Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

石原新党は政権再編期待

石原都知事が知事の辞職と新党結成を表明した。たちあがれ日本は解散の上で新たに作られる新党への合流予定と伝えられ、国民新党を追い出された形の亀井静香議員とも石原都知事は会談を行った旨なども聞き及ぶ。
中国や韓国のメディアは、安倍自民党総裁誕生に続き日本の右傾化が心配だと叫び、日本のメディアは知事職を投げ出すことをおそらく今後は叩くであろう。朝日新聞などは早速叩くための種まきを天声人語を用いて行っているようである(http://www.asahi.com/paper/column.html)。

さて、私はこの新党結成の動きを政界再編の導火線として期待したいと思う。別に齢80を数える石原都知事に総理として辣腕を振るって欲しいと期待している訳ではない。あるいは、一部メディアが報じているような日本維新の会との連携(http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012102600776)が本当に成し遂げられるなどとも思っていない。そもそも、石原氏も東京都知事として何かを成し遂げたかと問われれば、特に何か成果を残した訳ではない。ただ、上手く敵を作ることとメディアに打たれ強い(逆襲できる)点は橋下大阪市長とかなり似ているのは確かではあろうが、だからといってそれが両者の連携に結びつくとは限らない。どう見ても、たちあがれ日本みんなの党や維新の会は政策的な考え方が全く異なっている。それ故に、次回選挙に向けての選挙協力はあっても将来的な政策協力などはありえないと考える。一時的に結びついても、それは石原氏と橋下氏の個人的な関係に終始してそれ以上の発展は見られないだろう。
ちなみに、今回の連携は支持率が落ち目気味の維新の会を(実質的に)吸収するような形でのパフォーマンスだと感じている。ただ、個性の強い橋下氏がそれに甘んじられるとも思えない。

今回の新党構想の一番の効果は、民主党から出るに出られなかった保守系の議員が重い腰を上げるきっかけを作ったことではないかと思う。それは、解散をかなり具体的に意識できる状態に引き寄せた。そのことについてはメディアも既に伝えている(http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121026/stt12102607090006-n1.htm)。
泥舟と知りつつも、自民党には寝返れないし飛び出しても政策に関われないと共に目処が立たない保守系議員は目立たないものの民主党にも少なからず存在する。その上で、全体的な能力は低い民主党ではあるが、それでも一部には有能な議員も存在する。石原氏の個性を由とするかどうかは別であるが、老い先短いこともはっきりしており今乗り換えるためのきっかけとは十分なり得るだろう。
それは、選挙互助会としてまるで烏合の衆が集まったような民主党という巨大集団の瓦解を意味し、その上で新たな政界の離合集散を導くのではないだろうか。

現在の自民党民主党も、保守からリベラルまであらゆるメニューを取りそろえ、その時の国民の気分に応じて適するであろうと思うトップを持ち出すスタイルが主流である(実際にはかなり稚拙であるが)。それ故に民主党自民党化したと言われたが、逆に言えば代わり映えしない存在に成り下がったと言うことでもある。アメリカやイギリスのような二大政党制は明らかに主張の異なる存在であるが、日本の場合には多少の毛色は違うがあくまで似たようなもので、違いと言えば政策遂行能力の差のみである。
このごった煮スタイルは必ずしも悪い訳ではない。政策が極端に振れることを嫌う日本人の特性にも合っておりバランス感覚は優れているが、それ故に問題を先送りして決めない状態になる原因でもある。
さて、世界情勢が混乱し日本の成長が期待されるこの時期には、ごった煮スタイルが良いかと言えば少々パワーに欠ける。それ故、極端な進展は困るものの現在はやや方向性の強い政党が必要になるだろう。それが石原氏を中心とした新勢力になるのか、安倍氏が率いる自民党が主流を担うのかはわからないが、当面は必要なことではないかと思うのだ。
もちろん、舵取りに彼らが最適であると言うつもりはない。あくまで一時的にも保守の練度を上げることが必要だと思うからに過ぎない。

世界が落ち着く時期には、再びごった煮スタイルの政党が日本には向いているだろう。だからこそ、今はあまり口にされなくなった政界再編のガラガラポンに期待したい。