Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

USAJ

 異論も多いであろう問いかけではあるが、今日本ともっとも近しい国に個人的な思案を巡らせるとアメリカに行きつく。しかし、日米同盟があるという安全保障上の理由ではなく、また経済的な関係性が近いという意味でもない。はたまた国民同士の文化的なつながりが深いということでもない。
 ただ、物事を考える上での行動原理と文化的親和性を考えた時に、ひょっとしてアメリカは日本と近いのではないだろうかという感覚である。よく、ドイツ人と日本人の気質は似ているとか、東アジアの韓国や中国は民族性や文化性が近いなどと言われることもあるが、真面目に考えると本当にそうだろうかと感じることが少なくない。例えば距離的には近いアジアの国であっても、物事の考え方についてはかなり異なっていると感じることが多い。
 体系的に捉えれば日本と中国や韓国は同じ文化圏に属し、ルーツが近しいこともあって似たような主観や風習を持っていることもあり表面的な類似性は高い。しかし、同時にそれぞれ個性ある文化を構築しており全く同じ土台に立っているという訳でもない。

 戦後の日本が国民文化として大きく変質した(アメリカナイズした)という面もあるかもしれないが、むしろ似ているというよりは親和性が高いと言った方が良いかもしれない。
 とは言え、いくら私が似ているとか親和性があるとは言っても個人的な感想に過ぎず、人により感じ方は違うものである。ただ歴史的経緯や民族性のみに囚われなかったとすれば、アメリカの映画を好みアメリカの音楽を楽しみ、アメリカ発の生活スタイルを手に入れてきた日本人がアメリカに親和性が無いというのはちょっと苦しいと思う。
 もちろん民族的には明らかに異なり、文化や習慣も同じであるはずもない。それでも違いがあるのは他の国に対しても同じであって、差異のみ着目すれば日本は独自に歩んでいかざるを得ない。

日本とアメリカは似た者同士という論考(http://georgebest1969.typepad.jp/blog/2012/02/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A8%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AF%E4%BC%BC%E3%81%9F%E8%80%85%E5%90%8C%E5%A3%AB%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E8%AB%96%E8%80%83.html)

 さて、ここからが私が提示する暴論ではあるが、日本とアメリカが合併すればどのようになるのだろうかと言うことが気になっている。United States of America & Japan という考え方である。少なくとも現時点で世界第1位と3位の経済大国同士がくっつくという世紀の大事件であることは間違いない。吸収ではない。また、TPPのような囲い込み的な貿易連合でもない。ユーロのような多数国による通貨統合でもない。
 実は、産業構造を考えた場合には日米はそれほど大きく対立していはない。報道では自動車や農業などの対立が常々クローズアップされるが、これは異なる国の間の通商であるから問題となっている事項である。もし一つの国になったとすれば、それは本当に大きな問題になることなのだろうか?

 確かに、制度や言語、通貨から慣習まで、容易に融合できないことを上げればきりはない。何も、全てを一気に融合させろと言っているわけでは無い。そんなものは100年以上もかけて融合させればよいのである。何よりも重要なのは、将来的に融合することを決めた上でまずは一体となることを表明することである。単なる軍事同盟ではなく、経済だけの結びつきでもない。アメリカと日本は、他のアジア諸国と考えても本当に大きな補完関係にあると私は思う。
 これは現実に不可能なことであろうか。現在のアメリカの人口が3.2億人程度、そして日本の人口が1.2億人だとすれば、合併した国家の1/4は現状の日本人が占めることになる。25%の存在であることが支配される側になってしまうか、大きな発言権を有する地位を得られると考えるのかには議論もあろうが、私は必ずしも不利ではないと考える。むしろ、現状のアメリカ国民の方が望まないかもしれない。

 何から何までアメリカと歩調を合わせる必要はないとの議論があるのは知っている。しかし、力を付けてきた中国がアメリカと同じレベルまで信用できるとは私にはとても思えない。アメリカの国力が低下してきたことから不安定さが生じているのだとすれば、そのシステムを日本が内から変えるという方法はないのであろうか。
 ユーロ圏が成功例と言えるかどうかはなかなか難しいとこであるが、少なくとも面白い先進事例が存在していることに違いはない。その良い面も悪い面も教材として利用できる。

 さてさて、最初に述べたように私の提案が暴論であることは承知している。銃の扱いから、軍隊の在り方まで懸案になる事項はいくらでも出てくるだろう。ただ、繰り返しになるが最初は今のままアメリカと日本が別の制度であっても良いのである。どのように融合していくかを徐々に話し合って解決していけばよい。
 ただ、日本とアメリカが一つの国家となった時に、意外とよい調和を見るのではないかと夢想してみた。