Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

韓国の瀬戸際外交

 昨年末より若干更新頻度を戻しましたが、今後も月に数度の更新程度になるかと思います。そんな状態ではありますが、よろしくお願い申し上げます。

 

 さて、韓国国防省から驚きの声明(韓国国防省「低空飛行」で日本に謝罪要求=哨戒機レーダー照射問題:時事ドットコム)が出された。さらに関連映像を公開するらしいが、現場映像は含まれていないとの話である(レーダー照射、韓国も映像公開へ 現場の映像は含まず:朝日新聞デジタル)。おそらく計測情報を中心にしたものだと想像するが、不利な状況を泥仕合に持ち込むことで挽回しようというつもりのようだ。こうした行動に出ることは、正確に言えば驚きでもなんでもない。何度も書いているが、彼らが謝罪をするとは全く思っていなかったからである。現在、韓国の経済情勢が良くないことについては前回のエントリで触れたが、こういった都合の悪い状況に行政権が自らの責任から目をそらすために行うことは、対外的な敵を定めることなのが一般的な相場だ。元々、中国やアメリカは怖いため用意に敵には定められないが、日本からは多少のことで反撃を食わなかったこともあり攻撃しやすい対象ということもある。しかし、既に腹に据えかねている日本政府としても、今回問題をなし崩し的に納めることはないだろう(山田宏防衛政務官が反論 レーダー照射で韓国の「低空飛行」謝罪要求に)。

 韓国が行っている敵認定(もちろん標的は日本)は、冷静に観察していると非常に分かりやすい。韓国政府は、自国の状況が悪化すると強硬な態度を取り日本からの譲歩を引き出すことを、歴代政権全てが行ってきた。時にそれが成功することもあり(全てではないが)、普通に考えればこうした成功体験は容易に拭い去れないものである。良かれと思っていたとしても日本が与えてしまった甘えの感情であり、私たち自身も認識を改める必要があるだろう。例が適切ではないかもしれないが、常にお金をせびりに来る困った親族のイメージに近い。仮に絶縁を願ったとしても迷惑行為は止むことはない。むしろそうした行動を見せるほどに、一時的とは言え反発は非常に激しいものになるだろう。彼らは日本が助けるのが当たり前と考えているのだから。ただ、それを畏れて譲歩を続ければ、延々と同じ行為が続くことになる。

 だが、冷静になって考えれば実は困っているのは彼らの方である。困っている状況があるからこそ、周囲に無理筋の迷惑をかける。同じような状況は北朝鮮の動きを見ていればよくわかる。もし北朝鮮が理想の楽園国家であるとすれば、他国と関わる必要すらないのである。焦土作戦とも瀬戸際外交とも言えるだろうが、それを気にせずに行ってくる行為に対し日本側が望む融和策は決して良い結果を残さない。残念ながら、韓国と日本の地理関係を変えることはできない。とすれば、日本は自国に都合の良い状況を作り出すために、必要なことをすることこそが肝要である。永遠に韓国との国交を無くすのであれば断交するというのも手ではあるが、譲歩を引き出すためであれば断交はカードにはならない。今回のレーダー公開のように、出来るわけないと高をくくられてしまうだけである。

 アメリカも韓国に関しては相当に手を焼いている(米国が韓国・文政権を見放す日は近い 北朝鮮にひたすら接近する韓国、トランプ政権の政策を骨抜きに(1/3) | JBpress(日本ビジネスプレス))ようだが、まずはアメリカとの親密な連携は必須である。もちろんアメリカも全ての気を許せるような仲ではないのは真実だが、最近の状況については韓国に対する日本との連携に不和は生じにくいと考えている。もちろん、対中国を考えた場合に韓国には現在の一定の価値はあるが、それ以上に韓国を切ることについては日本側の問題が大きい。要するに韓国が日本に対して正面から敵視行為をはじめて来たとき、それを受けて立つ準備が日本に出来ているのかという問題と言えよう。

 現状では、北朝鮮問題についても日米韓間での連携が原則となったままである。あるいは防衛上の法制、費用、国民感情のどれを取っても現在の日本に準備が出来ているとは思わない。極論を言えば、韓国と全面対立に至るということは竹島だけではなく日本のEEZへの侵略行為や、対馬への戦闘を伴わない侵略行為(準侵略行為)が行われる可能性がある。現状それを韓国が行わないのは、まがりなりにも日本とアメリカを介してではあるが協調関係にあり、韓国にとって日本が利用価値の高い存在であるためである。ただし、日本も様々な面で韓国を利用しており、こうした状況は一方的なものではないし、経済的な損得関係では日本の方が有利であるのは言うまでもない。

 

 韓国側の行動が日本人から理解しがたいのは、以前にも書いたが文化の違いによっている(文化摩擦 - Alternative Issue)。彼らの常識からすれば、仮に自らに非があることを理解していてもそれを認めることは許されない。もちろん相手に謝罪を要求するのはデフォルトである。それをすることで社会的に低く貶められてしまうという文化を持っているため、国際問題では韓国のローカルルールが通る訳ではないのを理解していたとしても、日本との間ではこうしたマウンティングを常に行ってくる。なぜ彼らが日本に謝罪できないかを懸命に考えても意味はなく、そういう文化なのだと知っておかなければならない。だからこそ彼ら自身の態度を変えようとすれば、どちらのルールに従うべきかを理解させなければならない。

 だが、現在日本はアメリカやオーストラリア、インドなどと中国包囲戦を敷き始めている。この関係性を強化していけば中国だけでなく、韓国の異常性も当たり前になっていくのは当然であろう。日本は孤立化する方向性より、他の国々との協調体制を出来るだけ保持することが求められる。一部に、日本単独の外交能力発揮を期待する向きや、防衛力としての独立を主張する意見がある。もちろん整備は重要だが、複雑化する国際情勢を考えると協調できる強いグループを作り上げていくことが最優先なのだ。その上で日本がグループのイニシアティブをどれだけ取れるかが問われる。こうした枠組みの中で、じわじわと韓国を締め上げていくことこそが重要であろう。韓国側としては、他国の介入が無い日韓問題に落とし込み、最終的に有耶無耶にすることを狙っているのだから。

 

 北朝鮮問題と同様に、日本と韓国との論戦では決して後に引かず、その上で関係国とのグループにより表に裏に徐々に締め上げていく。日本にはそのための手札が本当に山ほどあり、それを用いないという自らの縛りをどのように変えるかが重要である。韓国と敵対する可能性を頭に入れて準備をするとすれば、持てる手札がどれほど増えるか分からないほどあるのだから。