Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

TPPを進めるなら、ヤードポンドも変えて貰おう

軽自動車規格が非関税障壁だから、それを取っ払えという話が出ている。
馬鹿げた話と一蹴したいところではあるが、もし仮にISD条項により国際機関での調停で不当と出れば日本は多大の賠償金を支払うか、もしくは軽自動車という枠を撤廃しなければならない。もちろん、今後この枠組みが多少は変わることはあるだろう。それでも、こうした懸念がいくらでも湧き上がってくると言うのがTPPにおける現状である。
もし仮に、どうしてもTPPへの参加が必要だとすれば、逆にアメリカの非関税障壁をどんどんと指摘すればよい。
実際にはできないだろうが、こんな場だから言いたい放題言うのもまた楽しかろう。

では、どんなものがあるのだろうか。
最初に思いついたのが、長さや重さの単位である。
日本も欧州も、原則としてメートル・キログラムなどの単位系を用いているが、アメリカは頑なにヤード・ポンドを採用している。これは非関税障壁ではないのだろうか。これを変えるように働きかけるのはどうだろう。
そうすれば、アメリカへの輸出品も大部分が同じ単位で扱うことができる。アメリカも日本に輸出し易いではないか。

また、アメリカは連邦国家であるために様々な登録は各州ごとに行わなければならないが、これはアメリカに拠点を置かない企業が活動するには著しく不利な制度である。それ故、連邦政府が外国企業の登録については一括で受け持つ体制への変更を要求するのも良い。自分の国のややこしい部分を残しておきながら、他の国々へのごり押しするのは止めてもらいたいものだ。

アメリカには数々のバイアメリカン法が存在する。これも当然(一部の防衛産業などは別だが)廃止して貰わなければならない。明かな非関税障壁であろう。
その上で、国有化して再生を目指すAIUGMも早々に国家の補助を打ち切って貰わなければならない。国が特定の企業をいつまでも支援する体制は、これもまた非関税障壁ではないか。

アメリカは特許出願に関して、世界の趨勢と異なり先発明主義を採用している。日本は先願主義であって、先に申請したものが特許を得る権利を取得する。アメリカの場合には、特許出願が後になっても先に発明していたことを証明すれば、特許がそちらに認められる。本当に先に発明しているのであればまだしも、妨害のために先発明を主張するケースがあればそれは大きな問題である。これもれっきとした非関税障壁であろう。
同様に、植物の品種に関する特許をアメリカは認めている。実は日本では品種に関しては特許を認めてはいない(種苗法により権利の保護は行われる)。これも世界の趨勢は植物の品種については特許法とは別の制限をかけるのが普通である。これも非関税障壁とみなして変更して貰おう。

アメリカの裁判では、懲罰的判決と言うことで社会的に影響の大きな事件では通常の賠償金額に大幅な上乗せなどが実施される。イギリスにも存在する制度であるが、現実にイギリスではあまり用いられることはない。すなわち、アメリカ特有の制度と言うことになる。これも、アメリカの裁判がアメリカ人の陪審員により審理されることから、外国企業に大きな懲罰的判決を為す可能性も存在する。ちょっと厳しいかもしれないが、アメリカの特殊性と考えればこれも非関税障壁とは言えなくもない。撤廃して貰おう。

などなど、挙げていけばいくらでも出てきそうだ。
実のところ、これらの観点は日米構造協議などにおける日本側の要求としてアメリカに退出して、実質的には無視されている内容である。「米国の規制改革及び競争政策に関する日本国政府の要望事項:http://deztec.jp/x/05/12/kisei/」に詳しく書かれている。

TPPにどうしても参加するというのなら、この程度の要求をまず掲げて交渉に入ったらどうなのだろうか。

「日本のみに非関税障壁が存在するわけではないのだから。」