Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

おかわり

相変わらずネタに困らない韓国という国ではあるが、韓国の最高裁判所日韓併合時代の徴用者に対して、日本企業は賠償責任を負うとの判断を下した(中央日報http://japanese.joins.com/article/640/152640.html?servcode=A00§code=A10)。早速、韓国では損害賠償請求の問い合わせが行われているらしい。すでに提訴に向けての動きも明確化している(47NEWS:http://www.47news.jp/CN/201205/CN2012052601001373.html)。
現実問題として、1965年に締結された日韓基本条約http://www4.ocn.ne.jp/~tishiki/nikkankihonjouyaku.htmlwikihttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E3%81%A8%E5%A4%A7%E9%9F%93%E6%B0%91%E5%9B%BD%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%96%93%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%9D%A1%E7%B4%84)により以下のような取り決めを行っている。

  • 両締約国は、両締約国及びその国民(法人含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する(個別請求権の問題解決)。
  • 一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益において、一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であって1945年8月15日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする(相手国家に対する個別請求権の放棄)。

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すなわち条約上はいかなる請求権も存在しないことなっているが、韓国の最高裁判所は上記判決で実質的にそれを否定している(例外項目があると認定している)かのように見える。あくまで韓国内での法的判断なので、その正当性は仮に置いておくとしても日本国内に影響を及ぼすことはできないのだが、それでも韓国国内に有る日本資産に対しての差し押さえなどの処分が行われる可能性は残る。もっとも韓国政府はこうした動きにはおそらく消極的であり、人道的援助を訴え続けることになると思う。先日も韓国文化財の日本側の好意による返還が、韓国内では不当に奪われたものを奪い返したとの認識がなされたように、日本側の好意は韓国側ではその通りに認識されることはない。

道義的な責任を問うのは韓国の自由だとしても、法的な責任を問うのは条約との整合性が気にかかるところである。では、なぜ今このような議論が再燃しているのであろうか。そこには韓国国内の国民の生活が困窮しているという事実があるのではないかと思うのだ。
かつて日韓基本条約にて日本は経済協力金として、当時の韓国の国家予算の数倍になる資金(11億ドル)を無償・有償・借款にて渡している。現実にはこの資金を国民ではなく産業発展に投入して漢江の奇跡と呼ばれる経済発展が成し遂げられた。この資金は、日本側からすれば賠償金ではないと認識しているが、韓国側としては賠償金と認識している。
さて、今回の問題はこれの蒸し返しであることは明らかだ。韓国政府が国民を代表して日本から受け取った資金を実質的に国民には渡さなかった。それ故に、国民は日本から何も貰っていないとの不満が大きい。もっとも、韓国は日本に併合されていたため戦勝国としての賠償金を受け取る権利はなく、上記の経済協力金は日本が韓国内に残してきた社会インフラを諦めるということとセットで行われている。
だから、韓国民は賠償金を要求すべき一義的な相手は韓国政府になる。その上で、あえて日本という国に賠償金を要求するとなれば日本側が放棄したインフラに対する資金を返還しなければならない。ちなみにこの費用は当時で約53億ドルとされており現在に直せば数兆円以上にもなる。
それ故、韓国の最高裁判所も日本という国家ではなく日本企業による徴用という変化球しか持ち出せなかったとも考えられる。ちなみにそれを要求しているのは遺族会が主体であって、本人が存命のケースはそこまで多くないだろう。
さて、遺族はその賠償金を受け取る法的な適格性を有しているのであろうか。既に60年以上経過しているにも関わらずだ。

さて、法的な内容をどうこう言っても仕方がないのだが、実質的には韓国による日本への資金拠出の「おかわり」だと私には見える。日本から貰った資金を基にいくつかの企業は大きく成功して、韓国という国も国際的に一定の地位を得た。ただ、国家価値を上げることにエネルギーを集中しすぎたため国民の生活が彼らが持つ理想的なイメージほどは向上していないし、また国家にそれを強烈に持ち上げる余力もない。
結果として、日本にたかろうという状況と言うことである。道義的責任を持ち出す姿は、やくざが「誠意を見せろ」という姿にダブって見える。最初から日本より資金を引き出そうと考えており、そこに感謝や負い目を感じる心理がないとすれば日本としてはまともに取り合うのも馬鹿らしい話でもある。
仮に、本当に日本企業から賠償を取ると言う動きが活発化するとすれば、日本企業は韓国から脱出していくことになるだろう。それが韓国にどのような影響を及ぼすかを考えれば、、、、、やはり韓国政府は裏で画策はできたとしても、最後まで表舞台には出てこないだろう。

「譲歩が更なる譲歩を育てていることを、そろそろ広く認知すべきであろう。」