるもの)やコカイン(クラックとも呼ばれる)、ヘロインなどのダウナー系があり(アルコールもダウナー系の一種)、厳しく取り締まられている。
一時期は、これらの既に取り締まられている麻薬に化学式の似た化学物質が、合法麻薬などと呼ばれて跋扈していたが、現在では類似物質も麻薬指定されている。これらはクリーナーとして売られていたりした(現在でも売られているものがある)。

ただ、ハーブについては強力な麻薬と比較すれば効果が弱いことなどからそこまでの厳しい取り締まりには至らなかったため、大麻や芥子など一部の植物を除けば放置されていた面が強い。様々な化合物の違法化の流れをうけて現在ではこうしたハーブ系への流れができているのであろう。繰り返しになるが、ある意味いたちごっこではあるが、それでも抑えていく必要性は高い。
ちなみに、麻薬としての効果は早期に違法化されたものほど強く、一方で体に与える影響は効果が低くても変わらないケースが多い。すなわち、体に対しては同じように(むしろ余計に)悪く、効き目は低いことが多い。

一般的に、このような幻覚剤は気分を高揚させたり視界を歪めるなどの効果があり、または多幸感を感じさせるなどの一時的な快感を呼び起こす系統のものが多いが、その効果は人によって大きく異なり、また摂取量が多すぎるとオーバードーズと呼ばれる危険な状態に至る可能性がある。
用いられる一番の理由は、興味本位と言うこともあるだろうがセックスドラッグとして利用されるものがかなり多い。レイブ会場などでの蔓延は既にいくつもの報道機関が扱っている。

脱法ハーブとは、要するに麻薬のまがい物である。効果は麻薬に及ばないが、それ故に取り締まりが厳しくなかった。こうしたモノが取り上げられるというのは、一面において麻薬取り締まりの効果が一面では成功していると考えて良いだろう。誰もが容易に麻薬を手にできないからこそ、こうしたモノが取り扱われるのだ。それでも薬の乱用や麻薬の広がりがあるのも事実である。現状は第三次の覚醒剤乱用期と位置づけられている。地道な取り組みに期待するしかない。

こうした脱法ハーブが麻薬の入り口として機能しているのもある種の真実である。できることならば、効果が非常に弱く多幸感なども得られないもののみが広がるような状況に持って行ければ、あまりの効果の低さに麻薬に手を出す人が少なくはならないだろうか。
手に入りやすいモノは品質が著しく低く、楽しめるモノではない。品質の良いモノは、社会的な罰則が高くて容易に手が出ない。

人が現実からの逃避としてこうしたモノに手を出すことを完全に封じることはおそらく出来なであろう。だとすれば、上記のような現実を作り出すことで麻薬への敷居を高めるという取り組みも考えられるべきかもしれない。

「麻薬とは究極の刺激でストレスを覆い隠すモノである。刺激があるうちにストレス耐性が低下するので、刺激が切れればストレスは前よりも高まる。それが、乱用へ走る一番の原因だろう。」