Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

政党トレーサビリティ

 参議院選挙まで1週間を切った。テレビでは様々な選挙関連報道が行われているし、ネットによる選挙運動も一部に制限はあるものの解禁された。一足先に韓国ではネットを用いた選挙運動が導入されており、その結果として若者の投票率が大きく上昇したことが伝えられている(http://www.huffingtonpost.jp/2013/07/08/story_n_3564501.html)。もっとも、私は個人的に日本が韓国と同じように若者の投票率が伸びる可能性はそれほど高くないと思っている。多少の改善はあるかもしれないが、むしろ争点が薄れてしまった今回の方が投票率が下がる可能性すらあるのではないかと思う。

 ネットによる選挙運動の解禁は、候補者が自らの政策や活動をアピールできるという意味では別に悪いことではない。ただ、その弊害は中傷やデマなどの広がりで既に問題として認識されており、今回も選挙後にいろいろと出てくることであろう。今は制度自体の熟成期ということもあるので、多少は寛容に見ておくことも必要だろうが、悪質な行為については厳罰で臨んでほしい。
 ただ、個人的にはネットによる選挙活動が解禁されたからと言って、各候補者のホームページをいちいち見比べるかと問われても曖昧な言葉しか返せない。そもそも候補者個人の資質についてはホームページでは全く分からないし(修正された見合い写真のようなものだろう)、個人的にいくら良い政策を訴えていたとしても政党政治の現状では、個人の努力が政策に反映されるとは限らない。むしろ、耳触りの良い政策などは反映されることなどないと考えておいても良い。
 若者の投票率の低さはそもそも政治に対する無関心が引き起こしたものであり、翻れば政治参加しても自らの声が反映されないだろうという諦めが関係している。もちろん、実際には若者の主張のみが優遇されて反映されることなどありえないし、政治というものは長い議論と説得と雰囲気の醸成が必要なものである。
 私個人としては若者の諦めは早すぎると思うが、政治参加の経験がない者たちに最初から理解せよと言っても仕方のないことかもしれない。だとすれば、若者の投票率を上げるのは若者のためのこのような政策が実現しましたよと、根気強く広報することで若者たちにアピールし続けることしかないだろう。

 ところで、今回の選挙では元民主党の党員たちが現職議員として出所を変えてかなりの数立候補している。自民党に移ったもの、維新の会、みんなの党、、、その他無所属に至るまで結構な数が存在する。個人的には民主党を信じてその政策に共感して議員となったのだから、政治家としては民主党を変えていくことにすべてをかけるべきだとは思うのだが、現状の逆風を考えれば尻尾を巻いて逃げだすのは人情としてはわからなくもない。ただ、そのような議員を当選させたくないと思うのも人情である。
 理性的には、政策立案や運営能力が高く政治家としての仕事を十分に果たせる人物であれば、政党を変えても当選して日本のために尽力してもらうことには異存はないのだが、感情的にはそのような行動をとる人物は日本が不利になれば逃げだすのではないかという推測により適格とは感じない。
 今回の選挙では、民主党党員も民主党のロゴを最小限にして選挙に臨んでいるようだが、考えてみればこれほど恥ずかしいこともあるまい。政党っ政治真っ盛りのこの時代に、政党が最大のウィークポイントになっているのだから。

 ともあれ、元民主党の改選議員について個人的には少なくとも今回は当選してほしくないと思っている。自らの義ではなく利を優先させるような人物に国政を任わせたくないからだ。結果的には、どの議員がどこの政党をいつごろ渡り歩いてきたかということは、ネット上でいくらでも探すことができる(http://blogos.com/article/66214/)。ネットでも個人の資質がわかる部分もあればわからない部分もある。だから、選挙における政治家の姿勢を図るだけの力はネットの表層にはないように感じている。それでも、データベースとしてどのようなことをしてきたかについては知ることが可能である。
 政党トレーサビリティもその一つだと言えるだろう。