Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

痴漢といじめ

これまで潜在的に語られてきたものの社会的なコンセンサスを得るに至らなかったいじめに対する学校の無能力さが本格的に露呈してきて、本格的な警察介入の動きが広がりつつある。もっとも、少年事件の特殊性から警察も本腰を入れたくないという心理はあるだろうが、社会の要請が高まれば動かざるを得ない。他方、学校への警察介入を権利侵食と見なして食い止め続けた教育界だが、ここまでの杜撰さ示したら容易にはそれが否定できないであろう。
とりあえず、これまではいじめを受けても学校にも警察にもまともに相手にされなかったし、ネットに書き込んでも大きな動きとなることはなかったが、その状態は大きく変わった。今後は、山のように暴露話が噴出するであろう。そもそもいじめなどは何処にでもあるものなのだから。

一部の酷いいじめについては、ネット告発により世論の後押しを受けて警察に告発するという流れが増えるかもしれない。世論の声を無視するわけにはいかないからである。
いじめを礼賛するつもりは全くないが、その先にある問題についてはちょっと気になる部分がある。いじめの構図は痴漢被害とも非常に似ている。露骨ないじめはさすがに誰にもわかるであろうが、隠蔽して行われるそれはやはり当事者しか判らないものである。逆に言えば、被害者側が酷いいじめを受けたとしてそれ相応の証拠などと共に告発した場合、加害者とされるものが一方的に糾弾されることになるだろう。ところが、その真実性はどこまで担保できるのであろうか。痴漢でも冤罪被害と目されるものが問題となったことは少なくない。レアケースになるかも知れないが、気にくわない相手をいじめの首謀者としてネット上などに告発する可能性がないわけではない。
ネット空間は、その告発の正しさを見抜けるのかと問われれば正直言って非常に難しと思う。なぜなら、不十分な事実関係の下でも加害者に位置づけられたものを容易に叩くのだから。大津市の事件でも関係ない人が加害者の関係者として大きな迷惑を蒙った。
良くできた嘘を基にいじめ告発が為された場合に、最終的にはその嘘が露呈するかも知れないがそれまでの間に落ち度のない人が苦痛を受けるかを考えると正直笑えない話だと思う。

確かに、いじめを行うものが相応の罰を受けることは必要だろう。ただ、そのためのルートの一部にネットなどの無責任な存在が過度の力を誇るようになることは良いこととは思えない。もちろん、現状の体制が十分だとは全く思わない。自らの保身にキュウキュウしている学校や教育委員会など全く役に立っていないし、社会的制裁の権利をマスコミに与えるのも変な話である。
できることならネットが介在しないような仕組みを学校組織内に設置できれば最も良いのだが、いじめを発見して抑止した方が評価が高まるようなシステムを作り、その正当性を生徒達に確認できるようなものができれば最も良い。ただ、教員達がそんなシステムの導入には徹底的に反対するだろう事は想像に難くないが。

酷いいじめは親告罪ではあるが、その親告の正当性を間違いなく評価できるシステムが何よりも期待される。いじめ冤罪などと言う言葉は聞きたくないのだから。