Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

飽きる

流行は飽きにより移り変わる。
容易に飽きられるものは短い命しか与えられないし、なかなか飽きがこないものは定番となって流行とは距離を置くようになる。

そもそも、飽きがくるとはどのような心理状態なのであろうか。それは、自分が好むもの(それは服であったり、アイドルであったり、食べ物であったり様々である)から刺激が得られなくなることを言うのだと思う。
最初から、刺激ではなく平穏を求めたものであれば飽きが来るとはなかなか考えにくい。

刺激が得られなくなると言うことは、要するに慣れてしまったと言うわけである。風変わりなものであっても、人は容易に慣れる。そのため、流行を長引かすために様々な点が講じられる。最も理想的な方法は、流行状態をそのまま安定状態に移行することだ。それが日常生活の一部に入り込めば、慣れて飽きられる可能性は大きく減ることになる。
あるいは、次々と変化することで興味を惹き続けると言う手もある。ただし、その変化が受け入れられなければ飽きるよりも嫌われて終わる。それだけ難しい手法となる。AKBなどは、その変化をどちらかと言えばファンに委ねることで成功しているのだと私は思う。アイドルを育てるという楽しみを与えることは、変化を自ら作り出している(と感じる)という意味で、興味を惹き続けさせる。

これは、料理などでも同じようなことが言える。王道は定番料理であるが、様々な新たな料理が生み出されていく。これらは、定番料理の隙間にうまく入り込んで人々の関心を惹き付ける。料理に強い力があれば、王道料理の一つとして認められるケースも稀にあるだろうが、多くの場合にはいつかは飽きられる。
ダイエットフードなど、まさにその流れのうちにある。

新たなチャレンジをする場合、最初から定番である王道ものを生み出したとしても容易には認められない。と言うのも、世の中にはその王道を昔から生み出し続けている存在がいるためである。これらの権威に、同じ土俵で打ち勝つことは容易ではない。
だから、最初のチャレンジはニッチ分野となることが多い。これは、ある意味当然で仕方のないことでもある。このニッチが王道の一分野として認められ飽きとは無縁の生活の一部になるには、社会環境とのマッチが非常に重要である。如何に面白く・将来性があることにチャレンジしていたとしても、社会環境にそれを受け入れる素地がなければそれが広がることはない。

マイクロソフトも、アップルも、あるいはアマゾンや楽天も、そうしたニッチを日常に変えてきた存在ではあるが、彼らが成功したのはたぐいまれなる発想と努力だけではない。そのタイミングが重要だったのだと思う。逆に言えば、時流を読めたからこその成功なのだろう。

すなわち、流行が日常に変化する社会変化の匂いを嗅ぎ取れるかどうか。そこが、飽きの境界を越えるキーとなるのであろう。

「定番は、定番と社会に認められたことが既に権威となる。ブランド戦略とは、その権威維持のサポート戦略なのであろう。」