Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

議員とボーナス

公務員給与引き下げ議論に加えて、国会議員歳費の引き下げもマスコミでは飛び交っている。
ただ、あくまで個人的な感想として言わせて貰うならば、国会議員はもっと歳費を取っても良いと思う。ただ、定員はもう少し減らしても良いだろう。理想を言えば、国会議員は今以上に能力のあるスタッフを増やして、勉強に励むと共に新たな政策提案を進めて貰いたい。
確かに現状では不満な部分も山ほどあるのだが、本来的に国会議員の歳費を減らせと叫ぶことは、国民が自国の国会議員の価値や地位を低く見ていると言うことにもなる。重要なのはポストの価値を貶めるのではなく、その価値に見合う人をそのポストに就けることであろう。

橋下大阪市長もどんどんと自己の給与や退職金を切り下げているのだが、私はこの点については反対である。いや、現状多くの市長や知事がその報酬に見合わない働きぶりかもしれないと思う気持ちはある。それでも、それはポストの問題ではなく個人の能力の問題である。
特に、国会議員や知事・政令市長などの数は挙げてもしれたものでしかない。その報酬をいくら削るかという議論は、財政問題で言えばほとんど意味はない。気持ちの問題としてあったとしても、それは現状景気の悪い時期における一時的なものであるべきではないだろうか。

それよりは、サイレントマジョリティである多くの公務員給与や地方議員給与の引き下げの方が財政的にはずっと価値がある。私は以前より地方議会議員については基本ボランティアとすべきだという持論を持っているので(現状都道府県や政令市レベルは有給でも良いだろう)、数減らしよりも意味があるように思う。ただし、地方議会への参加を促進するために自治体職員として働きながら勉強して貰いそれに応じた報酬を受けるなどのサポートは必要だと考えている。

結局の処、卵が先か鶏が先かの議論になってしまうのだが、私は少なくとも国会議員と自治体トップの地位は辱めて欲しくない。そして、その地位と報酬にふさわしい人が輩出されることを願いたいと思う。

さて今回のエントリの本題に入るが、実を言うと議員はボーナスを受け取っている。ボーナスとは、本来営利企業において利益が大きくなったときに特別に支払われる臨時報酬である。日本においては実質的に一定の期間在籍したことにたいする特別賞与という給与の一部になっているわけであるが、まだ公務員ならともかくとして議員にボーナスを支払う必要はあるのだろうか?
wiki:賞与:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B3%9E%E4%B8%8E
まず、公僕たる存在にボーナスが必要かどうかと言う基本原則を考える必要がある。もちろん、日本の特殊性として既に給与の一部として扱われているのは、ローンのボーナス払いが認められていることでも明かである。ただ、ボーナス(賞与)というのは元々給与の一部(すなわち、普段の給与で不足する分の補填)として扱われるべきものではない。
民間企業であっても大手は業績連動とは言い切れないが、中小企業ではまさしく業績連動である。
だとすれば、議員に対してボーナスを支払う必要があるかどうか非常に疑問を持っている。

いや、まず考えなければならないのが議員という地位が、一般の会社員と同じような一介の職業と考えるべきかという問題があろう。仮に、同じような地位であって社会における同等の役割を果たしているのだとすれば、給与についても同じような体系するというのはわからなくはない。
ところが、議員は選挙により選ばれる。すなわち公募である。しかも、任される期間には任期という制限がある。
だとすれば、一時的な職(もちろん、十分な責任を持った上でである)だと考える方が合点がいく。現状で認識が難しいのは職業として政治家になる人間が多いからではあるが、本来は本業を有しており社会的にも認められる人間が、その上で議員という職も兼任するべきものではないかと思うのだ。もっとも、国や都道府県レベルにまで至れば専任もやむを得ないかもしれない。このあたりは、私も明確に区分できていない。

ただ、一個の職業として長期に専念して貰う場合にはボーナスという存在も、現状の日本の給与体系では支払われることは理解できなく無いが、数年程度の委任をする存在として考えれば(仮にそれが繰り返されるとしても)、その存在にボーナスを支払うというのは本当に必要なのかと思うのである。
これは同じように、知事や市長という選挙で選ばれる特別職の公務員についても言える。ボーナスを支払うくらいならば、最初からその分給与を増していれば良いではないか。極論を言えば公務員についても同じであろう。

ついつい当たり前のことと流してしまいがちではある、このボーナスという存在。考え直してみるのも良いかもしれない。

「ボーナスは建前上削れる存在なのだと思うのだが、誰もそこには声を上げない。」