Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

レアアースの繰り返し

日本拒否鮮明に 中韓首脳、関係強化を確認 習氏「中韓はどれほど緊密か」(http://sankei.jp.msn.com/world/news/131007/kor13100719590001-n1.htm
馬英九総統が日本との自由貿易協定(FTA)や経済連携協定EPA)締結について意欲。(http://blog.livedoor.jp/v_w/archives/31422264.html

 台湾は日本に近づき韓国は中国にすり寄る。ということで、東アジアは二つのグループに分かれる傾向が強まりつつある。もっとも、台湾と中国の経済的な結びつきは相変わらず非常に強固だし、その他の国々もお互いに依存状況は深い。国家間の貿易額は確かにGDP比で言えば大したことないのかもしれないが、その小さなところに生活が懸かっている人も多く、これを無視するというのは暴論であろう。
 ニュースにも現れているように、東アジアが二つのグループに分かれているのは経済ではなく政治的な立ち位置の問題である。だとすれば、島国の日本と台湾(正確には台湾は国家ではない)が接近し、大陸国家である中国と韓国(正確には韓国は大陸国家ではない)が近づくのは地理条件的には理に適っている。
 とは言え、群雄割拠の中世ならいざ知らず現代社会において政治的な主義主張でいがみ合うのは馬鹿馬鹿しい。経済が国境を越えて融合しているように国際的な交流も同様に進んでいる。そこにはメリットもデメリットも存在するが、その全てを否定することのほうが現実的ではない。

 このことは、何も日本側だけではなく中国や韓国側にも同様に言えることである。現状はチキンゲームの様相を深めているが、この状況はすでに想定されたものといえる。中国や韓国は、国内統治のために仮想敵国として日本を明確に設定し、その過程が反日教育として揶揄されてる。彼らからすれば反日は手段であって目的ではないが、その事情を日本に汲み取れというのは虫が良すぎる要求だといえるだろう。
 しかし、一度自らが作り上げてしまったストーリーは韓国や中国支配者層のアイデンティティの一部と化してしまった。これを否定することは自分の一部をも否定することにつながるため、チキンゲームだとはわかっていながらも彼らは降りることが出来ない。これまでの日本がこうした状況に配慮してくれたおかげで保てていた地位が、はしごを外されたと憤慨することは承服できないが状況としては理解できなくはない。
 問題は、こうしたチキンゲームが結局のところレアアース問題が中国に与えたしっぺ返しと同じことを繰り返させるものだという認識が、理性ではわかっていても感情では承諾できない状況にあるのであろう。

 台湾でも一部では反日行動があるのも事実である。現状国民党が政権を握っており、これまではどちらかといえば中国よりの動きを見せていたのも間違いない。ただ、中国のゆらぎも感じられる今となっては少なくとも経済は中国、政治は日本という両天秤をかけることで生き残りの方策をかけようというのはおかしな話でもない。
 日本はある意味寛容な国家なので、反日的な行動さえなければ台湾が中国と経済的に深く結びついていたとしても、それを理由に敵視的な行動をとることはないだろう。だとすれば、韓国も今となっては経済的に中国依存となるのは仕方ないとしても、そのバランスを取るために日本と融和的な姿勢を見せておくことは国家の存続を考える上ではおかしな話ではない。それが出来ない理由は、単純にこれまでの政策的な積み重ねを受けてのメンツの問題にすぎない。それこそが、レアアース問題とよく似た構図なのだと思う。

 韓国が中国にドンドンと近づいている状況は、多様性を排除して一極化に邁進する姿のように見えるが、これはサムスンなどの一部財閥にエネルギーを投入して一点突破を図ろうとする姿とよく似ている。これは民族的な性格なのかもしれないが、最も大きな問題は中国に注力すればするほどに中国が日本と和解した時の立場がなくなってしまうのだが、この辺りをどう考えているのだろうか。
 旭日旗問題や親日派財産没収問題以外にも、日本側へのアプローチを自ら断っていく姿は本当に危なっかしく見える。日本は、経済的にメリットがあるから中国や韓国と付き合っているのであって、政治リスクがコストメリットを超えれば今以上に近寄ることはなくなるだろうし、それが可能な国家だということを理解すべきではないだろうか。