Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

日本の衰退は世界のメリット

最近、韓国の日本に対する嫌がらせは正直言えば度を超しているなと感じるが、それは日本を遣り込めることが彼らのメリットであるからでもある。現時点では、竹島問題や慰安婦問題などの直接的な経済的メリットを得られるものではないのだが、それでも徐々に日本の国際的プレゼンスが下がることは、自分たちのプレゼンス向上に寄与すると彼らは考えている。
中国やロシアなどの領土侵食も基本的には日本が何処まで抵抗するかを睨みながらの戦略である。日本の抵抗が強そうであれば、様々な非難をすることでそれを抑え込み、弱そうであればどんどんと既成事実を積み上げていく。

日本は衰退するしかないというイメージが結構広がっているが、それは日本にとってメリットがあるのかと問われれば誰もがそれは日本にとってメリットのないイメージ論だと答えると思う。それにも関わらず、日本の衰退を日本人が考えてしまうのはそれより日本以外の国がメリットを受けるという認識がないというのもあるであろう。
日本は高齢化が進行し、人口が減少しているので今後成長しないとの話も広がっているが、世界で人口が減少している国は日本だけではなく、ドイツもロシアも減少している。それらの国々のGDPが成長していないかと言えば成長しているのである。そもそも、最も重要なのは総枠としてのGDPの増加よりも国民一人あたりのGDPを増加させるという意志が何より必要なのではないか。だとすれば、「成長しない」というイメージ論を広げることは、結果として日本を衰退させることの後押しをしている。

アメリカとしては、金を環流する国家としての日本の衰退は確かに痛手ではあるが、その代わりの国家が見つかるのであれば許容できる。仮に、韓国や中国がきちんと日本の代わりをすることができるのであれば、日本の衰退もアメリカは許容できる。すなわち、日本の味方をしなくなることも十分あり得るのだ。
その上で、日本が衰退を始めたとしても日本の保有するリソース(人材、技術、知的財産)はまだまだ宝の山であり、すなわち力を失い始めた国家は草刈り場になりかねない。それを守るのは、外国に明確に抵抗する意思でもある。
最近の書籍などでも、貧乏が正しい生き方であるというものがプッシュされているが、金持ちが心豊かでないというのはイメージ論でしかない。実際には貧乏であろうが金持ちであろうが、心が貧しい人は貧乏人にも金持ちにも存在する。

日本のかつての成長は、日本人の所得の底上げを目指すものであった。今は、社会の格差を抑えるために所得のアッパーを抑える動きが目立っている。「最小不幸社会」などというスローガンは、不幸を最小にするのではなく成長を最小化しようと言うことに実際は繋がるのだ。
今日本に必要なのは再びの成長なのであろう。それは世界からすれば必ずしもメリットではない。世界市場がゼロサムだとすれば日本の勢力拡大は他の国々の権益を奪うものとなる。ただ、世界経済が衰退に向かうような状況下では世界市場が衰退しないように牽引する存在も必要となる。だとすれば、日本がその役割を担えるとすれば世界経済にも寄与するであろう。

日本衰退が世界のメリットとなるのは、世界経済の縮小(あるいは拡大がない)が前提であるが、世界経済を再成長させるとすればBRICsの停滞の明確化により日本の再成長というものも意味を持つのだと主張することにより、日本の成長が世界にとってメリットだと認めさせることが重要であろう。