Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

人身売買の広がり

 日本のマスメディアは触れたくないのだろうが、世界的には人身売買が当然のように行われていることについては過去にも何度か触れた。これは人身売買ではないかもしれないが、少し前に子供の両目がくり抜かれるというショッキングな事件が中国で発生したことは記憶にも新しいであろう。こんな取り方で使える形で角膜を奪えるとは思わないが、そのような世界が日常のすぐそばにあることは知っておくべきだろう(http://blog.goo.ne.jp/grandemperor/e/df1c23e1a03b3f60c9c85b2d55c4eb5c)。
 人身売買の目的は、このように臓器(あるいは角膜など移植可能な部分)提供の場合もあれば、売春させるための性的なものとして扱うケースも多い。日本では他人事のように思われているかもしれないが、日本でも失踪者は決して少なくない(年間8万人以上)。大部分が人身売買には関係ない失踪者(家出なども含む)でそのうちの90%以上はすぐに見つかるが、それでも年間数千人は不明のままであって一部では海外に売り飛ばされるケースもあるとキナ臭い噂も流されている。

 そして、アメリカの現状が決して看過できるものではなくなってきていることも明らかになってきた(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38802)。年間66万人が失踪しているというのであり、しかも未成年者が多いとされている。もちろんその8割以上は消息が明らかになったり戻ったりしているが、それを除いても8万人以上が長期に消息を絶ちそのうちの50%以上は20歳未満だという。
 アメリカのそれは、東南アジア・中国やメキシコ・東欧などの人身売買組織犯罪と比べれば可愛いものかもしれないが、こうした無法がじわじわと広がりつつあるということは決して楽観視できることでもない(http://beforeitsnews.com/alternative/2013/03/us-human-trafficking-destination-state-to-address-this-frightening-crime-2584292.html)。
 あるいは、同じような話が韓国における奴隷問題としても取り上げられたりもする(http://ameblo.jp/sincerelee/entry-11793245152.html)。多くはホームレスや精神障碍者などが罠に嵌められて無給で厳しい労働に放り込まれるというものであるが、警察なども巻き込んだ構造的なものであると疑われてもおかしくない状況なのが痛々しい(http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014021702000106.html)。
 ちなみに言えば、世界最大の人身売買国家は中国だとされている(http://www.afpbb.com/articles/-/3006789)。

 日本でも家出少女が言葉巧みに性サービスの世界に放り込まれるケースは雑誌の記事でも登場する(http://news.merumo.ne.jp/article/genre/1360676)が、これも世界における過酷さからすれば小さな問題とは言えども立派な人身売買である。日本でもこうした場面で麻薬などが用いられるケースも少なくない。麻薬を用いるということは、すなわち金儲けのための使い捨ての道具として利用されているのである。
 ここでもっとも大きな問題は、こうした状況が減少傾向にあるのか増加傾向にあるのかであろう。世の中の醜悪な問題から顔をそむけるのではなく、その存在を認識したうえで如何にそれを無くしていくことができるかという点に私たちはまっすぐ目を向けなければならない。日本では、まだ大幅に増加しているという状況ではないようにも思うが、どんどんと減っているという感じでもない。日本人が対象となる人身売買が増加していなかったとしても、日本が関わるそれについては問題視されている現状もある(http://japanese.japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20130719b.html)。

 なぜ、アメリカでも日本でも人身売買的な犯罪が無くなっていかないのかについては、犯罪者が撲滅できないようにこうした犯罪が無くならないというのもあろうが、その存在に対する注意喚起が不足しているのではないかと思うこともある。
 もちろん世界的な問題としては、世界の人口増加が発展途上国に偏っていることがある。また、臓器移植などの医療の発達がこうした闇マーケットを拡大させたこと。グローバル化により世界的な人身売買組織が広がりを見せていることなども理由として挙げられるであろう(性奴隷としての需要も依然として少なくない)。
 さらに言えば、グローバル化がこうした犯罪の面でも世界中に徐々に広がっている面が先進国においても問題とされつつある。フランスにおけるロマ族の問題も、もとをただせば犯罪率の高さが原因となって社会問題化した。移民の受け入れは労働力不足に対する一つの方法論ではあるが、そこに付随してもたらされる副作用を私たちは考えておく必要がある。異文化の共生は表面的には良いことではあるが、慣習や文化の違いは犯罪に対する意識の違いももたらすことになる。
 世界が均一化するということは、犯罪も拡散するということではないだろうか。その広がりが日本などにもたらす影響は、ひょっとすると私たちの想像をはるかに超えるものではないかと危惧している。