Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

予防外交

 アメリカなどにおける韓国人(韓国系住民)の反日行動を見ると、こうした行動により一体誰が得をするのかという点が気になっている。もちろん反日的な教育を幼い時代から受けてきた人たちは、損得勘定なしにこうした行動に出る可能性が無いとは言わないが、仮に数名そんな人がいたとはしても大きな流れになるとは考えにくい。すなわち、こうした行動には何らだの代償が与えられると考えるのが妥当であろう。それなくして、地域に軋轢を生み出すデメリット以上のものを見いだせる人は多くはない。
 もちろん、それは金銭の場合が大部分であろうが名誉やその他何等かのメリットに関する斡旋と言った金銭以外のケースもあろう。日本でも在米韓国人のロビー活動の存在は報道されているが、当然のごとく単なる正当性の主張を行っているわけではない。票の力や政治資金援助などの様々な支援を約束した上で活動に賛同してもらうことを狙っている。所謂圧力団体として彼らの存在は位置付けられる。
 圧力をかけるのには、表向き言っているような平和の希求や性差別の解消など自らに跳ね返らない建前であるはずもなく、別の利益が得られることを期待しての活動である可能性が高い。そして、日本を貶めることで最終的なメリットを得る存在はおのずと知れる。もっとも、こうした工作資金の流れを私たちが白日の下で知ることはあるまい。合法的な活動でも、大きな世界の流れを知るには十分に足るが、こうした細微な情報は手に入れられるものは限られているからである。

 とは言え、明確な証拠はないものの漠然とした感覚は感じ取られていると思う。疑わしい状況はあるものの証拠を押さえることまではできないと言ったところではないか。民間の団体をいくつも迂回させて資金を回しているとすれば、それをつぶさに証明するのは容易ではなく、仮にできたとしても多大な労苦を伴うことになる。
 では、日本も同じように資金を用いて反対のキャンペーンを打ち出せばいいかといえば、これもまた少し違うような気がしている。基本的に戦闘は攻撃をする方が優勢になる。何らかの物量的・時間的制約があれば守勢により勝つこともあろうが、攻撃側がよほどのボーンヘッドをしてくれでもしない限り圧倒的な勝利は望めない。
 選挙戦における中傷合戦にもみられるが、最終的には正当性を主張するよりも相手の悪さを叫ぶ非難の応酬に落ち着くことになる。現実に現在の日本は政府はまだ正当性を主張するという抑制した調子ではあるが、世論は中傷合戦に突入する様相を見せている。リベラル系メディアや識者は、中傷合戦への突入を意識してかそれを窘める言論を展開しているが、現状までこうした状況の進行を放置してきたとして多くの国民の反応はどちらかと言えば芳しくない。

 私自身、中傷合戦への突入は正直言えば避けるべきだと考えている。なぜなら、一度エスカレートし始めた世論は容易に抑えきれなくなるのは、中国や韓国の例を見るまでもなく明らかだからである。日本は中傷を受けているというデメリット共に一定の品格を受け入れられているというメリットも国際社会から教授している。これを毀損して中傷合戦に入るのが果たして有利かどうかは冷静に考えなければならない。もちろん、現状では日本が一方的に辱めを受けておりその一翼を日本国内のメディアが担っているのは周知の事実であるが、一時的な反発心などの感情に流されて良い方向に行くとは思えない。
 第二次世界大戦突入当時の雰囲気を私は知る由もないが、一種の社会的熱狂があったことは知識として知っている。とは言え、朝日新聞が言うようなこうした反応がそのまま「戦争への道筋」に繋がっているとも思わない。少なくとも、謀略などがない限りにおいて日本側から仕掛けることはないだろう。
 ただ、だからと言って一部の識者が念仏のように唱える話し合いによる解決が容姿に行えると考えている人も少ないであろう。なぜなら、武力こそは用いていないが情報戦を仕掛けてきているのは間違いなく中国や韓国の方なのだから。少なくとも現状有利に進めている(と彼らは考えていると思うが)状況を、よほど有利な条件でもなければ引き下げる理由はないのだから。

 さて、それでも現実は日本がこれまで甘く考えていたこともあり予想以上に世界的情報戦において不利な立場を余儀なくされている。とは言え、このような情報戦は真実に基づいていないものであれば時間が経過するほどに効力が薄れていく。もちろん、単純に放置していたならば相手の嘘が広がっていく一方であるが、きちんと冷静に証拠を持って反論していくことが最も重要である。
 河野談話の検証問題が話題に上りつつあるが、翻すのではなく検証するということを前面に押し出せば多少不快に思われることはあっても非難されるには及ばない。こうしたことをきちんと政府が検証報告していくことで、少なくとも嘘の拡散を抑えることは可能である。
 いっぽあう的なウソを広げられればその流布は進むだろうが、反対意見がきちんと流されているのであれば単なる論争として認識されるので一方的な非難を受けることはない。もちろんこうしたかつ不動は即効性が無く地道であるが、下手な中傷合戦に陥るよりはずいぶんとマシだと思うのだ。

 その上で、中国や韓国がなぜ今ディスカウントジャパンを行っているかに思いを馳せる必要がある。それは彼ら自身が国内的に様々な苦境にあるからこそ、少しでも優位な立場に自分たちを置こうとして行動と考えるのが腑に落ちる。なぜ外国でまで反日活動をするのか。豊かで落ち着いた国であればそんなことをする必要がないことは自明である。
 すべては国内向きのパフォーマンスであるが、だからこそ対外的な恥も外聞も感じずにそれを続けることができている。逆に言えばこうした活動を続けることによる対外的なダメージを、あまり考えておらず感じてもいないのではないかということだ。

 さて、日本は対外的なイメージを重要視して韓国などの不当な非難に対応しようとしている。しかし、それは韓国などには今一つ響かない。元々見ている場所が異なるのだから。より効果的に成果を出そうと思うのであれば、世界中にそれを広める活動を主に置くのではなく、韓国内に違う動きを発生させなければならない。
 以前にも韓国は「親日が広がるのを畏れている」と書いたことがあるが、その方が経済的にメリットが出るように誘導することが最も重要である。それなしに海外で観光が流布する悪い面を否定して良い面を主張しても、悪口の方が世の中に広まりやすいように暖簾に腕押しの苦しい状況は変化しない。
 もちろん現在の対処療法の重要性も理解しているが、それ以上にこうした費用を投じて日本に良い感情を示す韓国人を金銭面で優遇する活動を行う方が効率的であると思う。これは、対処療法というよりは予防であり、将来に対する布石でもある。もちろん親日的であるということが罪として問われる韓国に一時的にはいられなくなるかもしれないが、こうした人々をしっかりと日本で守り育成していくのも重要だと思うのだ。