Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

BTS問題と日本の立ち位置

 何やら、K-POPアーチストの行動が話題となっている模様。正直、行動や態度に品や敬意が感じられない部分もあるが、個人的にはそのアーチストに興味はないし、その行動に関しても同様である。日本でのマーケティングを考えるならば、早々に謝罪しても良かったとなんとなく思う面もあるが、韓国でのバッシングの可能性を考えるとそれも難しいのであろう。面倒くさい国だなと思う。

 現在、日本のネット界隈が騒がしいが、直接の関わりはないものの徴用工問題も含めた韓国に対する不信感がここぞとばかりに広がって影響が主因であろう。一アーチ―ストとして日本を貶めるようなことを明言しているのであればともかく、彼らは多くの大人たち(事務所・スタイリスト・プロデューサー等)が作り上げている偶像であり、大して考えているものではないだろう。アーチストとしてその問題を真摯に考え、配慮する方が望ましいと思うが、それ以上に多くの日本人が感じている苛立ちは、結局韓国という国の認識や態度に対する反感からきている。すなわち、現状はBTSが手ごろなバッシング対象となったに過ぎない。繰り返し言うが、彼らの態度が良いといううつもりはないが、問題の核心はそこにはない。
 日本の言論界で、未だに日本はもっと大人になるべきと言う声もあるようだが、これまでが大人過ぎて日本が言論的に不利な立場に追い込まれ過ぎているからこそ出てきている現象である。そのはけ口として、今回丁度良い素材として表面化したのがBTS防弾少年団)というアーチストなのだ。

 例えば、もはや一人当たりGDP等も日本(25位)と韓国(29位)の差はほとんどない(http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpdpc.html)。こうした数値が実態を的確に表しているかなど評価方法の正しさに議論の余地があるかもしれないが、それでもほとんど対等の状況に近づいていると考えるべきであろう。とすれば、日本が韓国に譲歩したり余裕の態度で韓国の我儘を許容する理由はない。むしろ対等の関係だからこそ言うべきことは言う必要があるのではないかと思うのである。
 概ね韓国に優しい主張をする人たちの感覚は、未だ日本が韓国に経済面で圧倒的な差をつけていた時のままではないかと私は思う。その傾向は特にマスコミ界隈に強いように思う。本人たちにその意識はないかもしれないが、これは心理的な優越感を理由としている(特に国同士の比較ではなく、個人的な立ち位置を棚に上げている状況だと考える)。だからこそ、「韓国に負けるのが悔しいから」とか「迫られる不安があるから」日本人が韓国に対して攻撃的になっていると言ったりするのであろう。日本という国は韓国の追い上げられて焦り醜態を見せているが、自分自身は十分道徳的あるいは社会的・経済的に優位な位置にいるため上から目線でそれを諭していると言った感じだろうか。まったく馬鹿らしい。

 確かに、日本の家電メーカーがサムソンに収益等で現時点大きく負けているのは事実だし、品質等の良し悪しはともかくとして世界的な競争で日本が韓国の後塵を拝している場面も事実である。日本の製品が、世界的に求められるコストパフォーマンスに合っていないのも、そろそろ日本人は痛感し始めている。あるいは真面目にやっていれはいつかは評価されるというのが間違いであるというのも同様。的確なアピール、もしくは自己にとって有利なアピールを効果的に行う能力は、間違いなく日本より韓国の方が上手である。このあたりを上手くなりたいとは私も思わないが、そういう国民的メンタリティが現状を導いた側面は少なくあるまい。

 冷静に見れば、韓国はそれなりに大きな規模を持ち、高い技術力を有し、そしてプロパガンダの非常にうまい厄介な競争相手国である。数多くの日本からの技術援助が入ったこともあり、産業構成が日本に近くほとんど被っている。日本もまたアメリカから同じように技術供与を受け、アメリカは日本に敵わず産業構造を変化させてしまった。今、トランプが若干の先祖返り的な抵抗を続けているが、正直どれだけ戻るものかは疑問が残る。英語とドルと言う最終兵器有する彼らにとっては、風下産業よりも風上産業の方がずっと効率的なのだから。
 また、日本も現状では最終製品よりは中間部品生産や製造機械生産に主力部品を移している面もある。これらは、韓国や中国には同じような組立産業では敵わないという厳然たる事実からきている結論の一つであろう。ブランド化をするか、もしくは基軸となる技術を握ってしまうこと。これがアジア諸国から追い上げられる日本の生き残る道の一つであるのは間違いない。

 日本の世界的な影響力が、新興国の台頭やバブル崩壊以降の経済的低迷、および国家として生きていくための明確な道筋が見えにくくなっているからこそ低下しているのは厳然たる事実である。円取引のシェアも下がり、国際的な発言権も以前より間違いなく低下しているだろう。一方で、キャッチアップ国家である韓国が日本にしhかづいているのも事実だ(追いつけると言っているわけではないが)。日本人として抜かれるつもりもないし、日本は再び輝きを取り戻せる能力を秘めていると確信しているが、少なくとも現時点ではあまり好調でない。だから、仮に韓国の文化が日本に深く浸透することがあっても、国際的な力関係では当然のことと考えることもできよう。国民感情や日本人のメンタリティから、携帯や自動車など日本では韓国製品はそれほどのシェアを獲得できていない。だが、それが日本を国際的に優位な状況に置くことになる訳ではないのは、誰もが理解できるだろう。

 私から見れば、嫌韓も擁護論も双方ともに日本の方が優位であるという観点に立脚した意見に見える。日本の国際的に高い(?)地位にいるのに韓国に不当に辱められている。あるいはそう言う地位にいるからこそ、韓国にはもっと大人の態度で接しなければならない。これらは、実はほぼ同じメンタリティではないかと思えるのだ。例えば、韓国が平和賞を除くノーベル賞を獲得していないことを揶揄する文章がネット上ではよく見られる。だが、日本も将来的にはそれほど楽観的になれる状況にはないし、国際的に活躍する優秀な韓国人研究者が今後受賞する可能性なんていくらでもある。そして、逆に言えば十分に自信をつけた韓国を今の日本が庇護する必要性もないのである。それはいずれも事実かも知れないが、感情に由来した判断ややり取りである。
 正々堂々と競争すればよいのだから、韓国が徴用工のように不当な主張するのであれば、そこには明確な制裁を加えればよいではないか。もはや両国はほとんど同等でいいではないか。心理的なマウンティングなど、それを競争するほど馬鹿らしい無駄なことはない。仮にそれを韓国から仕掛けられていたとしても。そして、不当な行動には断固として対応すればよい。それだけのことである。

 正直、韓国と言う国もつ日本に対する執着心は面倒だし不当なものが多い。概ね感情的なやり取りが中心だ。それに同じように感情的に返すのは良くない。その感情的と言うのは批判だけでなく・おとなな態度を取ろうというものも同じである。だからこそ、現実的に、理性的に、是是非で対するのが正しいし、安易に甘く接する必要も全くない。相手と同様に感情的になるのも馬鹿らしいし、そこに配慮するのもあほらしく疲れる。笑って厳しく接すればよいだけ。韓国のものでも良いものは良い、悪いものは悪い。ただ、それだけのことである。