Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

音楽売り上げの低迷は必然

違法ダウンロードがCD等の売り上げ減少の根本理由として、レコード会社などを中心にしたダウンロード違法化が6月に成立して少し経つ。流通等の権利者側からすれば、違法ダウンロードこそが諸悪の根源でそれがなければ売り上げ減少に歯止めがかかると考えてのことであろう。実際、韓国では人口が日本の1/3程度であるが音楽関連の売り上げは日本の1/10以下とされ、その原因に日本とは比べものにもならないほど多い違法ダウンロードが挙げられている。
まだ、法律施行後半年も経っていないので結論を下すのは早いのだが、それでも早速こんな記事が出ている(違法ダウンロードが霞む音楽業界の末期症状:http://blogos.com/article/49593/)。もともと、この法律が成立する前から違法ダウンロードを取り締まったからと言って、CD等の売り上げが伸びるはずはないと言われていたが、まさにその通りどころか却って減少していると記事はしている。記事のように断言できるものかどうかは別にしても、同じように感じている人は少なくないだろう。
別に、違法ダウンロードを推奨しているわけではなく、音楽業界の認識がややずれているのではないかと思うのだ。音楽バブルの時期を基準としてその維持に励んだとしても、おそらくそれは叶わない。

そもそも、音楽業界は日本の成長と共に拡大を続けてきた。ここに来ての権利関係の強化は、売り上げの減少を感じたからこその行動ではあるが、それは産業の浮き沈みの一例でもある。どんな産業でも勃興や成長と衰退があり、その頸城からは音楽産業も逃れ得まい。ここに来ての権利保護のあがきは、その音楽産業を最大の状態に固定しようとするものである。そして、最大が続く(続かない)理由を違法ダウンロードに押しつけたのが現状であるだろう。
しかし、音楽以外のコンテンツが山のように生まれている現在、私達がこれまでと同じように音楽に費用を支払うという考え方はどう考えても甘い。少なくともデフレのこの時期に過去と同じように音楽支出のみを維持するはずもない。全体のパイが減っている状況下で、さらに新規のコンテンツが次々と参入してくる中で勝ち残ろうと思うのであれば、その勝ち残るだけの新しい理由が必要なのだ。
では、音楽業界(特にCD販売)において新しい何かがあるのかと問われれば、正直言って目新しいものは何もないではないか。

消費者側がかすれば、一定の可能な支出額が決まっている場合にそれを効率的に支出しようとするならば、なるべく多くの事例を集めてそれらを比較する事で支出の効率性をUPさせようと考えるのは当然である。かつてはその比較すらままならない状況があったため早期の決断が必要であったが、がネットの進展によりその状況は一変した。
本当に欲しいコンテンツであれば、ネットで入手したとしてもそれは購入される。youtubeを利用した販売促進がある部分で成功しているのがそれを示している。逆に言えば、その程度で販売が鈍るという事はおそらくこれまで営業的なものでかさ上げされていたバブリーな部分が剥がされているという事ではないか。
私は、やはり社会の変化により音楽業界のバブルが崩れたという印象を強く持っている。だとすれば、音楽売り上げの低迷は必然であり、音楽業界は今までの方法とは異なる何かを探し続けなければならないであろう。かつて宗教的コマースというエントリを書いたが、それも一つの方法ではあると思う。