Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

今後の日韓関係

 昨年は日韓関係が過去最悪であったとする記事(史上最悪だった「日韓関係」で次に起こること | 韓国・北朝鮮 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準「史上最悪の日韓関係」は打開されるか!? 注目される本日の日韓首相会談(辺真一) - 個人 - Yahoo!ニュース「戦後最悪の日韓関係」2020年はさらに波乱に満ちている理由とは | 文春オンライン)を数多く見かけた。だが、その状況は今年以降もより悪化するだろう。おそらくは、昨年の最悪は今年の最悪よりもマシだったと。

 その理由は、上記に示したいくつかの記事にも既に書かれているが、日本の事情というよりは韓国の事情による部分が大きい。というか、ここまでの日韓葛藤もほぼ一方的に韓国側の勝手な理由が原因である。というか、戦後ずっと韓国側が高い要求を日本に突き付け、その一部を日本側が飲む(日本側の譲歩)ことが続けられてきた。そして、それを固定化するような言動(『モーニングショー』玉川徹氏、日韓関係に「謝罪続けることが大事」発言で疑問の声 | ニコニコニュース日韓関係における「正しい謝り方」とは 大澤真幸さん:朝日新聞デジタル)が一部では出ている。だが、それを理不尽と考える日本人が増加したからこそ、韓国に対する親しみは最低レベルに落ち込んだ(韓国に「親しみを感じる」過去最低 内閣府調査 :日本経済新聞)。謝罪をすべきという個人的な考えは自由だが、それを許容しない日本人が増加しているという現実には目を向けるべきだろう。この現象は、ポリコレに反発した人たちがトランプ政権を生み出し、Brexitを成功させた動きと似ている。結果的には、それによりメリットを受ける人間(ここで言うメリットは、社会的権威や立場も含む)が少数いて、それによりわずかばかりの不快(不自由)を感じる多くの人がいることであろう。

 強いて日本側の問題を取り上げるとすれば、それは日本の存在感が韓国で低下したからである。貿易額もそうだが、キーパーツであっても絶対的に日本に依存しなければならないものはそれほど多くはない。一部には日本を無視できない製品(例えば、今話題のフッ化水素等)は間違いなくあるし、その方向に日本企業がシフトしているのは間違いないが、貿易全体で見れば決定的ではないのだから。そして、その結果として生まれる無関心こそが、日本からすればとんでもないと思える対応につながっている。そして日本からの反応を鬱陶しいものとして捉えているのであろう。

 

 ところで、一方で文政権は検察も抑えてしまい(韓国、検察改革法が可決 総選挙前に目玉公約実現 (写真=聯合・共同) :日本経済新聞「検察改革する」と言いながら検察より強い怪物作った=韓国(中央日報日本語版) - Yahoo!ニュース文政権の秘密警察化か?韓国「公捜処」に異論続出 明らかになり始めた文在寅政権「司法改革」の真の狙い(1/3) | JBpress(Japan Business Press))、政権中心者が仮に権力を振り回したり犯罪に手を染めても逮捕される可能性はほぼなくなった。すなわち、現政権に楯突く方法はほぼクーデターのみしか残されていない状況である。もっとも軍部中心も先に抑えられているため、それが実現する可能性は非常に低い。これで、文政権は心置きなく次の選挙に向けた施策に邁進できる。如何に与党の支持率を上げて、次期大統領も現与党(進歩派)から出すことができるかが問題となる。

 ただ、文政権の経済政策は正直壊滅的なレベル(【社説】本当に経済を立て直すべき新年=韓国 | Joongang Ilbo | 中央日報)で、徐々にではあるが世界的資金は韓国から逃避している。経済面での支持率浮揚は難しいのが状況である。とすれば、行うべきなのは国外に敵を作ること。国内の政敵はほぼ抑えきれているのだから。そして、最大の敵になるのはアメリカで、最も簡単に攻撃を仕掛けられるのは日本である。アメリカから金融制裁を受けるわけにはいかず本格的な反米活動はできないが、反日はいくらでもできる。既に最悪に近い状況に落ち込んでいるが、経済的側面を除けば日本も韓国も実のところ困っているわけではない。建前上は正当性を主張する必要があるため、面と向かって非難合戦にはなっていないが、日韓友好はお題目に過ぎない。

 

 加えて、韓国の政権(マスコミも含む)は日本に対して引けない状況をかつての自らが作り出してきた。それが今日における選択肢の硬直化を招き、逆に言えば打てる手を狭めてしまっている。実のところ経済的には日本に頼ったほうが良い面が多くても、過去に取ってきた姿勢から生まれるプライドが反発の連鎖を引き起こしている。そして日本側からすれば感情的になる必要はないものの、少しずつ韓国から手を引いていく準備を進めている状況。その様な背景がある中で、朝日や毎日新聞が謳う日韓友好の言葉(「最悪」という言葉、使うのやめよう 日韓100人対話:朝日新聞デジタル)のなんと空々しいことだろうか。

 繰り返しになるが、自らの選択肢を縛っている韓国側からして、経済的側面における問題以外は日本に譲歩するメリットはない。その上で、経済的側面での日本の重要性は以前よりずいぶん落ちている。韓国にとっては中国の影響が決定的なのだから、日本と中国のどちらにすり寄るかは考えるまでもない。こうした関係に100対0はなく、べったりも断交もあり得ないが、重要度が低下すれば対応はおざなりになる。ならば、あとはこうした問題を政権支持率浮揚にどのように利用できるかしかない。日本人の私が考えても、日本との友好関係を喧伝するよりも、日本との争いを(そして勝利を)アピールしたほうが遥かに支持率に跳ね返るのだ。取るべき選択肢は非常に限定される。

 そんな中、日本側から友好を言い出すということは、韓国の主張を飲むということであると受け取られる。だが、日本国民の多くはそれをもう許さない。個人的には日韓が対立してもメリットは低いので、両者の関係が酷くならない方が良いと思うが、それ以上に韓国の譲歩し続ける方が国民が体感する精神的な損失が大きい状態に陥った。政権の一部で言われる「丁寧な無視」というのは、それを踏まえれば適切な良い選択であるといってよい。友好にしろ対立にしろ、日本が騒ぐほどに韓国の現政権支持率が向上するのだから。2020年のポイントは、徴用工問題の差し押さえ資産現金化とオリンピックになるだろうか。

 

 だが、ここまで経済的な側面を除いてきたものの、政権が妥当される最大の理由が経済面であるのも事実。残り2年と少しの文政権が経済的に追い込まれるほどに、支持率浮揚のための反日強硬論が繰り返される。特に4月に行われる総選挙は分水嶺となる。経済界のみが政権の思惑とは別で日本に近づくだろうが、その動向が韓国政府を動かすことはない。それは、日本が日韓関係において何もしなくても生じることである。だから、現在の日韓状況が最悪とはとても言えないと考えた。断交や紛争にすぐ突入するというつもりはないが、小競り合いは生じてもおかしくないかもしれない。

 韓国の宣伝戦は、日本よりもずいぶん長けている。これは中国とアメリカに翻弄された歴史からくる知恵だろうが、それと同じレベルに至っても仕方がない(というか日本人には性格的に難しい)。それよりは、忍耐強く正論をアピールしていくしか他はないだろう。安易な妥協をしないことこそが最大の対策である。