Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

イオンと阪急阪神ホテルズ

 食品材料の偽装表示により、引責辞任というケースが発生した。当初、誤表示だと開き直ったような会見を開いていたものが一転自らの進退にまで急に変化が生じたのは、おそらく周囲からその方が良いという示唆を受けたこともあるのだろう。
阪急阪神ホテルズ社長が辞任、食材偽装で引責(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131028-OYT1T01185.htm
 グループ企業のトップの場合には、ほとぼりが冷めるのを待って(あるいは冷却期間すらなしで)関連会社へのトップに出向するという形が多いが、今回の場合も同じような経路をたどるだろう。そのことまで追及するつもりはないが、多くの人は今回の偽装を「やっぱりな」という感じで受け止めているのだと思う。もちろん、阪急阪神ホテルズ以外でもあやるゆるところでこのような行状は蔓延しており、差し替えられたメニューは山ほどあるに違いない。と書こうとしていたら、早速全国のホテルで自供合戦が始まった。もっとも、これらについても謝りやすい内容をピックアップして出している可能性も高く、実はその裏でもっと怪しい偽装は隠されているという穿った考えもできなくはない。そのうち、内部告発ブームが一時的に起こるだろうと予想する。
 どちらにしても、産地などブランドを記載したメニューが料理としてではなく宣伝媒体として記号化されてしまったことがこうした偽装に関する理由であると思うが、その現実を経営側が真摯に見つめてこなかったことが現状を引き起こした一番の理由であろう。しっかりした方向性なしに安易なコスト削減と売上向上をスローガンとしても、実態が劇的に変化するはずもない。そういう意味においてトップの責任は、現場を知らなかったということ以上にあるのではないかと思う。

 さて、食品に関する偽装問題はもちろん今回が初めてではない。むしろ、いつも繰り返されてきた問題でもある。雪印食品も形は違えど似たようなことを起こし(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%AA%E5%8D%B0%E7%89%9B%E8%82%89%E5%81%BD%E8%A3%85%E4%BA%8B%E4%BB%B6)消えてしまったし、そこまでは至らずとも様々な食品偽装は繰り返されている(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E5%93%81%E5%81%BD%E8%A3%85%E5%95%8F%E9%A1%8C)。
 先日もイオンで産地偽装米の事件が報道された。この記事を発表した週刊文春をイオンは訴えており(http://www.huffingtonpost.jp/2013/10/16/aeon-vs-bunshun_n_4112131.html)、その動きには目が離せない。ただし、イオンに米を卸していた(間にもう一社を挟んでいる)三瀧商事が中国産でかつ場合によっては加工用の米も混入されていたとして、農水省は告発の手続きを進めているとされる(http://www.huffingtonpost.jp/2013/10/04/rice-4400t-aeon-_n_4041971.html)ように混入は事実である。
 現状では、イオンが被害者であるという立場を本当に通せるのかが問題となる。トップバリューブランド(プライベートブランド:PB)で多くの商品を販売しているイオンは、その原産地等を表示せずにイオンが責任を負うとして販売を行っている。
 今回の偽装米は弁当やおにぎりなどに用いられていたものであろうが、その品質を保証しているのはイオン自体だと思うのだが、その点に関する道義的責任はどうなのだろう。そもそも大企業の下請企業いじめと同様に、相手が偽装などに手を染めるかもしれないという品質管理上の注意義務に無理やり目隠しをして、厳しいコスト削減を押し付けているのが現状ではないか。
 だとすれば、法的には責任を取る必要がないのかもしれないが、ブランドイメージの失墜という形で社会的責任が追及されるのが世の常であるのだが、不思議と(笑)マスコミがイオンを追求することはない。おそらく決定的な証拠が出ない限りそれは行われないのであろう。もちろんその場合には掌が容易に返るであろうが。