Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

中韓との妥協

 日中・日韓の政治的な対立が続いており、首脳会談がしばらく行われない状況が継続している。日本人とすれば原因を作ってきたのは全て相手国側であり、日本側が妥協する必要性など更々ないと考える人も多いであろうことが、安倍内閣の支持率の高さを見てもわかる。むしろ、これまで妥協し続けたから結果こそが現状を引き起こしていると考えている。
 しかし、一方で多くのマスコミは中国や韓国との融和を説く(http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201312/0006592796.shtml)。相手国に配慮して日本側から譲歩すべきだというものである。時には、中国包囲網を作るために韓国に妥協すべきだとか、あるいは話し合いのきっかけを作るために日本が譲歩すべき(明確には言わないが結果的にはそうなる)との論調も見られる。確かに隣国とのコンタクトが薄まることは外交的には得策とは言えないが、これは両国にとって痛み分けの結果でもあり一方的に日本のみが損をするわけではない。
 さらに言えば、対立により貿易関係で損失を被るのは日本よりも中国や韓国の方であることは既に多くの場所で説明がなされている(http://asahisyougun.iza.ne.jp/blog/entry/3227413/)。かつては、中国への進出を説き韓国企業を見習えと力説していた日経新聞も、今ではその論調はすっかりと影をひそめており見る影もない。

 政治的な状況は膠着であるが、経済的には中国や韓国からの企業流出は継続しており、東南アジアシフトが進んでいるのも多くの記事などで明らかになっている。中国は、ここにきて政治的には対立しても経済的には親密さをアピールしようとしている。ただ、現状では中国共産党の執行部が企てた日本との対立基調は日中とも国民の感情論への広がりを見せており、経済を別物と考えることが難しくなりつつある。これは韓国についても同じであり、韓国原産品を排除する方向へ消費者の取捨選択が続いている(http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130823/ecn1308231810009-n1.htmhttp://nikkan-spa.jp/539615)
 政治・経済というジャンルであれば別の動きを取ることもできなくはないが、中国や韓国が日本へのヘイトを煽った結果として日本でも自然発生的に対抗する意識が生じてしまった。その心情が良いか悪いかと問われれば、多くのリベラリストが訴えかけるように是非を問えば良いものではないかもしれない。ただ、こうした絶対的な感情の発露は相対的な理性を下回る。そして、韓国や中国の場合とは違って作られた反日ではない。
 本来訴えかけるべきは、まず中国や韓国のそれを弱めることではないか。対処療法的に日本人の感情を抑え込もうとしても、両国からの露骨な嫌がらせを継続されれば必ず再び吹き出すときは訪れるだろうし、こうした感情問題は抑え込めば抑え込むほどに爆発した時は大きくなる。どんな問題でも原因を断つことが最も根本的な対策である。中国や韓国の国内的な権力闘争のダシに反日などが用いられている現状こそが最も重要な問題であろう。

 しかし、日本のリベラル系メディアは決してその事には強く踏み込まず、良くてお互いさまとしか表現しない。日本が聖人君子の国などというつもりはないし、悪いところも少なからず存在するのは間違いない。問題点は少しずつ直していけばよいと思うが、この問題点を見る視点は基本的日本側の視点で国際的なバランスに配慮して取るべきものである。間違っても特定の国々のためのみに行うべきものではない。
 そもそも日本の右傾化を恐れるのであれば、その10倍以上の軍事を有し挑発を繰り広げる、また漢民族以外に信じられないような圧政を強いている中国の方がずっと大きな危険性を有している。なぜそのことを明確に主張しないのか。
 まあ、こんな問いかけをしても無駄なのは百も承知している。中国を叩かないのは中国が怖いから(情報の遮断や様々な嫌がらせを受けること)であって、日本を先に叩くのは日本政府が本当の意味では怖くないと思っているからである。特定秘密保護法案でも、この法案が怖いのではなくこの法案なら日本政府を叩けるという安っぽい打算が先に立つ。すなわち、日本の為に必要なことをしているのではなく、自分たちの主張を目立たせるために機会を利用しているに過ぎない。そして、それこそが企業としての営利に基づいている。

 私は、中国や韓国と目先の安寧を得るために妥協すべきではないと思う。それよりは、日本が譲れない点を明確にして対するべきであろう。本来外交とは、仲良しごっこをするものではない。お互いの利害を主張し合う中で折り合い点を見つけることがそれの本旨である。妥協は容易に行うべきものではなく、ギリギリのせめぎ合いの中で実現する必要があるのだ。
 馬鹿げた話ではあるが、現在マスコミが繰り広げる中国や韓国との融和は現状の緊張に耐えられないものが根を上げるような弱々しさがある。もちろん、それは面子の問題で日本に膝を屈することができないいくつかの国家のことを慮ってのことであろうが、それが日本の国益をどれだけ害することになるのか真剣に考えてもらいたい(期待はしていないが)。