Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

世代交代が変える日韓関係

 日韓問題は、現状において改善の道筋が全く見えない状況にある。私が考えるこうした事態に陥った原因は数多く存在する。最大の要因はアメリカの態度のが変わったことと考えているが、韓国が日本人が抱く贖罪意識が世代間で引き継がれていると錯覚していること(極論的に言えば「甘え」)が次に来るだろう。韓国の我儘や条約を守らない姿勢を理由とする人は多いだろうが、これはそれぞれの国にそれぞれの論理があるから追及しても仕方がない。結局は国家間のパワーバランスにより決まるものであり、これまではアメリカが自己都合により韓国の我儘を日本に飲ませてきたことが現状を引き置こした。

 

 だが、現在日本人には韓国に対する贖罪意識を持つ人は非常に少なくなった。政治家の一部や左派言論人にそれらしきことに触れる人が多少はいるが、これもそれほど大きな力を持っていない。結果的に、日本政府の韓国に対する優遇措置取りやめに賛同する世論が大部分(韓国へ規制強化に9割超「賛成」 経産省意見公募で対韓輸出管理厳格化「支持」71%…読売世論調査 - ライブドアニュース)だ。日本人としては当然の反応だが、韓国人にはそれがわからない。おそらく文大統領にも正しい情報(日本人の反発)は届いていないのだろう。

 

 一つには、左派政党が支持を取れなくなったのと同じように、世代が変わっていることが大きな理由として挙げられる。そもそも戦後70年以上経過しており、戦争を知る世代の大部分は社会の第一線を引退している。私も戦後生まれだが、韓国が言ってくる難癖には全く当事者意識を持てない。それ故に、その理不尽さには大きく反発したくなる。

 加えて、アメリカが徐々に韓国を見放し始めているというのが大きい。韓国の戦略的な価値が高ければ、今でも日本に圧力をかけているだろうし、それを日本政府も知っているからこそこうした対応に出ている。それは結果的に日本の利益構造にも変化をもたらしている。韓国を鵜飼の鵜のように利用して利益を上げてきた日本だからこそ、韓国の我儘にも多少は付き合ってきた側面もあった。更にアメリカから結局的に強制されるのであれば、それを活かして利益を上げようというのは当然の考えになろう。

 

  だが、もはやアメリカは韓国に期待してない。これは文政権だからという話ではないと私は考えている。国家としての戦略的価値を見限り始めている。それがなければ、戦時統制権の返還や、合同演習の取りやめにまでは至らない。もちろん親米政権が韓国に出来てすり寄ってきても、そこで得られるだけの利益を取れば放置するのではないかと思っている。

 その雰囲気を嗅ぎ取った日本が、韓国に冷たく接する(というよりは投資利益の回収に走る)のはある意味で当然の行動である。こうした動きはネットで叫ばれるような断交にいきなり入るものではない。徐々に利益を吸い上げながら抜けていく。だから、見た目には弱腰に映ることも多くあるだろう。だが、これまでの動きを見る限り、日本政府はもはや韓国に甘い顔はしない。これまで調整役に乗り出していた長老議員たちも、現状ではその役を担うつもりはない様である。

 

 こんなニュース(長嶺駐韓大使「特使派遣なら10月の即位儀式前に」=韓国国会議員との会談で | 聯合ニュース)も出ている。韓国が即位の礼の前までに日本に特使を送る(=日本が納得できる提案を持ってくる)ならば、即位の礼に出席を認めるという内容である。逆に言えば、いつまでも現状を引張り騒ぐようならば、世界中の国々の代表が参加する場所に韓国は呼ばれないということになる。実質的な断交の意思を示すに近い行動となる。

 もちろん、即位の礼に呼ばなかったから直ぐに国交が途切れる訳ではないが、韓国を特別視しないというレベルではなく、韓国とは距離を置くということを端的に示すのだから。制裁でもなんでもない内容ではあるが、国際的には笑いものになりかねない状況であり、メンツを重んじる韓国はこれにも大きく反発するだろう。政治と民間交流は別と言っていた韓国側から、民間交流をどんどんとボイコットしているのが現状(朝鮮通信使祭り中止? 釜山市が日本との交流事業「全面見直し」表明 | 聯合ニュース)なのだから。

 

 即位の礼に関する件は、国内事情のみに拘泥してまともな外交ができていない文政権に対する強烈なメッセージではあるが、それに対して彼らが理性的な反応を示せることはないだろう。とにかく韓国の外貨稼ぎ頭である半導体産業を、韓国が態度を改めない限り今後じわじわと締め上げる宣言を日本はしており、その次には韓国の扱いを日本が軽んじると世界中に示し始めている。これは、キャピタルフライトを誘導する焦土化作戦の迂遠な方法ではないかと考えている。

 

 他方、実は韓国の若者たちは日本に対して比較的強い敵意を持っていないとされる。こちらも世代交代により雰囲気が変わる可能性が無い訳じゃないが、日本と比べると20~30年遅れている感じ。逆に言えば、あと20年程度は感情的な対立が容易には解けない状況がある。

 当面は、日本が韓国を見限りそれに韓国が反発する流れが続き、十年以上の年月をかけて徐々に韓国世論が変わっていくという時間が両国の間には必要であろう。こうした感情的な諍いは、一度その立場に立った人は容易に軸足を変えることはない。すなわち、現在反日を主導しているメンバー(動かされている若者ではなく)がリタイアするまでは継続すると考えた方が良いだろう。

 また、その間に韓国がどの程度経済的な苦境に立つかはわからない。現在のような原理主義的な立場を繰り返していると、日米に完全に見限られてしまう。その姿勢に変化が見えれば多少は日米の立場も軟化するだろう(だが、過去には戻れない)。そこで蓄えられる「恨」が今後の韓国の将来を左右するのではないかと思う。

 

 どちらにしても、日本と韓国の和解には相当の時間がかかると考えた方が良いだろう。