Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

岡田副総理の暴走

こんなニュースが流れてきた。
岡田氏、公務員採用7割減を指示 各府省の反発必至(http://www.47news.jp/CN/201203/CN2012030901001357.html
いや、、ほんともう馬鹿かと。。。言葉が出ない。

公務員の人件費問題は、民間との格差が問題とされている部分が最も重要である。日本の公務員数は世界的に見ても最も少ない。ただ公務員の給与は世界的にはかなり高いという事実がある。
その上で、財政問題に絡めて人件費を抑制するというのは理解できないことはない。政治的にそう言う判断はあってしかりである。ただ、採用を7割も控えるとは常軌を逸した行為だと思う。

そもそも最も重要なの公務員人件費の総枠の抑制が核心ではなく、民間給与との大きな差が問題なのだ。加えて、国家公務員給与を下げることは地方公務員給与削減にまで繋がるので、それにより一種特権階級と化した公務員という職を国民が納得できるものに戻そうと言うことだ。
ところが、この案でいけば既存の公務員の立場は温存され、新たにそこにチャレンジする人が著しく機会を逸する。それは既得権益の固定化ではないか。

確かに公務員給与を削減するのは抵抗が強く、民主党政権の支持母体でもあることから容易でないのは誰もが知っている。だからこそ、原理主義者とも言われるほど頑なな岡田副総理が大なたを振るうことが期待されてのではないのか。現実に、社会の格差是正ではなく安直に目的を核心ではない容易に実現できる採用減に求めるとは、この先の弊害がどのように出るか怖いものである。
実は公務員の採用減は結構前から始まっており、公務員組織全体の高齢化が進行している。現状の給与体系を守るとすれば、採用を控えようが毎年少しずつ上昇する定期昇給により公務員人件費は間違いなく上昇する。もちろん退職者分は減る。それでも定期昇給が5%ほどあるとすれば退職者による減の分以上に増加する。

いくら採用減で公務員の人件費を建前上減じたとしても、おそらく国民の不満は決して収まることはない。今後も公務員給与を下げるような世論が様々な形で巻き起こるであろう。それは、このような策を弄すればするほど苛烈になる。その結果、数年にわたって採用を減らすなんて話にもなってしまうかもしれない。そして、採用人事体系の巨大な歪みを残すことになる。
官僚機構は精緻な社会システムである。それを歪めるツケは、おそらく現在の場を取り繕うことにより得られるメリットを遙かに凌駕する。問題は、そのデメリットを被るのが現在の民主党政権ではなく、今後の政権や国民なのだ。
要するにさんざん言われている先送りという最悪の手段を執ろうとしている訳である。そして、ツケは未来の日本国民=子供達に押しつけている。それは借金という形ではないためマスコミ受けするわけではない。ただ、実質的には同じものであろう。

「高機能だが古い生産機械が電気を食いすぎるので、当面は全体の稼働率を少しずつ落として電気消費量を抑えれ、そしてより省エネな機会に殉じ更新していけばいいのに、新しい機械は一切入れないということで電気代の代わりに更新費を下げようとしている。いつかは破綻するやり方なのに。」