Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

公務員制度改革試案

現状の公務員問題は、その給与が民間と比べて高くなりすぎたのが問題だと以前に書いた。
繰り返しになるが、それは公務員が高くなりすぎたのではなく、民間給与が上昇しない(あるいは若干減っている)状態にも関わらず公務員給与が上がりすぎたことが問題であった。
だから、理想的な解決策は民間給与の向上であるが、それが企業収益を圧迫してしまえば長続きするものではない。

それ故、公平性の観点から公務員給与の引き下げが検討されるに至ったのが現状だと認識している。そんな状態ではあるが、公務員側としては現状の給与水準を基に生活設計をしているため、給与の引き下げにはできる限り引き下げ幅は小さくしたい。だから、公務員数の削減という方向を選択しようとしている。もちろん、公務員給与の削減を謳う政府もそちらの方が容易だから、安易な方向に流れやすい。

ただ、国民の公務員への不満は現状における実質的な給与格差にある。だから、いくら総支出を抑制しても国民からすれば差が縮まっているという認識は抱きにくいし、数が少なくなって高給取りの公務員が増えればますます特権階級だと叫ばれるだけであろう。

では現状で公務員給与が高いのか?と聞かれれば、すでに一時よりは下がっているのも事実である。若手の一部には現状の給与で苦しい人もいるであろう。
あくまで個別のケースにおいてはそう言う事例もあるだろうが、やはり全体とすれば公務員給与は高い。特に、民間の非正規雇用が増大すればするほど国民の実感は高まることも間違いない。
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(追記)
非正社員38・7% 過去最多を更新 厚労省調査
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110829/biz11082919080014-n1.htm
現状では勤労者の1/3が非正規雇用者だとすれば、正規雇用者のみを対象とした給与調査の信頼性が低下するのは間違いない。
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ところで、公務員も日本国内で消費を行う消費者でもある。だから、単純に言えば公務員給与の減少は日本経済の縮小も意味する。私は、公務員給与は引き下げて臨時公務員の増員をはかるのがもっとも適切な手法だと思っている。

さて、前置きが長くなったがここからが本題になる。その公務員(特に国家公務員)の昇進などに関する処遇問題がある。現状では国家公務員はⅠ種(大卒レベル)、Ⅱ種(短大卒レベル)、Ⅲ種(高卒レベル)という想定が為されているが、就職難の現状ではⅡ種、Ⅲ種にも大卒の受験生が多いなどの状況が生じている。
かつては、このⅠ種国家公務員はキャリア組と呼ばれ、エリートコースを歩む存在とされてきた。ただ、採用時の試験のみで将来の全てを決めるのはおかしいとの意見もあって、現状では幾分かは改善されているとも聞く。実際能力のある人であればⅡ種採用であっても一定以上の地位(通常はⅠ種の人が占める地位)を得る人もいる。

しかし、ではⅠ種採用の多くが優秀かと問われれば、これまたそうではない。あくまで私の感想ではあるが、概ね優秀だと見なせるのは1/3程度ではないだろうか。だとすれば、残りの2/3はどうやって過ごすのか?
できる限り失敗しないように目立たず仕事をこなしていく。そういう存在になる。ただ、それでも放っておけば自然に地位が上がる。よほど変な人間でなければ、それなりのポストに自然に就くことになる。もちろん、重要なポストに就くことはない。誰でもできそうなポストに押し込めるのだ。
そして、こうした人たちのために、何をしているのかよくわからない役職が設けられる。もちろん、その役職が何をするのか立派なことが謳われている。ただ、実態としては何もさせない閑職であることも多い。

これは大企業における企業内失業者の状況に近い。もちろん、全く仕事をしていないのではない。どうでもよい調査や会議への出席など、それなりに仕事はあるだろうが、それが役所としての機能向上に寄与しているかと聞けば、おそらくそうではない。

私は、数年に一度、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種のカテゴリー移動をいくつかの人で行うべきではないかと思う。JリーグにおけるJ1とJ2の入れ替えのようなものだ。Ⅲ種でも優秀な人は一定の推薦を受けてⅡ種枠への移動ができる。逆にⅡ種枠でも必ず一定数の人数をⅢ種枠に落とす。これは、悪い人を落とすとなれば絶対に落とさないので、5%は必ず落とすと決める。逆にその5%枠分はⅢ種からⅡ種に上がる枠となる。

Ⅱ種とⅠ種の間も同じである。

こうすれば、働きが悪い人間は自動的に給与も役職も上昇度合いが低下する。やる気のある人は、就職時には低くても上に行ける可能性が生まれる。
もちろん、途中からの昇任になるので当初からⅠ種の人と比べれば昇任は遅くなる。でも、頑張る人は処遇する。そのことはきちんと行える。

また、昇任は人間関係であるので、たまにはそりの合わない上司に降格を押しつけられるかもしれない。しかし、周囲から評価されれば復活も可能なシステムとすれば、恣意性を極力減らすこともできる。

これにより、能力とやる気のある高級幹部が増える。
おそらくは、それはマイナス側には働かない。
いや、民間との癒着などそれはまた別の問題として残らないとは言えない。
ただ、それは高級幹部であろうが、一般職員であろうが生じる問題でもある。これには厳罰をもってあたるのがもっともよい。

ほかにも改善すべき点はいくらでもあるだろうが、職員の昇任について考えてみた。

「世の中でもっとも役に立たないのは、口ばかり出して手を出さない者たち。そうしたポストを増やすことは世の摂理に反する行為である。」