Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

二大政党制の夢の跡

衆議院選挙の結果は自民党単独過半数を獲得するだけでなく、自公連立政権で定数の2/3である320議席を超えることとなった。自民党が大きく勝つことは事前に予測されていた通りであり、マスコミなどの公平を保つポーズを用いながらのアナウンス効果(特にアンダードッグ効果)に期待した自民党大勝報道も、その効果を発揮するどころか却って逆の結果を由どうした可能性(バンドワゴン効果http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AF%E3%82%B4%E3%83%B3%E5%8A%B9%E6%9E%9C)も語られている。
私はバンドワゴン効果ではなく、一部ではマスコミの思惑を感じ取った国民が、そして多くは自民党よりも酷かった民主党を選択できないという面もあったであろう。ただ、何よりも自民党の代わりに投じるところがなかったという消極的支持者も多かったかも知れない。
それは、新たな第三極に浮上してきた日本維新の会も政党としての準備期間が不足していたこともあり、信じるにたり得るものでは無かったのであろう。何より同じように自民党が駄目だったと前回投じた民主党のていらくが、同じ様な新勢力としての日本維新の会への期待を減じることになったのは間違いないと思う。国民はチャレンジに多少臆病になったのだ。
結果的には、民主党日本維新の会の議員数は大して変わらないレベルにまできた。民主党の大敗は、前回の衆議院選挙における自民党と同じようにお灸を据えたという側面が大きいので、次の選挙では多少戻すことは間違いない。ただ、それでも55年体制における社会党の立ち位置と同じ様なレベルの落ち着くのが関の山ではないかとも感じている。
それは、国民が民主党社会党臭を敏感に感じ取っているからかも知れない。社会党の血統的な後継政党である社民党はほぼ消滅しかかっていることもあって、国民の心理的な位置づけが民主党をかつての社会党的ポジションに据えたのではないだろうか。ただ、比例復活は別にして小選挙区で勝った民主党議員は多くが元自民党系の比較的保守的な議員でもある。彼らは、自らの存在感を出すために保守的な姿勢を維持しつつも最終的にはマイルドな社会党的なポジションに位置を移すのではないか。それは主義主張がそうさせるのではなく、彼らの政治的なポジションがそうさせるのである。今でも自民党とは違うとしきりと言っているが、そう言わざるを得ないが故に彼ら(のうち一部)は本意とは違う位置に移ることとなる。仮にその状態を変えたいと思うのであれば政界再編に動くべきではあるが、それも今回の自民党大勝により可能性は低くなった。

結果として、二大政党制という多くの人が見た夢は遠のいた。次の参議院選挙で揺り戻しが懸念されているが、私は言われるほど大きくはないのではないかと思う。
小選挙区制は確かに国民の反応を増幅する。選挙結果はやや過激に出るが、ただ二大政党制という夢に馳せた思いが生み出した幻が、再び形を為すまでの時間をかなり必要とするようになったであろう。
個人的な意見を言わせてもらえれば、理念としての二大政党制自体に問題はないのかも知れないが、日本という風土には必ずしも根付かないと言うことが徐々に明らかになってきたのかも知れない。だとすれば、多くの国民の意見を繁栄させるには中選挙区制に戻す方向を探ることとなろう。
それは来年行われる次の参議院選挙で民主党がマスコミが思うほど勢力を増やせないことにより流れができるのではないかと思う。

今回の選挙は、日本における二大政党制の夢に引導を渡したのではないだろうか。