Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

脱亜党の可能性

マスコミの空々しい韓流やアジア旋風の報道とは裏腹に、日本社会には嫌韓や嫌中が確固たる形で根付きつつあるように感じている。わずか15年ほど前ではそんな雰囲気は全く感じられなかった。一面では、日本の国際的な地位や存在感が下がり続けているという焦りと共に、新興勢力として我が物顔に振る舞う韓国や中国に対する反感も少なくない。
加えて、韓国や中国を利用して利益を得ている産業界に配慮した政府の甘い政策が、こうした感情の発露に油を注いでいるようだ。確かに、日本の電機メーカーがサムソンやLGに売り上げや利益で大きく後れを取っているのは間違いない。だが、それと同時に日本は韓国との貿易において大きな黒字を得ているのも事実だ。円高に苦しむ日本企業は韓国などの国を経由することで生き残りを図っていると考えることもできる。
突き詰めて考えれば日本政府や日銀の経済無策がこの状態を招いたとも言えるが、自らの自由度を自分たちで狭めているという意味で残念な結果である。

さて、レームダック化が進んだ李明博大統領は反日的な言動を加速させている。報道は様々なところから出ているので今更取り上げる必要すらないと思うが、天皇陛下のかつての言葉に対してまでクレームを付けた言葉は、おそらく一線を越えたのではないかと思う。儲けのために韓国のドラマなどを採用してきた日本のマスコミも現状を肯定できるところなど無いだろう。
結果的に、一部のネットユーザーなどを中心に広がっていた嫌韓は、晴れて市民権を得て今よりも大きなうねりに広がると思う。それは日本における嫌中意識や意見を常に気にしている中国とは大きく異なっている。

韓国としては、日本を敵視しながら中国とアメリカの間で上手くバランスを取っていこうとしているのだろうが、武力や国際的な発言力においては確かにその戦略は効果を発揮する可能性はある。しかし、経済面を考えたならば日本を軽視して敵視する政策は非常に危険な賭であることもまた間違いない。
民主党政府が李明博大統領の竹島不法上陸後にすぐ経済連携は変えない(すなわち、経済制裁は行わない)と発表した裏には、おそらくアメリカ側から事を荒立てないようにという注文がついたためであろう。韓国側も、竹島の軍事拠点化は見合わせるような発言が時を合わせて行われた。こちらにもアメリカの陰が見え隠れする。
ところが、竹島上陸による世論の支持が予想以上に高かった(80%以上という報道である)ことが、李明博大統領を更なる行為に足を踏み出させているのが現状だ。おそらくアメリカ側は苦々しく思っているであろう。抑制された状況下で日韓がさや当てするレベルであればアメリカにとってはむしろ好都合かも知れないが、本格的な紛争に突入されることは望んではいまい。
とりあえずは日本に報復措置を取らずにこのあたりで沈静化させるように接触しているものだと思う。本来であれば、このような状況は野田政権にとってはまさに追い風でもある。韓国に厳しい姿勢を取ることでおそらく日本世論も大きく沸騰する。政権の支持率は大きく上げるだろう。ポピュリズムではあるが、民主党としても支持率を上げるためには方法論に構っていられないところなので、この機会は降って湧いたような点からの贈り物でもある。
アメリカの意向を何処まで汲み取るか、政権内では悩みどころなのではないだろうか。

問題は、こうして日本が抑制的な態度を続けている間に韓国側が更に行動をエスカレートさせてきた場合である。現状でも多くの日本国民は韓国側がやりすぎだと感じているだろう。更に越えてくれば、我慢ならないという反応は益々増えるだろうし、それが政権に圧力となって押しかかる。ここで踏み込んだ態度に出ることができなければ、いっそうの支持率低下に見舞われるのは間違いない。
そして、こうした状況が頻発すればするほど、韓国や中国に強硬路線を取るように要求する声は高まり続ける。言葉のみであればプライドの問題と片付けることもできるが、現実には日本としても失業者が少なくない状況にある。それに加えて日本人としてのプライドすらも傷つけられることまで許容できるだろうか。
福沢諭吉は100年以上前に「脱亜論(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%B1%E4%BA%9C%E8%AB%96)」という意見表明を行った。韓国(当時の李氏朝鮮)や中国(当時の清)とは縁を切って欧州と共に結びつこうとしたものである。
今後もこのようなことが続けば続くほどに、鳩山元総理が謳った友愛や東アジア共同体とは正反対の動きが加速していくことになるだろう。確かに、韓国や中国は地理的に日本に近いのは間違いない。ただ、現実の世界的なサプライチューンを考えれば生産拠点としてそれが韓国や中国でなければならない理由は何もない。現状では、コストの安さと品質の問題で中国や韓国が選ばれていることもあるが、あくまで経済的なものである。
地政学的な距離の近さというのは、むしろ安全保障的な意味の方が大きくなる。要するに戦争になることがないように配慮するというものだ。挑発に乗らないというのも一つの戦争回避の方法ではあるが、それしか手段を持たなければ相手側はエスカレートを続けるだけであろう。

そして、こうした国民の不満は韓国や中国に厳しく当たる政党を生み出し、一定の力を与えることになる。日本の場合ネオナチのような人種差別的なものにはならないと思うが、その政党は現在中国や韓国で儲けている経済界の意見を聞くことはない。
一部には無用な対立を煽ると否定的に捉える人もいるだろうが、現実に中国や韓国に強硬姿勢を示した小泉総理の時に日本が決定的なダメージを受けたかと言えばそうでもない。既存政党がそのような方向に舵を切るか、あるいはそれを政治信条として新党が生まれるかはわからないが、近い将来脱亜政党が生まれてくるのではないかと強く感じる。