Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

リ・バブル

少し先の話を考えてみる。別に今すぐというわけではないし、あるいはずっと来ないかも知れないことでもある。それは、世界経済が低迷して日本のみが好景気だというある種夢のような状況だ。
アメリカが現在の基軸通貨を捨て去らず、中国が無謀な戦争に打って出ないという前提であり、加えてユーロにおいてドイツが今後も孤立(あるいは離脱)を続けるということの先でもある。

現状、アメリカの景気は欧州よりはマシであるもののそろそろ息切れ巻が漂い始めた。遠くない時期にQE3の話が再び遡上に上ると思うが、QE3のみではバブルは起こせても経済成長は難しいかも知れない。
欧州はと言えば、現状的確な解決策など遠い向こうにしか存在しない。少なくともドイツが巨大な損を被る覚悟無しに現状の混迷の解決はないだろうが、それがドイツのユーロ離脱に依ればドイツもドイツの抜けたユーロ圏も低迷からは脱することが容易ではない。
欧米が低迷し続けると、結果的にBRICsの危機が広がる。成長著しく発言力も増しているこれらの国家ではあるが、外国に対する債券や権益など経済の深みは欧米に比べて著しく劣る。すなわち、いざと言う時にどれだけ耐えられるかという粘り腰は、経済的には強くない。すると結果として、国家が強制的に介入する形に動くのだろうが、現在社会においてそれはメリットとなり得るか微妙なところである。
簡単に言えば、今の中国にとっても平和が国家繁栄の前提なのである。紛争は、正常な判断に依るならばあくまで経済に影響ない範囲でしか行えないというのが私の見立てだ。もちろん、感情論で様々な議論は出るだろうが、結局のところそれが広がるのは暴発でしかない。経済的ダメージを甘受してまで行うのかという話になる。ヒトラー的な原論の台頭がないとは言わないが、それは戦争への突入となる。

ちなみに言えば、もう一つの巨頭である日本はネガティブ思考の蔓延により、積極的な問題解決の意思すら広がっていない。それでも、日本の永らく続く閉塞感は何らかのマグマを溜めているのではないかと感じる部分もある。そのマグマを微かに感じ取った者たちが更に抑え込もうと努力しているようにも思うのだが、果たしてそんなことが可能かと言えば難しいのではないかとも感じている。
ではなぜ日本が衰退するというイメージ論が振りかざされるのか。日本は世界に名だたる債権国であり、世界中にお金を貸している。日本の景気を上げようと考えれば、最も手っ取り早いのは日本にこれらの資金が環流することと言える。日本では不景気で儲からないと言うが、現実にお金が環流すれば景気は良くなるのは間違いない。今の日本の不況は日本国内に十分お金が流れていないことによるのだから。
だから、日本の衰退論は日本の資金を国内に環流させるのではなく、むしろ海外に留めておくために用いられてるレトリックだと言えなくもない。これは完全な嘘ではなく、確かに今の日本の景気は悪いし、政府は金利を上げたくないのでお金をおいているだけでは金利のメリットもない。それでも、アメリカは景気拡大のためにお金をばらまいているし、それが庶民に広がらないのは政府支出として手広く資金を撒いていないからである。日本も同じことをすればインフレ気味になる、すなわち景気が回復すると言うことだ。

今懸命にそれを押し止めているのは、世界がどちらかと言えば日本の資金で息吐いているからでもあって、日本の資金が国内に環流させることを世界は望んでいない。そしてこれまでの抑圧があるからこそ日本は大きく動く可能性もある。それをバブルの再来だと言ったり、金利が上昇してインフレを抑制できないと危険視する向きもあるが、過度のそれは危険であっても緩やかなそれは望むべきものである。行きすぎを懸念している人たちは、むしろバブル的な状態になったときにはもう声高には叫ばないようになるような気がするが、その時にこそ過度の状態に対する懸念を発する時期なんだと思う。
世界経済が今後もトンネルの中を進み続けるとすれば、いつかの時点で日本が突出する可能性はあると私は思っている。それは日本が今後も経済成長できる余地を十分と残しながら、メンタル的なあるいはテクニカルな理由で停滞しているからだ。

私は日本が再成長して欲しいと強く願うものだが、その流れが強くなりすぎた時にはバブルを警告したいと思う。抑圧が強いほどに反発も大きくなるのだから。