Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

NHKの不正義

悪法も法なり法治主義に基づけば、法律で規定されているNHKの受信料支払いは国民の義務である。ただし、ホテルの受信料訴訟などでも見られるように現状における受信料の仕組みには大いに問題があるのも事実である。
ホテルに設置するテレビから受信料を徴収することについては、空き室の料金まで徴収されることや、大部分のこうしたホテルを日本人が利用している以上受信料の二重取りとなるという批判も強い。かつては、そこまで強行ではなく料金徴収人による判断もあったようで、客室の数〜数十%を受信料として徴収していたこともあったようだ。
また、現時点では本格化していないものの将来のネット配信も睨んでネット接続のTV受信機についても受信料徴収を行おうと考えているとされる。法律については既に整備されているのでNHK自体の行動する意思のみがあれば可能でもある(どおようにそれを特定するかは別として)。
ところで、なぜこのように強硬な姿勢に転じたのかについては、少々わかりにくい点も多い。引き金は、NHK批判を理由とした受信料不払いの広がりであったと思う。一時的に広がったそれは、おそらくNHKが予想していた以上のダメージを与えたのであろう。NHKの場合、反応が一般の民間企業ほど出てこないのでわかりにくい部分はあるが、幹部はかなり強い問題意識を持ったに違いない。
その後の悪質な滞納者への訴訟などを見ても、これまでの中途半端な姿勢を改めようというのはよくわかるし、今回の動きもその延長線上にあると考えてもおかしくないようにも思う。だとすれば、ホテルが現在受けているNHKの圧力は多くの国民の不満から発したものであって少々気の毒でもある。

ただ、こうした動きを強めるとすれば、NHK自体の問題にも当然強く切り込む必要性が出てくる。例えば、収益を法律により守られながら代償としての高給を取るのは筋が違うだろう。相応の身分や給与の保証があるのだから、逆に言えば公務員並の給与への引き下げが必要だ。私はNHK職員の正確な給与を知っている訳ではないが、少なくとも公務員と比較すれば非常に高額だと言うことは報道等で伝え聞いている(こんな情報もある:http://www.garbagenews.net/archives/1017060.html)。
一定以上の組織存続の保証(それは身分保障に繋がる)が実質的にあるのであれば、その程度に応じて報酬は引き下げられるべきであり、民放の放送局と同じというのはどう考えても行き過ぎである。民放の報酬が高いか安いかについてもいろいろと意見はあるだろうし、TV等の放送局が様々な制度で守られているというのもあるだろうが、少なくとも倒産リスクはあるのは間違いない。NHKにはそれがないのである。同じ土俵とは言えるはずもない。

既にNHKの改革は何度も叫ばれているが、少なくとも現状ではそれにより給与が大幅に引き下げられたという話は聞かない。実質的な企業としての倒産を考慮しなくても良いのであれば、それはみなし公務員(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BF%E3%81%AA%E3%81%97%E5%85%AC%E5%8B%99%E5%93%A1)と考えて都合が悪い訳ではない。全てのみなし公務員が公務員と同じ給与とはいわないが、業務内容に極端な差があるとも思えないだけに現状のNHKの給与の高さが際立っている。民間のTV局も、実のところコア職員を除けば給与や報酬は切り詰められる一方であり、よりいっそうNHKの一人勝ちの構図が見えていることになるのだ。
法律により受信料を得るという原則を考えるならば、少なくとも現状の報酬を正当化できるとは私は思わない。